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公爵家の養女ですが、来世もパパの愛娘になりたいです  作者: 猪本夜
第三章 アオハル編

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「パパ! 帰ったよ!」


 帝都のラヴァルディ公爵家の屋敷、リンバルム学園の入学初日を終えたリディは、制服のまま、パパの執務室に直行した。


「帰ったか」


 ソファーに座って、ブリスと仕事の話をしていたパパの横に座る。パパはリディの腰を片腕で抱き寄せた。


「リディに生意気なことをする奴はいなかったか?」

「大丈夫。同じクラスの子と友達になったんだ!」

「へぇ。そんなに友達が欲しいと思う気持ちは理解できないが、よかったな?」


 まあね、パパはね、そうだよね。

 昔、パパがリンバルム学園に通っていた頃、パパは人気があり過ぎて、いつも人に囲まれて面倒だったらしい。リディと同じく、最初はラヴァルディ公爵家だと警戒されていたらしいけれど、パパがかっこよすぎて、逆にすぐにみんな近寄ってきたのだとか。主に女性が。


 しかし、リディはパパと違ってかっこよさからは遠い。せめて、パパのように、簡単に魔獣を倒して涼しい顔ができればかっこいいと思う。しかし、魔獣は討伐できるが、リディはいまだ魔獣が苦手なので、魔獣討伐する姿がかっこいいとは言えない。時々半泣きの時もある。だから、かっこよさで人を惹き付けることはできないので、友達ができるか不安だったのだ。


「うん。同じクラスの子で最初に仲良くなったのは、ルル・シャリエル公爵令嬢とフェルナン・マリオット侯爵令息なの」

「……ああ、シャリエル公爵家とマリオット侯爵家なら、ラヴァルディに楯突く家門ではないから、リディが少し付き合ってやるくらいなら、いいだろ」


 パパは、シャリエル公爵家とマリオット侯爵家の、ラヴァルディ公爵家との仲は普通だと言いたいようだ。


「とはいえ、もし少しでも何かしてくる奴がいたら、俺に言うんだぞ」

「はぁい」


 パパは今日は帝都にいるけれど、明日はラヴァルディ領へ帰るのだ。仕事があるからである。そして、リディは今後、週の半分は帝都に住まうことになっているのだ。


 リディはリンバルム学園に入学するとなった時、最初はラヴァルディ領から通う予定でいた。地下世界を通れば、その日の内に行き来できるからだ。


 ただ、地下世界を通れば、その日にラヴァルディ領と行き来ができるからといって、すぐに帰れるわけではない。


 普段、闇の魔法を使って、帝都とラヴァルディ領を行き来している。闇魔法の一種で、地下世界へ通じる穴を開けているのだ。実はその穴を開けるというのは、突如地下世界から魔獣がやってくる自然現象の穴と同じなのだ。あちらは自然現象だけれど、私たちはそれを闇魔法で意図的に行っている。


 闇魔法で穴を開ける時、地下世界のどこに通じるかを意識的に操作している。比較的魔獣の少ない地域に穴を開ける。だから、闇魔法で穴を開けたからと言って、魔獣が出てくることはほとんどない。


 ただ、はるか昔の歴史の中で、皇帝との約束で、闇魔法で穴を開ける時は、できるだけ地上に影響のない場所で、と取り決めをしたという。だから、リディたちが帝都とラヴァルディ領を行き来する時は、穴を開ける場所は地上の一定の位置で固定しているのだ。帝都の場合は、帝都の端の人の行き来が少ない場所だ。


 とはいえ、基本はその約束に則る姿勢でいる、ということであり、どうしても緊急な場合は、パパは固定の位置でなくとも地下世界に穴を開けたりしてはいるが。


 ちなみに、闇の魔法も種類はたくさんあり、パパやリディが煙や影を使って魔獣を地下世界へ引っ張り込む魔法があるが、あれは穴を開ける魔法とは違う魔法である。地上から地下世界へ一方通行に引っ張るだけの魔法で、いつでも使える魔法だ。使うのに取り決めがあるのは、両方行き来ができてしまう穴を開ける魔法だけなのだ。


 そういうこともあり、緊急でない普段は、帝都とラヴァルディ領の固定の位置で穴を開けて行き来しなければならない。リディもそれに則るとなると、毎日ラヴァルディ領と行き来するのは、結構大変なのだ。今すぐ帝都の屋敷から直接地下世界に行き、ラヴァルディ領の屋敷へ行く、というのは、緊急以外はやってはいけない約束である。


 では、休みの週末だけラヴァルディ領に帰ることも考えたが、リディはパパにわがままを言ってみた。週末しかパパに会えないなんて嫌だと。帝都にパパも来てと。パパにも仕事があるから、帝都に用事がある時以外は、来るのは難しいとは思ったが、少しだけ言うだけ言ってみた。すると、週明けの平日の二日だけパパが帝都に毎週来てくれることになったのだ。週末はリディがラヴァルディ領へ帰るため、そうなると、週の内、本当にパパに会えない日は二日程度になる。わがままを聞いてくれるパパが大好きだ。


「明日から魔法の講義が始まるのだけれど、パパは闇魔法以外では、火属性の魔法と雷属性の魔法が得意なのよね? 私もそうなのかな?」

「闇魔法以外では、親子で同じ魔法が得意かというと、そうとは決まっていない。最初に属性の測定があるはずだから、そこで確認するといい」

「あ、なるほど」


 ラヴァルディの後継者であるリディは、これまで闇の魔法ばかり訓練してきた。魔獣討伐では、闇魔法さえあれば、他の魔法を必要としないからだ。しかし、魔法クラスでは、自分の適性のある魔法を訓練する講義もあると聞いている。他の魔法も使えるなら使ってみたいと思っていたので、少し楽しみなのだ。


「リディ、そろそろ着替えて来い。食事に行くぞ」

「うん!」


 今日は、外食をする予定なのだ。パパと夕食デートである。パパからこめかみにキスをもらい、リディは着替えるために機嫌よく部屋を出るのだった。

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