幕間:独白
Interlude in
都内にあるマンションの屋上にイザナミは立っていた。
これは街。あれは電柱。
見たことはないけれど、知っている。
これはビル。あれは東京ドーム。
見たことはないけれど、知っている。
この世界は見たこともないものが広がっているが、そのすべてを知っている。何故だろう?
私は一体何者なんだろう?
彼が知ったら、不気味がるかな?
そんな不安が彼女の頭をよぎった。
空を見上げる。
雲一つない快晴の空だ。
あの日のように赤黒く染まり、見たこともないような紋様が描かれた空ではない。世界が壊れた日のような空をしていない。
同じ場所なのに、こうも空は違う。
それを感じて、イザナミはほっと溜息をついた。
まだあの日は繰り返されない。
まだあの日は近くない。
だったら、今度こそ。
偽りの神を撃ち落とす。
そうして、私は終わるのだ。
そう思っていた。
けれども、出会ってしまった。本来ならば、出会うはずのない青年に。本来ならば、助けるべき青年に。
だから、そこから歯車が狂いだして、私はここにいるとイザナミは思っている。
あの日はいつか来る。
「私はあなたのために生きることができるのでしょうか……」
あの日が、大冥災がいつ来てもいいように彼女は動き出した。慣れた様子で、無表情で。ただ、自分の役割を果たすために。
Interlude out
こんにちは、星見です。
三連休ですが、暑いですね……四季はどこ行ったんですかね?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




