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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第四章:テンタクルの街より
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盗賊と戦わない

いよいよ第四章です。

よろしくお願いいたします。

10万PV記念第2弾です。

 本日は快晴。風も強くなく絶好の自転車日和だ。

 飛んできた矢を避けながら掴む。あっ、矢じりに毒が塗ってあるじゃん。こいつら殺すつもりだな。本当に物騒な世界だ。


「うーん、ヒナ、どうする?いきなり攻撃してきたけど。」

「タイチが悪いニャ。襲われているところに突っ込むから。」

「いや、襲われている人がいたらなるべく助けたいし。」


 猫人族の里からメルリスを経由して、後1日で港湾都市テンタクルに着くというところで盗賊に襲われている商隊を見つけた。もちろん冒険者が護衛として雇われているので戦っているのだが戦況は五分五分だ。追い返すことが出来たとしても積み荷のいくらかは略奪されてしまいそうだ。


(勝手に助けて後で文句を言われてもアレだし声をかけてみたら。)

「それもそうだな。すみませーん!手助けしましょうか?」


 大声をあげて聞いてみた。戦っていた全員が一斉にこちらを向く。おおう、すごく注目されてる。ほら、冒険者。今のうちに攻撃しろよ。

 返事は無く、その代わりと言っては何だが盗賊がこちらに向かってくる。


「タイチは馬鹿ニャ。」

(僕もそう思う。)

「ひどっ!」


 なぜだ。声をかけてみろと言われたからやっただけなのに馬鹿呼ばわりとは。

 盗賊たちのLvはそんなに高くない。たぶん15くらいじゃないかな。普通に飛んできた矢を掴むことが出来るぐらいだし。

 うーん、返事もないし向かってきた盗賊だけ相手にしておくか。


「ヒナは戦う?」

「うーん、面倒だしいいニャ。」

「わかった。私が対処するよ。」


 うん。久しぶりのヒナ以外との対人戦だ。でも普通にダートや杖を使ったらあんまり訓練にならないな。よし、素手でやるか。

 向かってくる盗賊は3人。剣と斧そして槌で武装している。剣の男がひょろりとしていてスピードタイプ。槌の男がちょっと太っていてパワータイプ。斧が中間って感じか。


 最初にやって来た男が剣を振り下ろそうとした瞬間に相手の懐へもぐりこみ剣の軌道を剣の腹の部分を掌で弾いて逸らす。スピードに乗る前の剣なら簡単だ。

 そのまま右ひじを男の腹部に突き刺す。

 げふぁっと言う悲鳴と共に男がくの字に折れ唾が私にかかる。うわっ、ばっちい。

 その怒りのまま男のあごに掌底を食らわせる。ガコッと顎の外れた音がし男の体が宙に浮いた。


「お前は飛んでけ!」


 宙に浮いた男の腹めがけてミドルキックをかます。男がサッカーボールのように飛んでいき槌の男を巻き込んだ。

 その様子を見ていたからだろうか、斧を持った男がぶんぶんとむやみやたらと斧を振りまわす。このまま待てばすぐに体力が尽きそうだけどそれも面倒だ。


「上にばっかり集中しすぎ。」


 男が斧を引き戻す瞬間を狙い、体を伏せ、足払いをする。両足が宙に浮いた男はそのままはでにすっ転んだ。そして運悪く自分の斧で自分の頭を割り、動かなくなった。


「あー、やっちゃったな。」


 もう少し時間をかけるつもりだったのに。あと残っているのは1人だけか。打撃系は試したしちょっと違う技も使ってみるか。

 槌の男がやっと起き上がって来た。斧の男を殺されたことをだいぶ怒っているようだ。顔を真っ赤にしている。いや、自分で死んだんだけどね。


「ああああー!!」


 やっぱり思った通りパワータイプか。槌を思いっきり振り下ろし叩きつけてくる。でも今までで一番遅いし当たるわけがないんだよな。

 軽く避け、男の股を狙って蹴りを放つ。


「ぐあっ。」


 男が槌を落とし股を抑えかがむ。すかさず顔面にパンチを入れ、右腕を右手で掴んで極め、回転しながら左足を相手の後ろに置き、左手で首を押さえつけ転ばす。

 男は何が起こったのかわかっていないようだった。まあ理解が出来るまで待つ必要はないよね。

 倒れた男の股を踏みつぶし、絶叫を上げた男が気絶したのでこれで終わりだ。


「はーい、終わったよー。」

「お疲れニャ。最後の動きは面白かったニャ。」

「ああ、あれか。ヒナに比べて遅いからちょっと試してみた。」

(痛そうだよねー。)

「まあそういう技だし。」


 というか護身術なんだけどな。前の職業柄、ちょっと危ないこともあったから調べておいたのが役に立った。あんまりこの世界は関節技とか投げ技とか無いんだよな。


「あとは見学と行きますか。」

「そうだニャ。後で文句を言われても困るしニャ。」


 まあ助けてと言われるまでは待っていよう。とは言っても戦闘に関係ない商人とかが襲われたら手助けはしようと思うが。冒険者の仕事を取るのはマナー違反だしな。


「そうだ、ヒナ。この前作ったタイヤキ食べる?」

「おおー、まだ残っていたのかニャ。もちろんもらうニャ。」

(あー、いいなー。僕も人化して食べたい。)

「いや、駄目だからね。」

(ブーブー。)


 タイヤキをアイテムボックスから取り出して2人で食べながら戦況を見る。だんだんと地力の差が出たのか冒険者が押し始めた。これなら手助けは必要ないかな。


「はい、ヒナ。お茶。」

「ありがとうニャ。」


 それにしても美味しいよな。外側がパリッと、中はしっぽまであんこが詰まった自信作だ。まあ冷めてしまっているので美味しさは6割程度だが。やはり出来立てが美味しいよな。


「うーん、どうしても味が落ちるね。」

「まあそれは仕方がないニャ。それかちょっと火であぶるかニャ?」


 むしゃむしゃと既に半分以上食べているヒナがこちらを向く。


「さすがにそれは空気読めって言われそうじゃない?」

「まあそうだニャ。あっ、タイチ。お茶お代わりニャ。」

「はいよー。」


 猫人族の里で買った急須から緑茶を煎れる。一応これも魔道具だ。とは言ってもお湯が沸く機能があるだけだが。しかしこういうときには便利なものだ。


「大丈夫そうだしそろそろ行こうか。」

「そうだニャ。これ以上ここにいてもやることが無いしニャ。」


 さっきからたまにこちらに向かって矢を射ってくる盗賊にダートを投げて倒しながらルージュにまたがる。ヒナはちゃっかりと荷台に乗っている。


(分離できるんだからヒナも乗ればいいのに。)

「ここはここでいいものニャ。こがなくてもいいしニャ。」


 足をプラプラさせて楽しそうにヒナが言う。うーん、まぁいいか。


「じゃ、行くよ。それじゃあ失礼しまーす!!」


 もう1度注目を浴びながら走り去る。背後に剣戟の音を聞きながら。





 玉ねぎ、人参、じゃがいもを切り鍋に投入していく。ゴボウはささがきにして水にすぐ入れて灰汁を抜く。これをしないと苦みが残るし色が黒くなるんだよな。

 ゴボウも投入したらミルオウルの肉をぶつ切りにしたものも投入し、下味をつけた後に味噌を入れればなんちゃって豚汁の出来上がりだ。いや、豚は入っていないけどね。

 そういえば今まで豚肉っぽいのはオーク肉くらいしか見たことが無いな。しかもオークに会ったこともないし。もし会ったら乱獲して豚肉パーティだな。


「タイチ、こっちは出来たみたいニャ。」


 ご飯の様子を見ていてくれたヒナのお腹がぐーっとなる。


「うん、こっちも出来たから食べようか。ルージュも食べる?」

「はーい。」


 人化したことでルージュはご飯を食べることが出来るようになった。食べなくてもいいらしいのだが皆でご飯を食べるのが好きなようだ。最近は他に人がいないときは一緒に食べるようになった。


「相変わらず、タイチは料理がうまいニャ。」

「そんなことは無いよ。」


 料理は作っていたが、教室で習ったりしたものではなくネットや本を参考に作っていただけだ。男料理よりはいろいろとレパートリーは多いがそれだけだ。


「それにしても盗賊って多いんだね。」

「まあ、冒険者崩れがなることも多いし、生活に困った人がなることも多いしニャ。村ごと盗賊になるなんてこともあるらしいニャ。」

「へー、大変だね。」


 ルージュが豚汁もどきを息をフーフーと吹きかけながら食べている。


「イーリス付近では見なかったけどね。」

「あそこは辺境だから盗賊も行かないニャ。逆にメルリスやテンタクルは商品を買い付けに来る商人が多いからそれが狙われるニャ。」

「そう考えればそうか。」


 ヒナが具材を食べ終えた豚汁もどきにご飯を投入していく。ねこまんまだな。


「ヒナ、それ好きなの?」

「そうだニャ。でもお母さんの前でやると怒られるニャ。絶対に内緒ニャ。」


 まあいいか。好みは人それぞれだ。


「じゃあ頼む。」

「よろしくお願いするニャ。」

「お任せー。」


 ルージュに夜番を頼み眠りにつく。明日には港湾都市テンタクルに着く。もしかすると何か手掛かりがあるかもしれない。でも危険があるかもしれない。

 複雑な心境で眠りについたがなかなか眠れず何度も寝返りをうった。

タイヤキ美味しいですよね。

題名詐欺気味ですが、訓練で戦いではないと思っています。

読んでくださりありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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