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私はあなたが好きでした  作者: 珀桃
9人の男女
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素直になんかなれる気がしない

 「せっかく連絡先もらったんだから、メールぐらいはしてあげてもいいかな」

挿絵(By みてみん)

私は、キングから連絡先を直接渡されたわけでもないのに独り言をつぶやきながら、メールの文面を考える。

(まずは謝らなきゃ)

あのとき好きって言いたかったんです今までいじめてきてごめんなさい本当はずっと好きだったんです良く言うじゃないですか、愛情の裏返しで…反動形成だったかな?だから暴力ふるうとか普通だしそう言えば一生いじめるって言ったこと覚えてる?ニゲラレルトオモウナヨ…


「あれ?」

これでは長すぎるし読む側も大変だと思って省略することにした。


***


 俺の携帯が鳴った。ディスプレイに見知らぬ番号が表示されていた。どうやらメールが届いたらしい。

メールにはたった一言、


『ニゲラレルトオモウナヨ』


とあった。

「きょ、脅迫メール!?」

びっくりしているとまた携帯が鳴った。今度は電話らしい。なすびからのようだ。

「なすび?今変なメールが…」

「キング!八千代ちゃんからなんかあった?」

「八千代に俺のアドレス勝手に教えたのはお前か!今『ニゲラレルトオモウナヨ』ってメールが来たんだ!」


なすびは心の中で、もっと素直になってくれないとこっちが困る、と八千代にぼやいた。その八千代は何はともあれ、キングをまたいじめられるとホッとしていた。


***

 翌日学校でなすびは私に説教してきた。

「八千代ちゃん、せっかく連絡先教えたのにあんなメール送っちゃダメだよ」

「あれ以外に省略のしようがなかったのよ」

「あ、の、ね!キングは単純なんだから、君が一言好きってデレてやればいいの。ツンツンしてばっかりじゃ完全に嫌われる!」

「あのバカに嫌われたっていいもん!今は勉強するもん!」

私がムキになって言い返すと、そばで一部始終を見ていたアンナが、ぼそっとつぶやいた。

「本当はそんなこと思ってないくせによく言うわ」


なすびは携帯を取り出して何かし始めた。


***


 「キング!今度の土曜日映画見に行かない?」

鏡花ちゃんが映画のビラを指差して言った。俺はもちろん行くと即答した。これを機に、告白して晴れて恋人になれるかもしれない。


***


 私はなすびから『素直になるための10の方法』という胡散臭いタイトルの本を渡された。なにこれ、と顔をしかめっ面にする私にさらに追い打ちをかけるかのように、なすびは言った。

「さっきキングに土曜日そっち行くってメールした!」

「八千代、今度こそしっかりしなさいよ」

アンナからも応援されるが私は素直になんかなれる気がしない。

「八千代ちゃん、大丈夫だ。この男をキングだと思って告白練習しろ」

なすびの携帯には、銀髪イケメン男が表示されていた。

「絶対やらない!」

次回はキングと鏡花、それから八千代たちが偶然同じ場所に集まってしまいます。八千代はキングが見知らぬ女と一緒にいるのを見かけ…

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