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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第三章:猫人族の里にて
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人化

「ルージュ・・なのか?」

「わからないの?ずっと一緒にいたのに。」


 からかうように、楽しむように弾んだ声で返される。ああ、確かにルージュだ。初めて話した時と同じやり取りを懐かしく思い出す。


「そうだな、ルージュだ。」

「でしょー。」


 私の答えにニパッと満面の笑みを浮かべる。髪がショートカットのためちょっとボーイッシュだがとても可愛らしい。


「それはそうとタイチも君もなんでこんな死闘をしてるの!ちゃんと話し合いなよ!」

「いや、話し合うって言っても・・・」


 相手はドラゴンだし、いきなり攻撃されてルージュが吹っ飛ばされたし。


「聞こえるでしょ!僕がわかるんだからタイチもわかるはずだよ。はい、君しゃべって。」


 不服そうな顔をした私に怒りながら、ドラゴンに命令するルージュ。ドラゴンもルージュを見つめたまま動かない。


「ほらっ、早く!」


 あっ、ドラゴンにも怒り出した。少女に怒られるドラゴン。シュールな光景だ。

 レッドドラゴンはちらちらと私の方を見ながら口を開いた。


「えっと、もうこうげきしない?」


 確かにクルルルという声と共にちゃんとした言葉が聞こえる。


「タイチ、聞こえたでしょ。答えは?」

「ああ・・・、攻撃しないよ。」

「よかった。こわかったー。」


 ドラゴンは安心したような声をあげると持ち上げていた体を伏せて首を地面におろした。

 怖かったのはこっちの方だと突っ込みたいが突っ込んだら駄目なんだろうな。


「とりあえず休憩してから話そう。お互いに辛そうだし。」

「うん。」

「了解した。」


 ドラゴンはその体勢のまま目をつぶり休むことに専念するようだ。

 ルージュがギロチンを収納し、杖をついてこちらに歩いてくる。その足取りは遅い。杖を前に出しそれを支えに片足で歩いてくる。


「やあ、タイチ。元気?」

「最初に言う事がそれか。」


 呆れをめいいっぱい言葉に含ませながら答える。私の反応を楽しむかのようにルージュはニヤついている。このまま突っ込み続けるのも疲れるのでポーションを手に振りかけて治療する。


「見ての通りだよ。ルージュはだいぶ変わったみたいだね。」

「うん、新しく「人化」ってスキルが手に入ったからね。それにしても人って大変だね。人化した途端、右足から血が噴き出して耐久が減ったからちょっと焦ったよ。すごく痛かったし。」

「Lvアップしたのか?」

「ううん、跳ね飛ばされてタイチが死にそうになりながら戦っているのを見て、動きたい!!って強く思ったらなんか出来た。」

「なんかって・・・。」

「だってそれ以外に言いようがないし。」


 頬をプーっと膨らませて不機嫌アピールしてくるルージュの頭をなでながら伝える。


「ありがとう。ルージュが生きていてくれて本当に嬉しい。」

「僕もタイチが生きていてくれて嬉しいよ。」


 パアッとルージュの顔に笑顔の花が咲いた。喜びでいっぱいの可憐なその顔を見て生き残って本当に良かったと心底思った。





 ポーションによる治療も終わり、動くのに支障がない程度には回復することが出来た。


「そういえば、ルージュはDPで「リペア」すれば治るんじゃないか?」

「あったね、そんなの。今まで1度も使わなかったから忘れてたよ。」

「確か忘れないでって言ったのはルージュだった気がするけど。」

「僕は前だけを見ているからね、過去は振り返らない主義だし。」

「初めて聞いたよ。」


 ジト目でルージュを見ていると居心地が悪くなったのかルージュは手をパンっと打った。


「じゃあリペアー。」

「あっ、おい。」


 ルージュの体が光り出し、姿が見えなくなる。光が収まるとそこには両足で立つルージュがいた。なんか昔のテレビアニメの魔女っ娘の変身シーンみたいだ。


「おおー、本当に治った。」

「と言う事はクロスバイクの方も直っているのか?」

「そうだね、ちょっと待って。えっと解除。」


 再びルージュが光に包まれ、そしてどこも壊れていないクロスバイクが現れる。まるで昔のテレビアニメ(以下略)。


(うん、こっちも異常なし。)


 ルージュは異常なしと言ったが正確には違うようだ。


「いや、後付けした荷台とかは傷が残ったままだから全部が全部直るわけじゃあなさそうだ。たぶんこの世界に来た時の状態に戻すだけで後からDPで買ったものは対象外みたいだな。」

(ちぇ、ざんね-ん。)


 まあそんな裏ワザが出来たら高い部品に取り替えて、摩耗して来たら「リペア」で修理とか出来ちゃうしな。そんなズルは駄目だろう。


(とりあえずもう1回人化するね。ドラゴン君も話しづらいだろうし。)

「了解、頼んだ。」


 再びルージュが光に包まれ、少女の姿で現れる。すっぽんぽんで。そう、一糸まとわぬ姿で。うん見事なまでの絶壁だ。どこがとは言わないが。しかし整った顔立ち、スラリと長い手足と滑らかそうな肌は芸術作品のようでもある。


「きゃー、たいちのえっち?」

「疑問形なんだ。」

「だって僕いつも裸だし。」

「そういえばそうだね。と言うかルージュは女の子だったんだね。」

「うん、僕も初めて知った。名前に合っていて良かったよ。」


 ルージュがほっと胸をなでおろしている。確かにごりごりのマッチョ体系の男がポージングを決めながら「ルージュです。」とか言ったら絶対に吹き出す自信がある。そして怒ったルージュにDDTとかをかけられるんだ。ああ恐ろしい。


「なんか変な想像してる気がする。」

「イエ、ソンナコトハナイデスヨ。」


 何でわかる?





「そういえばドラゴンさんは治療しなくていいの?」

「あっ、そういえばそうだな。」


 今のところ、攻撃してくる様子もないしさっきのやり取りを見ても話も通じそうだ。MPポーションはもうないが、ポーションは大量に残っているから聞いてみるか。


「えっと、ドラゴンさん。ポーション使います?」

「えっ、いいの。」

「怪我をさせたのは私ですし、在庫もたくさんありますから。」

「じゃあおねがいしてもいい?」

「いいよー。」

「じゃあ、私は口内を、ルージュはしっぽをお願い。そういえばしっぽはくっつけますか?」

「いらない。きれたしっぽは、またはえてくるから。」

「「生えてくるんだ。」」


 ルージュと声がそろう。さすが最強生物。回復能力も最強か。

 ポーションを使い切る勢いで口に投入していく。しっぽの方でもルージュが同様にドバドバとポーションを振りかけている。ドラゴンは気持ちよさそうに目を閉じている。すべての在庫が切れるころには折れた歯の部分に新しい歯が少し生えてきており、しっぽも短いものが生えはじめていた。改めて恐ろしいな!


「ありがとう。」

「いえ、どういたしまして。」


 こうして話してみるとレッドドラゴンとは思えないほど温厚で理性的だ。こちらの話もちゃんと聞いてくれるし。


「改めまして、私は人族で冒険者のタイチです。先ほどはしっぼや歯を攻撃してしまいすみませんでした。」

「僕はルージュ。」

「ぼくはレオノール。レッドドラゴンのようりゅうだよ。こっちこそごめんね。」


 あの強さで幼竜なのか。成竜と戦うなんて無謀もいいところだな。


「レオノールはなんでここにいるんだ?」

「そとのせかいがみたくて、さとをとびだしたんだ。でもどこにいってもこうげきされるし。しかたがないからこのもりでやすんでたんだ。このあなからたべものがでてくるし。」

「あー、それはなんかごめん。」


 ある意味レオノールがいたから迷宮から溢れ出た魔物の被害がこの程度で済んでいたと言う事か。人間から攻撃を受けていたんなら私を見て攻撃してきたのもうなずける。


「タイチがまりょくをつかうのがわかったから、おもわずこうげきしちゃったんだ。ご

 めんね。」

「いや、こちらこそ悪かった。逃げようとしただけだったんだ。」

「その後がひどかったからねー。レオノールがやめてーとか叫んでるのに攻撃し続けたからね。」


 ぐっ。


「しかもしっぽを切っちゃうわ、牙も折っちゃうわ。」


 ぐぐぐっ。


「ちゃんと話をしてれば円満解決したのにね。」


 的確にこちらの痛いところをついて来るな。さすが付き合いが長いだけある。


「しかたがないよ。ぼくもはじめて、はなしがつうじるじんぞくにあったし。」


 ああっ、レオノールが天使に見える。レッドドラゴンだけど。


「ちりょうしてくれたし、けがさせたのはおたがいさまだから、これでおわりね。」


 誰が何を言おうともこの子は天使や!!

やっとルージュが人化しました。

やはり自分で動けないと戦闘が大変ですしね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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