表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/112

第三十三話  共通点

 次のターゲットが、僕?


 背筋に沿って氷の管を通されたような感覚が僕を襲う。ようは、どうしようもないほどの寒気である。


「どういうことだよ」


 僕は声を低くして泰助を睨み付けるよう言った。


「彼女に好かれると、災いがやってくる」


 泰助は僕に向けていた指先を自分のこめかみに当て、ピストルを撃つように「ボーン」と声を発した。どちらかというなら「ばーん」だろと危うく突っ込みそうになったが、空気の読める男として名を馳せる僕としては堪えなければならなかった。


 彼女と仲良くなりすぎると、厄難がやってくる。そういえば、いつか屋上でカツサンドを頬張る泰助がそう言っていた。少し言葉が違うけれど、意味は同じなのであろう。本土の友達からの情報らしく、曖昧なまま横流しにしていたが、確かに今回、竹内は災いに遭った。


「それを鵜呑みにするのかよ」


 僕は声が上ずらないように注意しながら、架空のピストルの弾が頭を貫通した泰助を睨み続けた。やがて泰助は天井を仰ぎ、独り言のように――されど一定の説得力を伴った言葉を放った。


「本土では、知れてるだけで三人ほど被害にあってるらしいぜ」


「さ、三人?」


「ああ、一人目は半裸の状態でひと気のない砂浜で気絶させられていた。二人目は自宅のベランダから身を乗り出した状態でロープで固定されていて、三人目は夜の学校で凍死寸前のところを警備員に発見された」


 泰助は、被害者を言うごとに指を折っていく。今、四本目を折った。


「そして、今回の竹内、火であぶられていた」


「でも、それが全員同一の犯人だとは限らないじゃないか」


 僕は何をむきになっているのか。自分がターゲットになるという宣告に、混乱しているのだろうか。


「いや、この事件には共通点がある」


「共通点?」


 僕は思わず、首をかしげた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ