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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第三章:猫人族の里にて
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取引相手

ブックマーク、評価ありがとうございます。

すみません、寝坊しました。

 2時間ほど後、マップに白い点が3つ映る。調べてみると馬2頭に人間が1人。マップのLvアップの恩恵で今までわからなかった魔物以外の生き物が種族名まではわかるようになった。範囲も広がって600メートルくらいまで確認が出来るようになったのでますます便利になっている。マップさまさまだ。でもマップのLvアップの条件が特殊だからか本にもLv3までの能力の変化しか書かれてなかったんだよな。次からは自分で検証するしかない。


「ヒナ、来たみたいだ。情報通り1人だよ。」

「わかったニャ。じゃあ私は打ち合わせ通り外から回り込むニャ。」

(頑張ってー。)

「もし相手の実力が私たちより上なら逃げるから無理しないようにね。」

「わかってるニャ。」


 ヒナが手をひらひら振りながら隠し通路から外へ向かっていく。棚の後ろにわからないように偽装されていたが、アンさんの罠に比べればなんてことない偽装だったのであっさりと見つけた。まあ脱出路が入り口しかないアジトなんてただの檻と同じだしな。


「じゃあ、ノノはお宝役ね。(ルージュ、フォロー頼むね。)」

「わかったわ。」

(まかせろー。)


 お宝部屋の箱の奥にルージュを立て掛ける。まあ今はバイシクルも高値で取引されているらしいし、特別性ならかなり高額になるだろう。十分にお宝と言える。

 盗賊たちのセットも完了しているし、あとは入ってくるのを待つだけだな。


「おい、起きろ。見張りが寝ていてどうする?」


 入り口のほうからくぐもった声が聞こえる。例の人物が到着したようだ。まあ何をしても後1時間は起きないはずだ。ロンソさんに教えてもらった薬の効果は絶大だからな。


「これだから盗賊は・・・」


 その人物が毒づくのが聞こえる。そしてカツカツとこちらに向かって歩いてくる音が聞こえる。でこぼこした地面なのに規則的で乱れのない足音だ。実力はなかなか高そうだな。

 ついにその人物が入ってくる。気づかれることは無いとは思うが、気配を空気に溶け込ませる。私はそこらにある石ころだ。存在するが気に留める必要のないものだと。

 その人物は盗賊のリーダーが椅子に座っているのを見つけると歩み寄っていった。


「おい、合図を確認したから来たぞ。今日はどんなものだ?」


 リーダーは全く反応せず、反対方向を向いたまま座り続けている。


「おい!!」


 リーダーの肩に手をかける。リーダーの体が傾き倒れていく。取引相手の動きが一瞬止まる。


(今だ!!)


 地面を崩し、天井から落下しながらしびれ薬付きダートを投擲する。それと同時にルージュが土魔法で取引相手の足を固定する。

 取引相手は突然天井から落ちてきた私に驚き、飛びのこうとしたようだが足が動かず、それでも体をひねりダートを回避してのけた。いくら4割もスピードが出なかったとは言え、盗賊たちを倒すのには十分な速度だし奇襲に対してこれだけの反応が出来るのは訓練している証拠だ。


「これをかわすか、ちょっと自信があったんだけどな。」

「・・・。」

「だんまりですか。動きとかを見た感じやっぱりあっち系か。面倒だ。」

「・・・。」


 フードからのぞく目は私を見つめたままだが、周囲を探っている気配がする。逃げる方法を探っているんだろう。悪いけど逃げることは無理だよ。ほらっ。


「おぉー、まだ起きてるニャ。まあまあの実力かニャ?」

「まあね。足を固定された状態で3割から4割程度の速度とはいえ私のダートをかわすくらいの実力だよ。全くしゃべらないから一緒に見てもらおうと思って。(共感で確認を頼む。)」

「了解ニャ。」


 背後から現れたヒナを確認すると、そいつはローブからナイフを引き抜いた。刃の部分が濡れて光を反射している。毒かな。ますます厄介だ。ナイフは投げることも出来る形状をしている。当然、投げる訓練はしているだろうし、ローブの下に何を隠しているかわからないな。

 どうしようかと考えていると、そいつは逆手に持ったナイフを急に持ち替え、自らの首に向かって突き刺そうとする。


「ヒナ!!」


 ヒナが縮地で瞬時に距離を詰め、その勢いのまま剣の腹で腕ごとナイフを吹き飛ばす。肩が脱臼し、腕も折れているようだが仕方がない。まずはあのローブを取り去ることが先だな。


「まずいニャ。舌を噛み切ったニャ。」


 ヒナの叫びに急いで駆けつける。口からダラダラと血を流しながら目はこちらを見ている。何がここまでさせるんだ。

 これ以上自決されても困るので眠り薬付きダートを太ももに突き刺す。普通ならすぐに効果が出て眠るのになかなか眠らない。睡眠耐性持ちか!しかし完全には防げないようで目がだんだんと閉じようとしている。その睡眠が永眠にならないようにせねば。


「ヒール。」


 回復魔法で舌をつなぎなおす。出血は止まったしこれで死ぬことは無いだろう。回復魔法をかけて眠りに落ちる直前、そいつの目が笑ったような気がしたが気のせいだろう。


「ふぅ、何とかなったか。」

「お疲れニャ。」

(それにしても驚いたねー。いきなり自殺しようとするし。)

「とりあえずこいつのローブを取ろう。何を持っているかわかったもんじゃないし。」

「そうだニャ。」


 ローブを脱がし、顔を隠していたマスクを取る。


「女か。」


 特にすごい美人という訳ではないが、隠れてちょっと人気があるというような普通の女性に見える。年は20台中盤だろうか。まあこんな稼業をしているんだから目立つのはデメリットにしかならなさそうだしな。

 ローブを脱がし終えると普通の市民のような服を着ている。この格好の彼女と街ですれ違ってもなんとも思わないだろう。ローブには針やよくわからない薬などが詰まっていたのでアイテムボックスに封印だ。

 あとは服か。うーん、人に言えないような稼業をしているとは言え、意識のない女性のそういう姿を見るのはさすがに抵抗があるな。寝ているのに服の上からでもわかるくらいのボリュームがあるし。


「ヒナ、後は任せた。私は腕の治療と口や髪の毛に何か仕込んでないか調べる。」

「わかったニャ。」


 うん、戦略的撤退だ。さすがにヒナの前でそんなことは出来ない。せっかくの関係が崩れるのも嫌だし。脱がしたら絶対にがん見する自信がある。その魔力に抗える人など一握りのはずだ。


「タイチ、なんでちょっと残念そうなんだニャ?」

「イエ、ソンナコトハナイデスヨ。」

「タイチは意外と純情ニャ。」


 ヒナがさっさと服を脱がせにかかったので腕の治療に入る。ちらっと見えてしまったがすごいボリュームだった。うん、逃げて正解だ。30年余り生きてきて彼女と付き合った期間が数か月の私には刺激的すぎる光景だ。

 腕の治療を終えて髪を調べると、髪留めが折り畳み式ナイフだったり奥に針金のようなものが隠されていた。口の中ももしかしてと思ったら奥歯に袋のようなものがついていたので破らないように慎重に取り出した。これもアイテムボックスで封印だ。本当にやばい職業の人だな。


「ヒナのほうは大丈夫?」

「とりあえず大丈夫ニャ。ちゃんと穴の中も確認したから問題ないニャ。」

「穴って・・・。」

「具体的に言うかニャ?」

「結構です。」


 ヒナの声にからかうような響きが多分に含まれている。しまったな、弱みを握られてしまった。でも仕方ないやん、男ってそういうもんやん!!


「ノノ、もう出てきていいよ。」


 私の言葉に箱からひょこっとノノが顔を出す。両手を胸に当てて悲しそうな顔をしているがどうしたんだ?


「胸だけが女の価値ってわけじゃないし・・・。」


 ああ、空気穴からのぞいていたのか。うん、何も言わないでおこう。

魔力ってすごいですよね。

歴史が証明してくれています。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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