鹿肉の確保
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本当にありがとうございます。
記念投稿で本日二話目です。
これからもよろしくお願いいたします。
魔物を人になすりつける行為は犯罪にあたる。わざとやっているのであれば冒険者を除名され奴隷落ちだ。そうでないにしても巻き込む奴はクズという風潮がある。モヒカンはすごく悔しそうだ。
モヒカンに近いフィールドディアをダートで狙い撃ち引きはがしていく。倒れた奴が後から来た奴を巻き込んだりしているが止まらない。というかますます怒っているような気がする。
(圧巻だね。)
「ああ。」
全身のばねを使い跳ねるように走るフィールドディア。これだけの数が一糸乱れぬ集団となってこちらに向かってくる光景は恐ろしくもあるが同時に美しいとも感じる。ずっと見ていたいとも思うがそれももう時間だ。モヒカン達から10メートルは引きはがしたし準備はすでに完了している。
モヒカン達が横を通り過ぎ、体を反転させる。戦う意思があるようだ。ますます気に入った。
「我求めるは崩落、ディグ!」
他人と戦うとき用の呪文を唱える。恥ずかしいが必要なことだ。実際は土魔法ではなく、囲んでアイテムボックスに収納しているので完全に嘘っぱちだが。
私の前方の地面が4メートルほどへこみ縦10メートル横20メートルほどの穴が出来上がる。もっと深くしたいが4メートル下にはおなじみ魔力を通さない層があるためすぐには無理だ。
フィールドディアが勢いのまま穴に落ちていく。止まろうとした個体もいたようだが後ろから来た奴にぶつかり体をひねりながら落下していく。落下した奴は後から落ちてきた奴に潰されたりして死んでいる奴もいるが、半分以上は生き残っていそうだ。
「なんだと!!」
モヒカンの声が聞こえる。たぶん驚いているんだろうがそっちを見ている暇は無い。
「タイチ、小鹿が落ちたニャ。肉が、肉がー。」
「たぶんまだいるから我慢して!」
後続のフィールドディアが穴を避けるように左右に分かれてこちらに向かってくる。穴に落ちた奴も元気な奴はぴょんぴょん跳ねて穴から出ようとしている。
半分くらいは穴に落ちているから残り100匹くらいか。
「ヒナは左、私は右、あなた達は・・・まあ死なない程度に身を守ってください。」
「了解ニャ。」
「「「へっ!?」」」
本当は邪魔をしないようにって注意したいけれどさすがにそれは失礼すぎるからな。大体均等に分かれたから相手をするのは50匹強ってところか。ヒナの方はいつも通りだろうし心配しなくても大丈夫だろう。私はどうしようかな。50匹もいるとダートだと撃ち漏らしそうだし、それでモヒカン達に被害がいっても嫌だな。うん安全策で行こう。
「我求めるは土塊、フィールドスタンプ!」
先ほど収納した地面をアイテムボックスから取り出す。頭上に現れた土の塊に逃げることも出来ず潰されるフィールドディア達。こっちはちょっと食用には向かなそうだ。かろうじて残っていた数匹にはダートを投げて倒しておいた。とりあえずあいつらだけでも血抜きしておこう。あっ、しまった。ルージュが変形できないから血抜き魔法が使えない。
「すみません、手伝ってください。」
振り返り、ヒナが安定の首はねをしており余裕そうだと判断し、武器を構えたまま固まってしまっているモヒカン達に声をかける。
「なっ、なんでしょうか?」
んっ、そんな感じだったっけ?まあいいか。
「倒したフィールドディアの血抜きと解体をお願いします。私は他を処理しますから。」
「「「えっ、解体!?」」」
反応がだいぶ大げさだったが聞こえてはいるようなので大丈夫だろう。冒険者だしこのくらいの解体は出来ると信じたい。まあ駄目でも他にたくさんいるしな。
ヒナの方は大丈夫そうだし穴の方を見てみるとほとんどが体に穴を開け血を流したまま倒れている。小鹿だけはちゃんと残してあるようだ。
(ありがとうルージュ。)
(どういたしまして。)
危険はないことを確認し穴に飛び込む。2匹の小鹿が襲い掛かってきたので太刀モードですっぱりと首を落とし、壁の上部に土魔法で後ろ脚を固定して血抜きできるようにしておいた。肉としてはこれで十分なので他のフィールドディアはアイテムボックスに回収していく。たまに収納できないまだ生きている個体もいたがとどめを文字通り刺して収納していった。
初級迷宮と違い、魔力の妨害層の上に地面がある中級迷宮は上の地面を掘ったりしても戻らない。もしかしたらゆっくり戻るのかもしれないが前のように5秒後には戻っていると言うようなことは無い。どういう法則かわからないが。まあアイテムボックスを有効利用できるようになったので私としては大歓迎だが。
「タイチ、肉はどうなったニャ?」
アイテムボックスから取り出したフィールドディアを並べているとヒナがタオルで顔を拭きながらやっで来た。ちょっと運動していい汗かきましたって感じだ。でも第一声が大丈夫とかじゃなくて肉か。信頼されていると見るか、肉以下と見るか。うん、信頼されているとしよう。
「あっちに2頭分吊るしてあるから大丈夫だよ。」
「やったニャ。」
ヒナが本当に嬉しそうに笑う。この笑顔の理由を知らなければコロッといってしまいそうないい顔だ。美人は得だな。その背後に見える光景は地獄絵図だがな!
ヒナと手分けして魔石を回収しているとモヒカン達がやって来た。そしてやってくるなり土下座しはじめた。
「すまねえ!!」
モヒカン3人の頭が地面に並ぶ光景はなんというか滑稽だ。というかこの世界にも土下座ってあったんだな。
「冒険者として、いや、人として、してはいけねえことをした。本当にすまねえ!」
地面に頭をこすりつけんばかりにというかこすりつけて謝ってくる。
「別にいいニャ。」
「故意じゃないですし、まあ特に危険もなかったですから。」
「肉も手に入ったしニャ。」
ヒナの言葉に苦笑いする。これは早めに食事の準備をした方が良さそうだ。
「出来ることは何でもする。何でも言ってくれ。」
「それじゃあ魔石を取り出しておいてください。食事の準備をしますので。」
「えっ?」
「やったー、食事ニャ。メニューはなんニャ?」
「とりあえず、ローストとシチューかな。たぶん前に下ごしらえしたのがあったから肉を投入して煮込めば早く出来ると思う。」
「よし、タイチ。早速やるニャ。」
「はいはい。」
さて、血の匂いが漂ってこないちょっと離れた風上の方で料理しますか。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。あんたらはそれでいいのか?」
どういうことだ?別に危険はなかったし当初の目標通り肉も手に入ったし特に問題はないが。賠償的なものか?そんな金を持っているようには見えないが。
「金ならある。少ねえかもしれねえが金貨3枚程度はある。」
「でもリーダー。それはリンちゃんを身請けするための・・・。」
「馬鹿野郎!命の恩人に報いるためならリンちゃんもわかってくれる。」
「リーダー・・・。」
やばい3人が泣きはじめた。これが男泣きってやつか。激しく違う気がするが。というか見知らぬリンちゃんの相手はこのモヒカンなのか。まあ男気もあるし性格は良さそうだが。
「別にいらないニャ。」
「あー、じゃあ解体した肉でもください。ちゃんと血抜きしたやつを。」
「そんなんでいいのか?」
「それがいいんです。」
後でルージュに絶対にねだられるだろうからな。食べ物はなるべく確保しておきたい。
「ありがてえ、よし野郎ども恩義に報いるためにも一番いい肉を探すぞ!」
「「おうっ!」」
モヒカン達がフィールドディアに向かって走っていった。よし改めて料理を始めますか。
山を走っていると意外に鹿に遭遇します。
うちが田舎だからか?
読んでくださってありがとうございます。




