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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第三章:猫人族の里にて
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鍛冶場見学

ちょっとずつ読んでくださっている方が増えています。

励みになります。ありがとうございます。

「おーい、タイチ兄ちゃん。迎えに来たぞ。」

「おはよう、レー君。今日はよろしくね。」


 朝の訓練と食事を終え、ちょっとまったりしていたところにレー君がやってきた。そういえばレー君は普通に中まで入ってきているがいいのだろうか?いや、閉ざされた里であるこの場所では里の人はみんな家族みたいなものか。ラージュさんもミーシャさんもたぶん私やヒナよりも強いし警備的には問題ないだろう。


「じゃあ、早速行こうぜ。でも今行ってもあんまり見るところはないと思うよ。」

「えっ、どういうこと?」

「まあ行ってみればわかるよ。」


 若干の不安を覚えつつ、町の外れへと歩いて行った。


「おはよー、おっちゃんいる?」

「あっ、レー君だ。おはよう。ねぇねぇ遊びにいこ!!」

「おうっ。タイチ兄ちゃんをおっちゃんに紹介したらな。」

「ちょっと待って、父さん呼んでくる。」


 案内されたのはかなり大きなレンガ造りの家だ。この家だけ里の風景と全くあっていない。レー君に続いて扉をくぐると、壁一面につるはしや金づち、巨大なはさみなど所狭しとかかっている。金づちだけでもいろいろな種類があり、おそらく50以上は種類がありそうだ。炉の付近には台座があり埃をかぶらないためだろうか純白の布がかけてある。炉はきれいに掃除されており、燃え残った燃料なども無い。というか最近あまり使ってないような気がするが。

 しばらく様子を見ていると、奥の方から白髪のひょろりとした猫人族の男性がやって来た。


「これはこれは、レイ・・・」

「あー!!そういえばおっちゃん、ちょっと話があるんだった。」


 レー君が男性を連れて奥の方へ歩いていく。工房に置いてきぼりを食らってしまったが、まあ個人的な要件についていくわけにもいかないから周りでも見ながらおとなしく待っていよう。あっ、作りかけの刀がある。異世界で刀っていいよね。

 しばらくすると先ほどの子供と一緒にレー君が戻ってきた。


「じゃあ俺は遊びに行くから。じゃあなタイチ兄ちゃん。」

「いってきまーす。」

「ありがとね、レー君。いってらっしゃい。」


 外へ楽しそうに駆け出していく2人を見ているといつの間にかおっちゃんと呼ばれた男性が戻ってきていた。この人、気配が無いな。


「すみません、お待たせしました。この里で鍛冶師をさせてもらっているファイスと言います。」

「冒険者のタイチです。今日はよろしくお願いします。」


 頭を下げ挨拶をしたが、ファイスさんはそれを見て非常に申し訳なさそうな顔をした。


「わざわざ来ていただいて何なのですが、最近は鍛冶が出来ていないのです。」

「えっ、どうしてですか?」

「はい、鍛冶をするための金属を精製するために長時間続く火力が必要なのですが、その火力の元となるのは魔物の材料なのです。この辺りでいうと森のトレントの木炭ですね。最近、森の様子がおかしいのでラージュ様が森の奥地へ行くことを禁止されていますので燃料が無いんです。仕方がないので注文はしたのですが何せここは他の地域とは離れていますし。」

「そうですか。」


 工房が整理されたまま最近使われたような気配が無かったのはそのせいか。レー君が言っていたのはこのことだったんだな。というか森にトレントっていたのか。魔物に自分から近づいたりはしてないからあまり動かないトレントは勝手に回避されていたのか、それとも奥地にしかいないのかどっちかかな。それにしてもせっかく来たのに見れないのは非常に残念だ。次の探索からトレントを探して積極的に倒してみようか。

 私のがっかりした様子にさらに申し訳なさそうな顔になるファイスさん。この流れはまずいな。


「とりあえずたたら場やこの鍛冶場を見てみますか。刀を打つのはお見せできませんが、砥ぎなどはお見せできますし。」

「あっ、ありがとうございます。」


 ファイスさんの後について隣の土壁の建物に入っていく。ここがたたら場らしい。私のたたら場のイメージはもののけの姫の映画で出てきたあのたたら場だ。巨大な炉に空気を送り込むためのふいごを女性陣が歌いながら足踏みするやつだ。しかしここには3メートルほどの炉はあるのだが風を送り込むようなふいごは見当たらない。


「ここがたたら場です。この窯に鉄鉱石などと魔物製の木炭を入れて鉄を精製していきます。地上の見た目はこれだけですが地下にトンネルや排水溝などがあって全体では12メートルくらいの大きさです。地下部分の構造についてはお見せできませんが。」

「はい、それについては構いません。ちなみに炉に風を送るふいごのようなものは無いんですか?」

「それは、こちらですね。この炉自体が一つの大きな魔道具になっていまして魔石をここにはめれば自動的に空気を送り込んでくれます。昔は人力でしていたそうですが便利になったものです。」


 ファイスさんに促されて見てみたが魔術式自体は簡単なものだ。風の発生、送る強さを指定している。単純な分1つの魔石で長く使えそうだ。


「そして鉄が溶けたらこちらの蓋を開けて取り出します。」


 炉の下のほうにある蓋を開けて見せるファイスさん。蓋を開けた場所はくぼみがあり、その先は斜めの坂になっていて下で溶けた鉄を受けられるような構造になっている。

 説明を受けながら熱するところからすべて魔道具で出来ないか考えていたが、魔石を大量に使わなければそんな長時間火力は作り出せないので大赤字になりそうだ。まあそのくらい他の人も考えるよな。それにしてもあの映画の影響もあるが動いているところを実際に見てみたかった。魔物製の木炭か・・・。あれっ、もしかして。


「ファイスさん、これって使えます?」


 メルリスの迷宮で乱獲したゴブリンメイジの杖を取り出す。


「えっ、それはゴブリンメイジの杖ですか?もちろん使えますよ。トレントよりも良い材料です。私が今注文しているのもそれです。」

「あっ、それじゃあ今日の見学のお礼にお渡ししますよ。」

「いえいえ、大丈夫ですよ。それにこのたたらを1回動かすだけで何十本もの杖が要りますから。」


 1回につき数十本でいいのか。じゃあ300本くらいプレゼントすれば注文した分が届くまで使えるかな?在庫は4000本以上あるんだし処分にも困っていたからちょうどいい。

 杖が100本入った箱を3箱取り出しその場に置いていく。


「えっと、このくらいあれば大丈夫ですか?これを差し上げますので、もしよければ今度はたたらを動かしているところを見学させてください。」


 ファイスさんが蓋を開けた状態で固まっている。口をあんぐりと開けたままで渋い顔が台無しだ。


「え・・・っと、これは?」

「ゴブリンメイジの杖です。」

「はい、そのとおりですね。いえっ、そうではなくこんなにいただけません。というよりなんでこんなに持っているんですか?」

「ああ、ヒナとメルリスの迷宮でLv上げがてら倒していましたから。4000本以上在庫がありますからどうぞ使ってください。」


 ヒナと分けても2000本は私の分だからな。どう使っても文句は言われまい。


「4000ですか・・・。わかりました。この杖を加工してたたらが使えるようになったらまたお呼びします。それにしてもタダでもらうにしては金額が大きすぎます。ちょっとついてきてください。」


 ファイスさんについてたたら場から鍛冶場の奥へ入っていき商品が置いてある店舗部分へ案内される。


「ここにある商品の中で好きなものを選んでください。いくつでも構いません。」

「えっ、いいんですか?」


 ここには包丁から短刀や刀、ハサミや鉈、鍬、斧までありとあらゆる刃物と鍋ややかんなどの鉄製品が並んでいる。


「はい、ここにあるものすべてを売ったとしてもお釣りが来ます。それに鍛冶師にとって鍛冶が出来ない今の状況はつらいですからそのお礼もあります。」

「わかりました、それでは遠慮なくいただきます。」


 これから冒険に役立ちそうな鉈や斧などの道具、ロマン武器として刀を一振り、そして短刀を数本もらうことにした。この短刀でフェザーを作れば問題点のいくつかは解決しそうだしな。

 3日ほどで準備が終わるとのことだったので来週にまた来ることを伝え今日は帰ることにした。どうせなら鍛冶場も実際に仕事をしているところを見てみたいし。来週が楽しみだ。

鉄の精製が良すぎると個性のない刀になるそうです。

だから今、わざわざ精製を悪くするためにたたらを使う人もいるらしいですね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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