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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第四章:テンタクルの街より
132/181

怪しい依頼

投稿エラーで途中で切れていました。

とりいそぎ修正しました。

すみません。m(_ _)m

「とりあえず情報をまとめようか。」

「そうだニャ。」

(はーい。)


 今は私たちの部屋で、ヒナはベッドに、私は椅子に座りながら話している。ラグスさん夫婦の無駄な心遣い(からかい?)によって、ヒナと私は一緒の部屋に泊まっている。他の客室よりも広くていい部屋を通常の値段で借りられているのでそこまで不満はない。ベッドがダブルベッドだと言う一点を除けば。


「例の依頼を受けた人に酒場で話を聞いたけど、普通に討伐して終わりだったみたいニャ。割が良かったからもう一度受けようとしたけれど無理だったらしいニャ。」

「ああ、こっちも同じだね。騎士がついてきて変な依頼だったって言っていたよ。あとは依頼を受けた後に街を出た冒険者のパーティが何組かいるらしい。」


 2人で考え込む。何人かに確かめたのでこの情報は誤っていない。

 ユーリ・トンプソンについての情報もないか軽く探ってみたが新しい情報はあまりない。まあこちらはあまり派手に動くとまずいのであまり探れていないのでそのせいかもしれないが。それにしてもこの街の貴族の子息が本当は行方不明になっているのに誤った情報が流れているのは意図的に情報が隠ぺいされている気がしてならない。

 マップの新しい機能の探している人を見つける能力でジンさんをずっと探しているが見つからないため、この街にはいない可能性が高い。


「問題は何を見ているかニャ。」

「そうだね。」


 現状この街で手がかりになりそうなのは例のおかしな依頼だけだ。領主直々の依頼だし、騎士まで見に来ると言う事はなにかしらの選別をしていると思われる。街を出た冒険者はお眼鏡にかなったということだろう。


「ラグスに街の情報屋に当たってもらうように頼んだけど、経過は同じようなものニャ。」

「そっか。」

(もう、当たって砕けろしかないんじゃない?)

「いや、砕けちゃ困るんだけどね。」


確かにルージュの言う事にも一理ある。このまま待ったとしても状況が改善するとは限らない。


「ヒナ、受けようか。」

「わかったニャ。」


討伐で見ることが出来るとしたら索敵能力、戦闘能力、状況把握能力辺りだろう。元々そこまで苦労するような敵ではないはずだ。全力で相手をすれば何とかなるかもしれない。

翌日ギルドに依頼を受けるという届出をして、実際の現場を見に行った。マップでシーサイドベアーを見つけて戦ってみたのだが、ネルタ大森林で見たあの熊の方が強そうに感じた。体はシーサイドベアーの方が大きいのだが感じる圧が違う。あいつはいつか最強のクマになるだろう。

ギルドへ戻ると依頼の日は2週間後と教えられた。その2週間で何が行われるのか想像がつかないではないので、とりあえず普通に依頼をこなしておこう。





その後2週間、依頼を受けつつ休みの日には市場に行って魚を仕入れたりしながら過ごした。時折受ける視線などはすべて無視したままだ。街の外で採取依頼をしていた時にあちらにも魔物が行ったはずだがすぐに魔物の反応が消えていたのでそれなりの者だろう。


「港湾都市テンタクルの騎士、マイアーという。よろしく頼む。」


約束の日にギルドへ行くとその場に似つかわしくない人物がいた。高そうな仕立ての良い服に新品の軽装備を着けた金髪のハンサムな男だ。貴公子という言葉が似合いそうだ。


「今回依頼を受けた7級冒険者のタイチと。」

「5級のヒナニャ。」

「よろしく頼む。」


マイアーさんが手を差し出してきたので握手をする。ゴツゴツとした手だ。この人、見た目に騙されるとまずいことになりそうだ。


「ほう。」


私とヒナと握手を終えたマイアーさんがちょっと面白そうにこちらを見る。


「何か?」

「いや、なんでもない。さっそく出発しよう。」


マイアーさんに促され街を出る。指定されたシーサイドベアーが出るのはここから2時間ほどかかる。


「タイチ君とヒナ君はどこから来たんだい?」

「メルリスからですね。」

「なぜこの街に?」

「依頼でこの街への配達依頼があって、海を見たことが無かったから来てみたニャ。私の元冒険者仲間もいるしニャ。」

「そうなのかい。私はこの街に生まれてこの街から出たことが無いから憧れるね。」


マイアーさんは親しげに話しかけてくる。外の話が珍しいようだ。しかしなんだか面接を受けているような気がして気が休まらない。

職業や得意分野の話をしながら歩き続け、そろそろシーサイドベアーの出現する辺りだ。


「じゃあ、そろそろ討伐をしてくれるかな。」

「わかったニャ。頼むニャ、タイチ。」

「了解。」


マップ上に2体のシーサイドベアーの反応がある。そして後ろからついて来る2つの白い点。


「とりあえず近い方に行くよ。その近くにもう1体いるから注意。」

「了解ニャ。」


マイアーさんは黙ってこちらについて来る。口は挟まない方針のようだ。

風下方向から気配を消して近づいていく。そういえば気配察知スキルはあるのに隠密スキルはないんだよな。ヒナはあるし、スキルはないけど気配は消えてるっぼいのに。

関係のないことを考えながら進み、しばらくしてシーサイドベアーを目視で確認する。


<シーサイドベアー>

海岸沿いに生息し、海に潜り魚を捕ることが出来るようになった熊型の魔物。基本的に単独で行動し凶暴だが子供を連れているとさらに凶暴化するので注意が必要。

個体クラス 6級

鍋にすることでその食材は生かされる。レッツ熊鍋!


なんだか知識さんがフレンドリーになってきた気がする。なんだ、レッツ熊鍋って。


「うーん、砂浜だしこれ以上身を隠すところもないから見つかるね。どうする?」

「じゃあ、私が行くニャ。タイチは周囲の警戒を頼むニャ。」

「了解。」


ヒナが波打ち際を剣を抜きながら走り始める。私は10メートル後方を同じ経路でついていく。波打ち際を走るのは遊んでいるわけではなく、普通の砂浜よりもスピードが出るからだ。マイアーさんは砂浜を走ることに慣れていないのか若干遅れ気味だ。

シーサイドベアーがこちらに気づく。良かった、こちらに向かってくるようだ。前に戦った時は海に入られて面倒だったから運がいい。


「ガオッー!」


シーサイドベアーが威嚇のために立ち上がる。高さは4メートルを超えているだろう。普通の相手だったらその大きさにすくんでしまうかもしれない。普通の相手ならな。


「ヒナ、坂!」

「了解ニャ。」

ヒナの前に土魔法の2メートルほどの坂が出来上がる。

その坂を駆け上がり、飛ぶ。

空中で一閃、そしてシーサイドベアーの体を蹴りつけ宙返りするとヒナは危なげなく着地した。


「はい、お疲れ。」

「タイチもお疲れニャ。」

「はあ、はあ。砂浜を走るのは意外とコツがいりますね。えっ、そこにシーサイドベアーがいるじゃないですか!お二人は何をしているのですか!?」

「いえ、もう終わっていますから。」


その言葉が合図だったかのようにシーサイドベアーの巨体が砂浜にトスっと倒れる。砂浜だと迫力がなくなるな。


「なっ!!」

「あっ、もう1匹海から上がってくるね。こっちはもらっていい?」

「好きにするといいニャ。」


30メートルくらい先に別のシーサイドベアーが海から上がってきて体を震わせて海水を飛ばしている。お腹が膨れている。大量だったようだ。満腹だね。それじゃあ満足して死ね。


10メートルほど進み、ダートを右目を狙って時間差で2本投げる。

先に右目に刺さったダートを直後に来たダートがさらに押し込む。

シーサイドベアーは体をびくびくと震わせながら、よたよた数歩歩きそして倒れた。さすがに6級だとダート1撃で死なず、後押しが必要だと事前の戦いでわかっていたからな。スマートに倒したように見えるだろう。


「・・・。」


マイアーさんは驚いて言葉もないようだった。

送信エラー怖いですね。

普通に更新できたので油断していました。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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