破滅の双眸
開戦の合図はグレネードランチャーの掃射だった。辺り一面を爆炎が覆う。
対して、紫電は涼しげにそれらをすべて躱し、無傷で紅蓮に迫った。
暗闇の中に光るは紅い瞳。
「死ね」
嵐のような銃撃を切り裂いて、一筋の残光が紅蓮の右腕を狙う。
力を込めずに放った斬撃は鋼の腕にはじかれた。
「侮ったか……」
紫電は無表情で敵から距離をとる。紅蓮には大地を蹴る音しか聞こえなかった。紫電がどこにいるのか、何をしようとしているのか、まったく分からない。
これが最強の暗殺者の力か。
紅蓮は戦慄した。
目の前で闇の中に潜むのは殺戮に特化した人間だ。狙った獲物を殺すためにだけに命を燃やし続けた人間だ。
銃火器ごときでどうにかしようなどという考えが甘かった。
彼の動きはそれこそ常人が捉えることなどできるはずがないと直感で察した。
「次は仕留める」
感情のない声が響く。
紅く輝く二つの瞳が奔る。
双眸は明確な殺意を湛えている。
「終わりだ」
刀を抜くその刹那に彼は告げる。
紅蓮が見た光景は眼前に迫った、光を纏った刃が牙を剝いた姿だった。
こんばんは、星見です。
そろそろ春らしくなってきましたね。
昼になると換気がてら窓を開けて、日光浴を楽しんでいます。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……