表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

堺県まちかど人情記

両親の卒業制作を見た娘

作者: 大浜 英彰

2枚目の画像は、みこと様より頂戴致しました。

その他の画像は、AIイラストくんで生成致しました。

 昔の漫画本でも貸して貰おうとしてお父さんの書斎へ入った私は、そこで変わったタイトルのDVDを見つけたんだ。

挿絵(By みてみん)

「へえ…『帰ってきた仮面ウォーリア!凶悪、ゴドゾム怪人軍団』だって。特撮物かな?」

 聞いた事もない題名に胸を弾ませながら、私はデッキにディスクを挿入したの。


 案の定、それは等身大の変身ヒーローを主人公に据えた特撮映画だった。

 世界征服の野望を果たす為に政府要人暗殺やインフラ破壊といったテロ計画を企てる終末結社ゴドゾムのサイボーグ怪人軍団と、改造手術の寸前で脱出した大学生の変身する仮面ウォーリア。

 この両者の織り成す死闘は特撮ヒーローとして正統派の流れで、安心して見ていられるね。

 出演者の大半は全く知らない人達で演技も殺陣も荒削りだけど、映画制作の楽しさと情熱がヒシヒシと伝わってくるよ。


 だけど二人だけ、私のよく知る人達が俳優として出演していたんだ。

 その二人というのが…

『やはりゴドゾムの仕業か…許さん、変身!』

「えっ、お父さん!?」

 何と画面の中で変身ポーズを取っていたのは、若き日の私のお父さんだったんだ。

挿絵(By みてみん)

「今日こそお前達の最後だ!行くぞ、アマゾンヌ将軍!」

 光学合成で格好良く変身したのは良いけど、娘としては複雑だなぁ…

 何せ聞き馴染んだお父さんの声で喋っている訳だし。

 だけど私にとっての衝撃展開は、これからだったんだ。

挿絵(By みてみん)

「フフ、猪口才な仮面ウォーリアめ…やれ、デスマスク獣人!彼奴の首級を総統閣下に捧げるのだ!」

 配下の怪人に檄を飛ばす女幹部の顔がアップになった時、私は我が眼を疑ったの。

「お、お母さん!?」

 赤いマントの下は黒ビキニだけ。

 そんな大胆な装いで薙刀を構えていたのは、私のお母さんだったの。

 やがて怪人と戦闘員は蹴散らされ、ヒーローと女幹部の一騎打ちというクライマックスに突入したんだ。

「あ〜あ、お母さんが爆発しちゃったよ…」

 妖術を駆使して善戦はしたものの、勧善懲悪の大原則には敵わない。

 必殺技を喰らったアマゾンヌ将軍は組織への忠誠心を示した直後に崩れ落ち、採石場の爆炎として消滅してしまったんだ。


挿絵(By みてみん)

「京花も見たのね、あの映画。言ってくれたら生解説してあげたのに。」

 話を聞いてみた所、あれは学生時代の両親が所属していた畿内大学映画研究会の自主製作映画で、当時の部長だったお父さんの卒業記念制作でもあるんだって。

 最初は凄く驚いたけど、両親の青春時代を垣間見る事が出来たのは娘として喜ばしい限りだよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
若き日のお父さんとお母さんの意外も意外な画面での登場! これは面白いです〜、水渕さんのレビューもどことなく大浜さんの御作の文体とリズム感が似ていて、ほっこり読ませて頂きました。 お母さんの格好がスゴイ…
拝読させていただきました。 お母さん、照れもせずに生解説してあげたのにというところがよいですね。
>両親の青春時代を垣間見る事が出来たのは娘として喜ばしい限りだよ。 そうですね。私の両親の若い頃はスマホはなく、就職してから普及しだした携帯も、そういった機能は無かったそうです。 なので、両親の若かり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ