二つ目の真実 ~BC兵器~
世界人口調節協会を名乗る男がダキシンと会合して、一時間経った。
執務室からは一向に来客が出る気配がない。
それもそのはず。
ダキシンは一人で決心を迫られていた。
「どうされますかな、ダキシン=オフミ殿? この国の正体を知ってなお、あなたはこの国を護るのですかな? それとも……我々と共にこの星の未来を作りますかな? あるいは孤高の覇道をお選びになりますかな?」
狂気に満ちた瞳の男はダキシンに問いかけた。
「うう……木本くん、助けてよお……」
「おひとりでご決断なさいませ。なに、簡単なことでございますよ。今死ぬか、寿命で死ぬかを選択なさいませ、と申し上げているだけのこと。……お忘れではございますまい、我々はいつでもあなたを殺すことができる、ということを」
くつくつと笑う。
その様子からも、彼が人外の化け物であることをダキシンに十分に理解させた。
「我々は、歴史を人類の手に取り戻す。いつまで、マザーとかいう得体のしれぬものの言いなりになっているのです? ダキシン殿、あなたは預言に従い続けるのですかな?」
「ボクは……従えって言われたんだ」
「従わなくてもよいのですぞ。我々がダキシン殿に正解を教えて差し上げるだけの力を持っている、と言えばわかりますかな?」
「マザーよりも?」
「もちろん」
「なら、言うことを聞く」
「よくご決断なさいました。まことに、噂通りの大物政治家でいらっしゃる。さて、本題に入りましょう。我々が世界の人口を適正に保つことを至上命題にしていることは既にご理解いただけたことと思います。しかし、日本の人口は多すぎる。増えすぎた人間は減らさねばなりません。我々は老若男女、貴賤……そういった差別をいたしません。皆、等しく間引いて差し上げる。もちろん、ダキシン殿はこの中には入りません。あなたは日本、いや宇宙のかじ取りをするのに必要な重要人物ですから」
「うん、ボクの一族に被害が出ないならいいだろう」
「さすが、シナトベが認めた方! ご英断にございます!」
「待て、シナトベとは誰だ?」
「先日、ダキシン殿に接触した若い男ですよ。あの者は口が悪うございます故……」
「うむ、許す。それで、ボクは何をすればいいのだ?」
「はい、ダキシン殿が悩む問題……国民に年金を払わず、かつ我々の目標が達せられる方法をお伝えいたします。それは……」
口元を歪めた男は心底嬉しそうだった。
「BC兵器を使い、疫病を国内に蔓延させましょう。その前に、要人の方々には感染せぬようワクチンを投与していただきます。標的を絞ることは難しいですが、効果的に間引きを行うことが可能にございます」
「うむ、うむ……良い方法だ。が、ボクたちが選挙で勝てなくなる可能性がある。ボクたちの支援者たち、とくに医師会は敵に回したくないのだが」
「そちらの方も対策を考えて御座いますぞ。医師の方々にもワクチンを投与し、彼らには国民どもに偽ワクチンを接種させ、金儲けをさせればよいのです。彼らは喜んでダキシン殿の支持に回るでしょう」
「うむ! 木本くんよりも良い案だ! お前、ボクの側近にしてやってもいいぞ!」
上機嫌でダキシンは男が提出した書類にサインをした。
そのサイン一つでどれだけの災害が起こり、どれだけの人が死ぬかは一切考えることはできなかった。
こんにちは、星見です。
今日は有給を使って、家で雑事をこなしたり、通院したり、買い物したりしています。
しかし、暑いですね。元々冷房が苦手な体質なので、早く涼しくなってほしいところです。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




