惨劇の夜
某日、深夜。赤石市長宅で異変は起こった。
悲鳴がする。血しぶきが飛ぶ。
老若男女問わず、彼は血刀を振るう。無表情で、まるで殺しが作業であるかのように。
「最終標的、赤石市市長を発見……始末する」
暗闇に閉ざされた空間で彼は命乞いをする老年の男の胴体を切り裂いた。
「お前……は……」
市長は最後の力を振り絞り、問う。
「紫電」
彼はそれだけ答えると、紅く染まった床の上を歩き去っていった。
「しで……ん……か……」
命が尽きる前に、市長はスマートフォンを操作する。最期のメッセージをそこに打ち込んだ。
赤石市の市街地では、雷電の部隊による一方的な虐殺が順調に行われていた。銃火器をものともしない、人智を超えた体術を駆使し、次々と市民を惨殺していく。中には、喜々として殺しを楽しむ者すらもいる。
隊長である雷電は彼らに何も言わなかった。
どうせ殺すことに変わりはないからだ。過程がどうあれ、標的を全滅させればそれでいい。拷問や凌辱をすべて許可し、狂犬の群れを市街地に解き放った。
悲鳴や怒号が聞こえても、彼の心は一切動かない。心を亡くした者とは、そういうものだ。そうでなければ、この仕事はできないといってもいい。
「君たちが死ぬのは、君たちが弱かったから。自然の摂理に従い、死ねばいい。君たちはそのためだけに生かされているんだよ」
妻子を殺されて、雷電に銃口を向ける男に笑顔で言う。
「君たちの命に価値はない。だから、殺しても構わない」
笑顔でこんな言葉を吐き出す彼に向けられる眼差しは憎悪と恐怖に満ちている。
「人間は平等じゃない。命もまた平等じゃない。それを知らないから君たちは愚かなんだよ。理想と現実の区別がつかずに抵抗しようとする」
男が引き金を引くと同時に男の首が落ちた。
「悲しいね……」
と微塵も悲しそうではない笑顔で雷電は呟く。
「さあ、殺せ。殺し尽くせ。叛逆する者にはすべて等しく死を与える。それが僕たちイザナギの使命」
一見すると女性と見紛うほどの美貌をもった青年は高らかに宣言した。
こんばんは、星見です。
風邪にやられてしまい、四日間ほど寝込んでしまいました。いやあ、年を食うということは怖いものですね。それはさておき、大分間が空いてしまいました。あと2週間後には仕事納めなので、年末年始で書き溜めることができ……ると思います多分。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……