表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第三章:猫人族の里にて
117/181

異変の原因?

 森のマップもいよいよ今日で完成予定だ。里の人から薬草の採取を頼まれて2日遅れたけど鋳型で作った杭も完成したしいいかなと思っている。マップが完成したからと言って原因が判明したわけじゃないからまだまだ探索が必要かもしれない。しかし1つの区切りにはなるし、今までの調査結果から中心には高い確率で何かがあるだろうと予想しているが。

 せっかくなので、久しぶりにヒナと探索してみようか。


「おそらく原因の場所へ行くけど、ヒナもついてくる?」

「行くニャ。こんなところなんてもう嫌ニャ。」


 がばっと食われるんじゃないかという勢いでこちらに詰め寄ってきた。そうとうフラストレーション溜まってたんだな。ヒナが冒険用の装備に着替えるのを部屋の外で待ち、玄関を一緒に出る。


「あらあら、手紙は書き終わったのかしら。」


 穏やかな優しげな声が聞こえる。でもなんでだろう、こんなにも背筋が寒くなるのは。

 ヒナが油の切れた機械のようにギシギシした動きで後ろを振り返る。


「ちょ、ちょっと気分転換に散歩に行くだけニャ。」

「あらあら、ずいぶんと危ない散歩なのね。そんな装備をつけて。」

「・・・。」


 ヒナが救いを求めるような目でこちらを見ている。たぶん無理だと思うぞ。


「すみません、私が誘ったんです。」

「タイチさんは黙っていてください。これはヒナと私の約束の話です。」

「はい、了解です。」

「ああ、タイチがあっさり諦めたニャ。」


 いや、無理だって。顔は笑っているのに目が笑ってないもん。


「手紙を書き終わるまで遊びは禁止と約束しましたよね。よもや忘れたわけではないでしょう?」

「・・・。」


 ヒナが無言でこくこくと首を縦に振っている。いい判断だ。


「そんなに気分転換がしたいなら久しぶりに稽古をつけてあげましょう。さあ道場へ行きますよ。」

「嫌ニャー。絶対に嫌ニャー。タイチ助けてニャ。」


 こちらに必死に救いを求めてくる。でもな・・・。


「ヒナ、頑張って。」

「裏切り者ニャー!!」

「はいはい、それでは行きますよ。」


 ミーシャさんは嫌がるヒナの首根っこを掴みズルズルと引きずっていく。ヒナの叫び声が段々と小さくなっていく。ごめんヒナ、私には森の異変を調査する重要な任務があるんだ。君の犠牲は忘れない。


「ギニャー!!」


 遠くでヒナの悲鳴が聞こえたような気がした。





「惜しい人を亡くした。」

(なんていうかそれっぼいことを言ってもいい話にはならないからね。それに死んでないだろうし。)

「いや、ルージュもそこは断定しておこうよ。」


 むちゃくちゃ言っているがまあ死にはしないだろう。でも迷宮で私と1日訓練と戦闘を繰り返していたヒナが嫌がるような稽古か。想像したくない。自分のトラウマがこんにちはってやってきそうだ。


(それにしても中心部に何があると思う?)

「わからないって言うのが正直な所かな。特定の魔物が増えているんであれば巨大なコロニーでも出来ているんだろうと推測できるけど種類はばらばらだしね。」


 中心に向かうにつれてトレントが増えたがこれは以前も同じだったらしいし、遭遇率が増えた以外は強さもあまり変わらないし特徴が無い。


「まあ行ってみてのお楽しみかな。危険かもしれないから慎重にいこう。」

(りょ-か-い。)


 森の中心部に行くに従い採取できる素材も良いものが増えてきている。中級のポーションを作れる薬秘草や猛毒草など、いいものも悪いものもグレードアップしている。私もせっせと採取しているがあまり人が入らないためか豊富にあり個人の在庫としては異常な量を確保できた。また調合しておこう。

 いよいよこの折り返しで中心部へ到達する。距離としてはあと2キロほどだ。


「ルージュ、あと1キロになったらクロスバイクへ変形して土魔法を使って静かに近づくよ。」

(りょ-か-い。)


 残り1キロになり、土魔法で地面を埋めながら進む。利点としては落ち葉などを踏まないので静かに移動出来ること、デメリットとしてはMPを使う事と通った跡が.明確に残ってしまう事だな。LvアップのおかげでMPが増えているので使える方法だ。

 木々をかき分け進んでいく。途中で遭遇したフォレストウルフの群れは土魔法であっさりと倒した。やはり土魔法は使いやすい。いよいよ中心部だが魔物がいるような反応は無い。これは当てが外れたか?

 しばらくそのまま進むと森の中心は木々が途絶え原っぱのようになっていた。木々のせいで薄暗かった森の中とは違い、太陽の光に照らされ一部分は白い花畑になっている。


「きれいだ。」

(うん、そうだね。)


 広大な森を抜けてきたからかもしれないが箱庭って感じがする。自分だけの秘密基地を見つけた気分だ。箱庭の中を慎重に進む。花のいい匂いに癒されながら進んでいくと中心部に大きな穴が見える。明らかに人工物っぽい階段付きだ。ものすごく見覚えがある。


(良かったね。原因があって。)

「逆に大問題が発生って感じだけどね。」


 それにしてもこれどうしようかな。1人で中に入って少し様子を見るか、ヒナたちに知らせてパーティを組んで探索するか・・・。よしっ。


「とりあえず、1階層だけを探索しよう。規模と出てくる魔物の種類、罠の難易度を確認する。」


 本で読んだ限り、今まで判明しているすべての迷宮は浅い階層では弱い魔物しか出ず、深く潜っていくごとに強くなっていくらしい。メルリスの迷宮も実際にそうだったしな。


(りょ-か-い。それにしてもどうして森の魔物が増えたのかな。普通は迷宮から魔物って出られないはずだよね。)

「迷宮は放置されると暴走して外に魔物を溢れさせるらしいよ。メルリスも迷宮を囲んでいたでしょ。」

(そういえばそうだね。寂しがり屋なんだね、迷宮って。)


 寂しがり屋か。本当にそうなのかはわからないが何らかの意図を持っているようには感じる。ただ魔物を作り出すだけならわざわざ弱い魔物は作らないだろうし、宝箱なんていらないだろう。人を誘い込むことで何らかのメリットがあるのだろうか。そう考えると魔物を溢れさせるのも存在をアピールするためなんじゃないか?たぶんこの世界で生まれ育っていないからゆえの違和感なんだろうな。この世界の人にとって迷宮はそういうものだからというのが常識なのだから。


 ルージュを担いで階段を降りる。1階層は洞窟型のようだ。ごつごつした壁面と多少の凹凸のある地面。地上のマップが見えなくなったことと言い迷宮で確定だ。薄暗いが満月が出た日の夜くらいの明るさがあるので見えなくもない。


(これはまた普通の人には攻略しにくそうな迷宮だね。)

「ルージュは見えてる?」

(うん、夜目がきくから。タイチは?)

「秘密道具があるからね。」


 夜目がきくって目が無いじゃんと突っ込もうかと思ったが無駄なのでやめて、アイテムボックスからゴーグルを取り出す。例の隠し部屋で見つけたものだ。かけると昼間のように洞窟内部が見える。


「とりあえず、進もうか。」

(りょ-か-い。)


 ルージュを引きながら慎重に進む。事前情報が無いからいちから調査が必要だ。しばらく通路を進むとマップに魔物の反応があった。フォレストウルフだ。


(迷宮でしかも洞窟なのにフォレストウルフなんだね。)

「夜目がきく魔物ならいいって判断したんじゃない?」

(迷宮が?)

「うん、迷宮が。」


 薄暗いこの迷宮でフォレストウルフのような素早い魔物に襲われれば、ただの冒険者なら苦戦するかもしれない。まあ私の場合はマップのおかげで近づかれる前にわかるし、しかもはっきりと見えているので大して苦にならないが。


「ほい、ほいっと。」


 私に気づかれないようにゆっくりと近づいてきたフォレストウルフに容赦なくダートを投擲する。

 フォレストウルフは攻撃されたことに気が付かないまま、脳天深くにダートが突き刺さりそして突き破って絶命した。


「Lvも低いね。」


 その後も探索を続けたがミルオウルなどの森で見た魔物がそのまま出てきた。ちょうどいい機会だったのでミルオウルを積極的に探して肉を確保した。今夜はから揚げかバンバンジーだな。台所を借りて作ろう。

 罠もメルリスの初級迷宮の11階層程度のものしかない。難易度としては初級以上中級以下くらいだ。2階層への階段も確認し、マップも完成したので地上へ戻ることにした。


「とりあえずはラージュさんに報告かな。」

(どうするんだろうね。)

「まあ、定期的に迷宮に入るようにするしかないんじゃないかな。Lv上げがてら。」


 ルージュと今後の話をしながら階段を上がっていく。この時、私たちは油断していた。

 異変の原因がわかり、久しぶりの迷宮探索を終えたためもあっただろう。でもそれは致命的な油断だった。

 階段を登りきった私たちの目の前にあったのは私の頭ほどある目とその周囲に広がる赤い鱗を持った生物だった。

 目と目が合う。

 おかしい、コレがこんなところにいるはずがない。なぜここにいる!!

 それは災厄。レッドドラゴンと呼ばれる化け物だ。

ダンジョン発見及びドラゴン発見です。

どうなるか予想してみてください。

読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ