ビビらせ!墓場の肝試し!
【オバケがコワい!?】
野菜ヘッドのカボチャおばけ。
暗い色の風船頭は、見た人間をビビり上がらせて、抜け出た魂を貪り喰らうため。
おばけは、あらゆる場所、あらゆる時間帯に現れる。
が、最も人がビビり上がる場所と時間を選ぶのが、優れたおばけのステイタスなのさっ。
ここは深夜のクソデカ霊園。
読者の方にも分かりやすく例えると、太陽系1000万個ぶんの広さだ。
その霊園のクソデカ墓石が立ち並ぶビル群を、耳が花になってるロリが、用もなくウロウロしていた。
「うう~……用もない墓場を、深夜にウロウロするのは怖いです……」
強がりだ。本当は深夜でなくとも怖い。
ビル壁に並ぶ無数の窓から怒れる住民たちが見おろす中、カボチャのおばけがビル陰から飛び出して、罪もないロリに襲いかかった。
「ばあ~っ! おばけだぞ~っ!」
「(へへっ。どうだ、ビビりやがれ! 魂ぬけ出れば、人間みんなが、カラッポ脱け殻のこして、美味しいゴハン!)」
舌を出して片目を閉じた、定番おばけの驚かしポーズ。
これには百獣殺しのロリも、すくみ上がって涙目になって、血の気が引いて、
「きゃあ──────────っ!?」
「ウギャァアアアアアア~ッ!?」
……思わず渾身の力で、悲鳴をあげた。
すると、辺り一帯が音の波で揺れ砕け、ビル壁にヒビがはしり、住民たちはてんてこ舞い。
当然、爆心地のおばけは、顔中のあらゆる穴という穴から煮汁を吹き出して、頭が割れて黄色い中身が見えてしまった。
ロリは両手をあげて、イヤー! と、泣きながら去っていくが、そのまま追いかけて魂をカッ喰らおうという元気は、おばけには無い。
「……」
おばけは煮汁を垂れ流したまま、廃人となった……。
だが、最低Sランクの彼であっても、18時間も経てば完全に復活する。
将来の自分に、今度こその人類抹殺の夢を託して、おばけは体をボロ塵へと変えて消えていく。
崩れ落ちた割れカボチャを見おろして、ビルの住民たちが目をひからせる。
去り行く戦士への、それは確かに礼儀だった。