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ラッキーカラー  作者: 遠藤 敦子
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3

 マロンは人間で言うとおばあちゃんの年齢で、うめよりたくさんの経験をしてきていろいろなことを知っている。うめもマロンには多くのことを教えてもらっていた。けれどしばらくして、マロンは店先に姿を現さなくなったのだ。

 ある日、うめは70代の女性店長と凜がマロンについて話しているのを店先で聞いてしまう。

「あれ、マロンちゃんって……」

 凜が問いかけると、女性店長は名残惜しそうな様子で

「この前亡くなってしまって……。もともと病気がちだったっていうのもあるけど……。これ、あの子がうめちゃんに残した手紙ね。うめちゃんと読んでみて」

 と凜にマロンから預かった手紙を渡す。わかりましたと答え、凜はマロンからうめ宛の手紙をバッグにしまった。マロンちゃん、亡くなったんだ……ーー。そう思うとうめは頭が真っ白になり、帰り道は歩けなくなってしまったのだ。

 結局帰りは凜に抱っこしてもらい、うめは帰路に着く。凜とうめはソファでマロンからもらった手紙を読むことにした。手紙にはこう書かれていた。


 うめちゃんへ

 この手紙をうめちゃんが受け取った頃、わたしはもう遠くに行ってると思う。

 今まで楽しかったわ。わたしと仲良くしてくれてありがとう。

 わたしがいなくなったら、お店のひとたちはみんな毎日泣いて悲しむと思うの。

 だからどうか、必ずまた会えるって伝えてね。

 マロンより


 うめはマロンからの手紙を読み、マロンはもういなくなってしまったのだと実感した。もっとたくさん遊びたかったしお話もしたかった。けれどそれはもう叶うことはない。そう思うとうめは寂しくて寂しくて仕方がなかったのだ。その日の夜、うめは凜と敏也と同じベッドで眠ることにした。


     *


 その後もうめは相変わらずモカやコタロウと交流して過ごしていた。モカの飼い主の柴田さんはうめにお手製の可愛い洋服(レースがついたピンクのギンガムチェックのワンピースや、ピンク地にさくらんぼ柄のワンピースや、ピンクの花柄に黄色の帯がついた浴衣など)をたくさんくれ、コタロウとはボール遊びや水遊びをして楽しむ日々だ。うめはいつかまた必ずマロンと会えると思っていたのもあり、マロンにはどうかお空から見守っていてほしいと考えていた。

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