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私はあなたが好きでした  作者: 珀桃
あの人の想い
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あの世にて

田丸先生はミーシャに駆け寄った。

「ミーシャ、それ貸して!」

「えっ?」

ミーシャの銃を奪い取ると、田丸先生はためらうことなく梨子に向かって撃った。今まさに八千代を殺そうと引き金を引こうとした梨子は田丸先生の一撃をくらい、その場に倒れた。


田丸先生は泣いていた。泣きながら倒れた梨子の元へ走って行った。


八千代もなすびもアンナもキングも呆気にとられていた。

田丸先生は既に息絶えた梨子を抱きしめた。

「どうして、どうして…俺を選んでくれなかったんだよ…」

やがて、発砲音に気づいた近所の人間が警察に通報したらしく、サイレンが聞こえて来た。


八千代はこの後のことをあまり覚えていなかった。田丸先生が殺人容疑で逮捕され、広くテレビなどでこの事件が報道されていた。もちろんうちの学校も対応に苦慮していた。田丸先生が顧問をしていた射撃部は部活動停止になった。それから、アンナがかなり前に警察に訴えたにもかかわらず警察がこれをないがしろにしていたので、警察の不手際のせいだと罵るメディアもあった。しかし、ストーカーの方が殺されたのだからよし、などという意見もちらほら見られた。


 獄中の田丸先生は鏡花が梨子から預かっていたという手紙を見ていた。


マーくんへ。

私はミーシャを愛しています。彼以外の人と結ばれるなんてあり得ないと思っていました。弟のことを忘れることが出来ないのです。ごめんなさい。そんな馬鹿な私に付き合ってくれてありがとう。私は気づかないふりをしてたけど、きっとマーくんのことも弟と同じくらいかけがえのない存在だったんです。何言ってるんでしょう、私。意味が分からなくて困りますね。


田丸先生はその手紙をくしゃくしゃに丸めて捨てた。

あの時、梨子を撃ったのは間違いだったのか。いや、やらなければ八千代は間違いなく殺されていた。笑顔が素敵な梨子に殺人なんかしてほしくなかった。殺人犯なんか俺一人で十分だと思った。



そうだ、これでよかったんだ。俺は間違えていない。死刑にでもなったら今度こそ俺は梨子と一緒になれるだろうか。それもいいな。


なんかものすごく後味悪い終わり方になってしまいました…。どうでもいいですが、八千代とキングは数年後結婚して八千代は女の子を産みます。

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