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私はあなたが好きでした  作者: 珀桃
9人の男女
7/20

私の目の前で好きな人と知らない女が恋人になりました。

 土曜日が来た。鏡花ちゃんと待ち合わせた駅前の広場は人でごった返している。噴水の横にあるベンチに座って俺は鏡花ちゃんを待っていた。やがて彼女はやってきた。

「お待たせ、キング」

俺は彼女の笑顔を見て、今日、うまくいったら彼女に告白しようと思った。


そして同じ頃、キングと鏡花が待ち合わせた駅前の広場に八千代、アンナ、なすびもちょうど居た。アンナが私に頑張れと言ってくれた。私のために二人がこんなにも頑張ってくれているんだ。期待に応えなきゃいけない。

「ちょっとトイレ行ってくる!二人は待っててくれる?」

「分かった」

私はそこで、よく知っている人物を見つけた。よく知っている人物、というか、キングに間違いなかった。ただし、隣に眼鏡をかけた少女が居た。何なのだろうか…妙な胸騒ぎがする。私は二人を尾行することに決めた。


***


 「なすび、八千代どこに行ったの?」

「さあ、知らない」

「少しくらいゲームやめなさいよ」

きっとゲームに集中していて、八千代のことなんか見てやしないのだろうと私、アンナは思った。


私はなすびの隣に座った。

「八千代、うまく言えるかな」

「無理」

「無理とか言わないでよ」

「でもわざわざ駅まで来て死ねって言う人だからな…ふと思ったんだけど、アンナと俺、二人っきりだと恋人っぽくない?」

「何言ってんの。私にはミーシャ、あんたにはレミリアちゃんがいるでしょ」

なすびはそうだねと力なく頷いた。

「私、八千代の恋を成功させたいの。謝らなくちゃいけないことがあるから」

「ケンカでもしてるのか?」

「違うよ。キング、実は八千代のことが好きだって私に告白してきたことがあるの。でも私はそのことを八千代に言わなかった」

「じゃあ二人、相思相愛じゃないか」

「そうなんだよね。それともう一つあってね…なすびは私の言うこと全部信じるよね」

「何でそんなこと急に言うの」


「私、殺されるかもしれない…なんてね!…嘘だよ」

「?」


***


 八千代は物陰に身を隠して二人を見守っていた。

(あの女、何者かしら)

二人は今しがた見終わった映画について話しているようだった。奇しくもその映画は、私がかなり楽しみにしていた映画だった。


「でね!黒幕がまさかのリアだったなんてびっくりした!」

のっけから核心に迫るネタバレを聞いてしまった。

「それでね、クエストの活躍がかっこよかったぁ〜。クエストがいなかったら地球はロボットに乗っ取られてたよ」

聞きたいけど聞きたくない。あの女、ネタバレばっかりしやがって!


それからどれくらい長い間、二人を尾行し続けただろうか。


「あら、もう6時だわ。あなたみたいな素敵な人と一緒にいると、時間が経つのが早く感じられるわ」

ぷっ。あの女、さりげなくキングの気を引こうとしてる!堅物のキングがそんな手に乗るわけないのに!

「鏡花ちゃん、言いたいことがあるんだ」

え?何だって?まさかね…

「俺、君のことが好きだ。付き合ってくれ!」

「勿論よ、キング」

えーっ?!何この展開…私は空いた口がふさがらなかった。

次回、尾行していた八千代がキングに見つかって、八千代は必死に逃げますが、結局捕まってしまいます。八千代さん、どうなってしまうのでしょうか?

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