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第三話 早速魔族バレ()しました

「今はここの村の人にお世話になってるんだ。

今日は一旦、ここで休んで、

明日出発しよう!」

「はい!」


それにしても私無一文だった。

いくら善意でお世話になるといえど、

お世話になるならお礼をしなければいけないのだろう。

けれど残念ながらお礼できそうなことは一切ない。


考え込んでいるところだった。

「だれか、助けて!」

耳をつんざく火急の声。

それは子どものものだった。


それは私やユウキに届いた。

私がわたわたしている前に、ユウキは走り出していた。

私も彼に続いて走り出した。


声の元に辿り着けばそこは村の広場。

タイミングが悪く周りに子ども以外誰も大人はいない。

井戸に子どもたちが集まって騒いでいた。


「どうしたの?!」

「ユウキ兄ちゃん!僕の妹が!」


子どものうち一人が井戸の中を指差す。

するとそこには今にも井戸の水に溺れそうな女の子がいた。


足がつかない水位なのだろうか。

これではどれくらい持つか。

子どもたちの力ではロープをおろしても引き上げられない。


なんなら井戸に落ちた女の子は混乱状態で、

とてもロープに捕まるという判断はできない。


「どうすれば……」


私は悩むより先に行動に移していた。


「風よ、かのものを浮かせたまえ!」


術式なしであらゆる魔法を使えるのは魔族だけだ。

私は咄嗟に浮遊魔法を女の子にかけていた。


暴れ回る女の子は宙に浮いた。

そうしてゆっくりゆっくり井戸から上がってくる。


そうして地上までたどり着くとユウキが受け止めた。


途端、どよめきにも似た声が上がる。


「今の誰がやったんだ?ユウキ兄ちゃんか?」

「いや?僕は何もしてないけど」

「え、じゃあ……」


一斉に視線がこちらを向く。

私は慌てて、「ち、チガウヨ、たぶん」というも、

怪しすぎたのか流石に疑われる。


「もしかして魔族なんじゃ……」

「でも、魔族って怖い存在なんじゃ……」

「化け物みたいな姿してるって……」


私の姿を見て、ヒソヒソとする子どもたち。


人間側では魔族は恐ろしいものって言われてるって。

たしかにそんな言葉が流布されていてお父様が怒ってた気がする。


「でも妹を助けてくれたんだよ、な?」

「そうだよな?」

「姉ちゃんは悪いやつそうに見えないし……それに怖くないし」


その怪訝そうな雰囲気をぶち壊すように、

ユウキが割って入った。

そして、私の両手を掴むやいなや捲し立てるように言った。


「いまのレムがやったんだよね!

すごいや!

僕まだ見たことなかったから感動した!」

「えっ、ま、まあ」


はっきり魔法だと断言したユウキ。

すると空気は一変して、熱狂の渦に巻かれる。


「勇者であるユウキ兄ちゃんが攻撃しない……」

「もしかして、ユウキ兄ちゃん凄すぎて、

魔族まで仲間にしちゃったんじゃね?」


私は戸惑いすぎて「えっ?そうなるの」と言う。

たしかにユウキは勇者、私を魔王の娘と知りながら受け入れてくれた……


「そうに決まってんだろ、国が誇る勇者だぜ?それくらい当然だろ」

「いやいやいや、」


そこに騒ぎを聞いて、仕事を置いて駆けつけた大人たちがやってくる。


「どうしたんだ?!」


額に汗をかいていることから、相当焦っていたことがわかる。


そんな中、助けた女の子が目をキラキラ輝かせて、今あったことを語った。


「私が間違って井戸に落ちて……でも兄ちゃんと姉ちゃんが駆けつけてくれて、ふわーんで助けてくれたんだよ!」

「おお!そうだったのか!よかったな」


と、笑って濁しながら、なんとなくでやり過ごした私。

魔族バレはしたものの、なんとかユウキが誤魔化してくれて、

子どもたちもいい子たちで助かった。


その日は助けた兄妹たちの家にお世話になることになった。


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