表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はあなたが好きでした  作者: 珀桃
9人の男女
3/20

そんなこと絶対にない

 次の電車がくるまであと一時間。俺はとりあえず駅の案内を眺めていた。


「キングー」


女の子の声がした。どう考えても自分を呼んでいるに違いなかった。八千代が向こうからやってくる。


こんなところまで追いかけてくるのか。


と心の中で悪態をつく。


息を切らして現れた彼女は何故か顔が真っ赤だった。おそらく慣れない運動のためだろう。


「…その、あの、今まで、その…えーと、私はあなたのこと…を……す…」


あれ、いつもはっきりものを言う彼女が今日はなかなか言わない。なんかおかしいなぁ。す、と言ったきりいっそう顔を赤らめてしばらく無言だった。俺はもどかしかった。さっさと言うことあるならはやく言ってどこかへ行って欲しい。


「大丈夫か。顔真っ赤だけど」


「…す、砂嵐に巻き込まれて死ね!」


彼女はそう叫んで走っていった。みるみるうちに見えなくなった。

呆気にとられる俺の背後に近づく人がいた。


「今の誰?」

友人の川田なすびである。

「クラスメイトだよ」

「ついにキングに彼女かと思ったのに」

話しながらずっとゲームをしている。人の目を見て話せよ。

「八千代に限ってそれはないよ。だって毎日会うたびにねちねち文句言ってくるし、すれ違いざまに睨むし、おかしな理由で殴ってくるし」

彼女の悪行は枚挙にいとまがない。八千代が俺に好意を持つなんてあり得ない。しかしなすびは満面の笑みで、


「よかったな!キング。その子きっとキングが好きなんだ!」

「だから、それはないって今言っただろ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ