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ラッキーカラー  作者: 遠藤 敦子
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 数週間後、凜とうめは散歩中にモカを連れた柴田さんと遭遇する。

「あら竹中さん! ちょうど良かったわ。うめちゃんのお洋服が完成したからお渡ししようと思ってて」

 柴田さんは凜にラッピングされたうめの服を手渡した。中身を見ると、白いTシャツに紺色のツイード地のジャンパースカートが縫い付けられている。凜は柴田さんにお礼を言い、さっそくうめに柴田さんお手製の洋服を着せてみた。その服はうめにとても似合っており、サイズもぴったりだ。

「モカちゃん見て。わたしに似合ってるでしょ?」

 うめは柴田さんからもらった服を着た状態で、モカの前でくるくる回ってみる。モカも

「うめちゃんらしくてかわいい!」

 と尻尾を振っていた。これでうめのお気に入りがまた1つ増えたのだ。


     *


 次にうめと凜と敏也が出会ったのは、オスのコタロウという柴犬だった。公園でみんなが遊んでいるのを見ているだけだったうめを、コタロウが

「君も来なよ。みんなで遊ぶの楽しいぞ」

 と誘ってきたことがきっかけだったのだ。うめは最初はコタロウについていくだけだったものの、次第に他の犬たちと遊ぶことの楽しさを知っていく。公園を駆け回るだけではなく、ボールやフリスビーで遊んで楽しんだ。

「俺ここよく来るし、また会おうな」

 15時を過ぎてからコタロウはうめに別れを告げ、飼い主と共に公園から立ち去った。またコタロウと会って遊べる日が来ることをうめは楽しみにしている。


 その日の夜、うめは凜と敏也に尻尾を振りながらお礼を言う。

「凜さん、敏也さん、あの公園に連れて行ってくれてありがとう。わたし、またコタロウくんと遊びたい」

「また公園行こうね」

 凜はうめの頭を撫でながらそう返した。凜のピンク色のカーディガンからは柔軟剤の甘い香りがし、うめにとって心地良い感じがする。この時間がずっと続けばいいのにとうめは考えていた。


     *


 別の日、敏也はクリーニング店に出していたスーツのジャケットを引き取りにうめと店に向かう。店前のポールにリードを括り、敏也は入店した。

「すみません、スーツのジャケットをクリーニングに出してた竹中です」

 敏也が引換券を見せながら言うと、50代の女性スタッフが敏也にクリーニング済みのジャケットを渡す。看板犬だというパグのマロンも敏也を出迎えてくれた。

「あらあ、あそこにいるのはうめちゃん? カウンター前までなら全然連れてきてくれて良いのに」

 女性スタッフにそう言われ、敏也は縛っていたリードを緩めてうめを抱っこしながら連れてくる。たまに凜がうめを連れて仕事用のジャケットや友人の結婚式で着たドレスを持ち込むため、このスタッフはうめのことを知っていたのだ。

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