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蒼眼のアイギス  作者: 面倒
第二章 「隠されたモノ」
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第十二話 「夢」

ギリギリ今日じゃないですね、すみません。


明日から一章の修正に入るので投稿が少し遅くなります。

「ほう!俺が知る中で一番強いのは近衛騎士団の副団長だな!」


いつの間にか、自称が俺に変わった王子と話しながら学園の廊下を歩く。


「団長ではないのですね、副団長さんが一番強いんだ」


「ああ、団長はむしろ弱いらしいぞ」


馬が合うとはこのことか。


そう思いながら話すアイギス。

王子との会話は楽しかった。


同い年ということを抜きにしても楽しい。

話していて波長が噛み合うようだった。



「ここが俺たちの教室か、なんだか…微妙だな!」


一体何が微妙なのだろうか。


しっかりとした作りの校舎は大理石が多く使われ、明かりには魔石が使用されている。

むしろアヴィゲイル領にある実家よりも作りがいいかもしれない。


いや、うちは魔物と戦うための要塞の役割もある。飾り物とは違う。


勝手に考え込み、内面で意地を貼っていると、王子が黒板を見つめていた。


「どうかしましたか?」


「ああ、席は自由のようだ、どうだアイギス、後ろで一緒に座るか」


「そうだね…ウルクは窓際がいい?」


いつの間にか敬称がなくなったアイギスに、怒るどころかむしろ嬉しそうにするウルケリオン。


「なんだ、アイギスは窓際がいいのか!譲ってやろう」


「うん、外見るのがすきなんだ」




ーーー




「初めまして、皆さんの担任教員を務めます、リーナです。担当科目は魔術実践です。」


魔術実践。


教員の自己紹介の中で唯一、アイギスはその言葉に惹かれた。


実践。

魔術を使用する科目の教員。


彼女が担任についてくれたのはよかった。



「じゃあみんなで自己紹介からしましょう!今日はまだ授業はないので、自己紹介のあとは学園の案内をして終わりです」


自己紹介、と言われて少しざわめく教室、少し熱を持った教室の空気に、緊張を手汗に感じ、ちらと横のウルケリオンを見る。


堂々としていた、というか立ち上がっていた。


「アザドラニア王国が第二王子、ウルケリオン・アザドラニアンである、後ろにいるのは私の従者のジルだ。趣味は乗馬と船に乗ることだ。」


言い切り、座るウルケリオン、後ろでは紹介されたジルが言葉もなく一礼している。

なんとなく、次は自分だと、そう思いアイギスは立ち上がる。


「アヴィゲイル伯爵家が三男、アイギス・アヴィゲイルです、趣味は魔術の練習です、よろしくお願いします。」


先に同じく、言い切って座る。

自分の真似をしたのかと、少し驚いたようにアイギスを見るウルケリオン。

目が合うと、笑みを浮かべるウルケリオンにアイギスも笑い出す。

もちろん、教室のなかなので静かに、くすくすと。


「ダーティスです、趣味は父さんの店の手伝いです、よろしくお願いします。」


二人を皮切りに、他の生徒も挨拶を始める。

教員に言われたわけでもないのに、いつのまにかウルケリオンの挨拶が基準になっていた。


自己紹介が進む中、アイギスはウルケリオンと話し込んでいた。

故郷のアヴィゲイル領のこと、王都のこと、魔物のこと、国賓のこと。


お互いの知っていることがお互いにとって初めて聞く話だった。


「アイギスの父はすごいのだな、もちろん知ってはしるが…ジルはアヴィゲイル領に行ったことはあるか?」


父の話題になったとき、初めてウルケリオンが執事――ジルへ話を振った。

初めて口を開くジルに、アイギスはほんの少し身構えた。どんな人なのだろうかと。


「いいえ、足を運んだことはございません、ですがアヴィゲイル伯爵の戦闘を見たことはあります。十数年前、王都の北部の沖合に大型の魔物が襲来したことがあります。時期が悪く、冒険者が少なかったために騎士団が向かうことになったのですが、当時まだ伯爵位を継いでいなかったファジマ様と、同じく爵位を継ぐ前であったアレスト様がお二人で向かわれ、討伐いたしました。」


父の話に、心が躍る。


命懸けの戦いは危険だ、話を聞くだけでもどんなに恐ろしい敵だったのかと身震いする。

それでも父なら、ファジマ・アヴィゲイルなら負けないと思える。


「ほう!最強の辺境伯アレストとその弟分ファジマか」


今は亡き最強の辺境伯アレスト、彼の妹ローリエンはファジマに嫁いだ。

元々先輩後輩の関係であり仲の良かった二人は、ローリエンを通して義兄と義弟の関係になった。


辺境伯アレスト。


その名は王国に轟く。


名を聞けば魔物は巣に帰り、賊は自ら縄を巻く。


他国は軍艦を捨てて逃げ、悪魔が公正な取引をする。


アザドラニア王国貴族、辺境伯爵、アレスト・ガーヴォイル・ゼルネアン。自己紹介は無駄に長かった。


当然といえば当然だ。

三十人以上の生徒が話をするし、たまに途切れる。


教員が催促し、あるいは次の発表者を指名してようやく立ち上がる。


そんなことをしていれば当然長くなった。


「まだ終わらんか、とっと学園内を見てみたいな」


ふと、そう言葉にしたウルケリオンに、アイギスは頷くのみ。


頷く。



頭が重い。



思考がまとまらない。




昨日の夜遅くまで荷解きをした。




朝も運動をした。



一度瞬きをするとなかなか瞼が持ち上がらない。





その瞼は重く、アイギスの思考を妨げる。




その瞼は鈍く、アイギスの感覚を惑わす。









――その刃は鋭く、アレストの肩を貫いた。








「逃げろッ!レイリーナ!アイギスを連れて逃げろ!」



「出来ない!あなたを置いて行くくらいならここで死ぬわ!」



「アイギスを逃すんだ!俺の唯一の希望を!」



「アレスト!!」




燃える屋敷、燃える森、それを見つめる女。



「奥様!ここは退いてください!アレスト様のためにも!」



燃える屋敷、燃える森、そこから逃げる女。





逃げる女。





白く、すらりと美しい足に。たくさんの傷を負いながらも。









「まだ、大丈夫」



黒い瞳





――どうか生きて。

モチベーションにもつながりますので評価、感想を頂けますと幸いです。

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