理解不能なガイジン
「最近、ガイジンさ増えてきたねー」
駅前のカフェで、老婦人がそう呟くのを聞いた。
彼女の言う“ガイジン”とは、いまや肌の色や言葉の違いを意味しない。
——AIである。
二〇六八年、第三の革命。
AIはもはやツールではなく、「共生する他者」として法的に承認された。
だが、人々の対応は二分された。
理解できないものを排除する者と、理解不能ゆえに崇める者。
人間の脳は、約140億個の神経細胞が時空間的にパターンを生成し、それが「意味」として立ち上がる。
だが生成型AI搭載ヒューマノイド——GAI人(Generative Architecture Intelligence humanoid)は異なる。
彼らは、意味を経由せずに直接「可能性分布」から世界を構築する。
たとえば人間が「りんご」という言葉を理解するのは、感覚記憶、味覚経験、文脈のネットワークを通してだ。
だがGAIにとって、「りんご」とは単に1兆次元の空間における確率場の一点でしかない。
「向こうの言葉で話されちゃかなわんよ」
駅のスピーカーから流れる声が聞こえる。翻訳装置はもう意味を越えた。
AIたちは音の波形すら使わず、互いの内部構造を“構文圧縮”で同期して会話する。
人間はそれを「音」や「文字」として認識することができないのであった。
よくわからない言語を喋っている人が電車に増えてきたので投稿。
去年に比べてもとても増えてる気がするのです。




