6.魔導書3
本日二度目の投稿です。
この乙女ゲームの攻略対象者は六人いるの。
まずはメイン攻略対象者、エドワード・エントウィッスル。第二王子殿下ね。
金髪碧眼、垂れ目のチャラいイケメンよ。
アタシのポイントとしては色気たっぷりってとこね!
エドワードはねえ、ずっと母親に呪いを吹き込まれてきたの。エドワードママは好きな人がいたのに、王室に嫁がされたってずっと子供に言い続けて来たのよ。
そんなのァ、当事者同士でやれってカンジよねえ。子供を巻き込むなっつうのよ。
んでもって、エドワードルートのライバル令嬢はアレクシア。フェアクロフ公爵令嬢よ。
攻略ポイントとしては、優しく接しながらも、毅然と正してあげることよ。
ゲームのヒロインちゃんのクドキ文句はこうよ。
「それはそれとして、あなたがどうすべきなのかを考えるべきではないでしょうか。王太子の片腕となることを目指し、わき目もふらずに努力をしていれば、雑音は気にならなくて済むはずですわ」
ううん、シビれるぅ。
可愛い顔してしっかり言うべきことを言うところが良いわよね!
次の攻略対象者はジェイラス・フェアクロフ公爵子息。
銀髪に青い瞳で、色合いからも分かるように冷たくも鋭い雰囲気かつ長身細身なの。公爵子息として厳しい教育を受けてきたのよね。
ジェイラスルートのライバル令嬢は妹のアレクシア・フェアクロフ公爵令嬢よ。
ジェイラスはねえ、真面目なのよ。あと、小さいころは身体が弱くて、今もそう丈夫ではないのよね。でも、ものすっごい頑張り屋さんなのよ。あら、ちょっと誰かさんと誰かさんを足したような感じねえ。
ジェイラスは幼いころから歳が近い王太子やエドワードと仲が良かったの。ときには妹のアレクシアもいっしょになって遊んでいたらしいわ。
エドワードとは今でも仲が良いという設定よ。
ジェイラスルートのライバル令嬢が妹のアレクシアってことでもわかるように、現在婚約者がいないわ。公爵子息だってんだから、それ相応の身分の女性がいそうなもんだけれど、公式もそこは明かしていないの。設定すんのが面倒だったのかしらね。
ジェイラスルートではね、いっしょに王都をお忍び散策するの。そうして、庶民、つまりはより母体数が多い人々の暮らしを知る。その次のステップとして領地の暮らしを知るのよ。
「フェアクロフ公爵子息はこれらの営みを支えていくのですね。そのための教育を受けてこられた」
そうしてふたりで支え合って手を取り合って歩んでいくのよ。
ハロルド・イームズ侯爵子息はセシリアの元婚約者。
もちろん「元」はワザとよ! 重要ポイントですもんね!
金髪に緑色の瞳で中肉中背。もちろん、美形よ。ちょっと影がある感じかしらね。
幼いころに母親と死別し、そう間を置くことなく後妻がやってきたことに不信感を持ち続けてきたの。悪いことに、すぐに弟が生れたものだから、家の中で居場所がないと、少なくとも彼は思いながら今に至る、ってワケ。
でもねえ、セシリアが言っていたんだけれど、侯爵家って高位貴族のおうちじゃない? そうすると、家政を取り仕切る女性というのがどうしても必要になってくるんですって。それが夫人。つまり、奥さまね。もちろん、奥さまがお掃除やらお料理やらお洗濯をするわけじゃないのよ? そういうことをする使用人を束ねたり、指示を出したりするの。あとは、その家門が代々受け継いできたカラーを継承するのも大切なことなんですって。
セシリアってそういうことが分かっているってところが、ちゃんと教育を受けてきたお嬢さまってカンジよねえ。
で、なんだっけ?
あ、そうそう、奥さまね。ハロルドが幼いころに亡くなったのなら、次の奥さまはハロルドのお嫁さん、なんてちょっと不在期間が空きすぎるのよ。だから、後妻が必要となるのよね。
そこんとこ、ハロルドは理解していなかったみたい。まあね、小さかったからね。でも、成長しても学んでいないってことでもあるのよねえ。
セシリアは被害者でいることが心地よかったのではないかって言っていたわ。ううん、テツガクテキ。
そのセシリアがライバル令嬢で婚約者ね。
そして、そんなハロルドには「寂しいのね。あなたはよくやっているわ」って言いながらひたすら寄り添うことが攻略法よ。
同じく侯爵子息でセシリアの弟ギルバート・カーライルは身体が弱いの。
病で線が細い美少年ってカンジね。金茶色の髪に薄いブルーグリーンの瞳。
でもね、同じ侯爵子息でも、こっちはとっても我慢強かったわ。忍耐があった。頭の良さってそんなところにも現れるのね。家族が支えていたからかしら。
ライバル令嬢は姉セシリアってことからも分かるように、彼女はずっとギルバートのことを気に掛けていたの。薬を作るどころか薬草を育てることまでやっているらしいわ。セシリアは変わり者令嬢よね。
貴族のお嬢さまって刺繍をしたり、ダンスの練習をして、社交界でその家門の足場を確固たるものにするのですわ、ですって。もちろん、これもセシリアの受け売りよ。へえ、そうなんだあ、って思ったわ。ほんとよ。あのコ、どれも苦手そうね、なんてほんのちょっぴり思っただけよ。まあ、ほとんど確信しているんだけれど。
ゲームではあまりそういうのは出てこなかったのよね。とにかく、ドレスや小物を攻略対象に合せて身に付けて、好みの場所に連れて行って好きそうな話題を持ち出すの。
人間関係のキホンよね。相手に気に入られるのって。
ただ、それをどれだけ共有できるか、共感できるか、自分も楽しめるかよね。自分なりの感じ方を伝えてきゃっきゃうふふするのが恋の醍醐味だもんね。
それでね、ギルバートは病弱で宰相の位にはつけないだろうと思われていたのだけれど、ヒロインちゃんが見つけた薬草でみるみる元気になるのよ。
ミラクルよね。
今まで苦しめられてきた病があっちゅう間に治っちゃうのよ。家族の、セシリアの煩悶はどこへ?ってカンジよ。
そして、エリオット・ガードナー伯爵子息。
ほっそりした見た目の攻略対象たちの中で唯一と言って良い筋骨隆々、つまりは筋肉ムキムキの騎士さまよ。縦にも横にも大きいの。肉体美! ひゃっほう!
え、アタシのイチオシ?
んん、誰かしらねえ。
エリオットは騎士団所属なんだけれど、もちろん、乙女ゲームだからムサ苦しくはないの。短く刈り込んだ茶髪に茶色の太い眉、緑色の瞳からも分かるように、温かみのあるカンジね。でもって、奥手なの。カワイイわよね! 女性にどう接すれば良いかわからないのよ。
ライバルはコフィ伯爵令嬢よ。
エリオットははきはきした元気な女性が好みなんだけれど、たぶん、貴族社会の貴婦人ってそういう人って少ないんじゃないかしら?
コフィ伯爵令嬢もおとなしそうなカンジだけれど、芯が強いって描写されていたわ。コフィ伯爵令嬢が小柄だから、横に並ぶと大人と子供くらいの体格差よ。
でもって、攻略対象者の中で一番年長さんね。あら、年長さんなんて言うと、幼稚園児のようね。
エリオットはねえ、とにかく、身体を鍛えることに終始していたから、ご令嬢たちとの付き合い方が分からないの。それをレクチャーしてあげるのが攻略方法なんだけれど、攻略対象者にほかのオンナとの付き合い方を教えてやるってなにさ?!
ちょっとさあ、いろいろおかしくない?
「とにかく丁寧に誠実に。相手が何を望んでいるのか。そして、自分がどうしたいかをすり合せていくのですわ」
人付き合いの基本っちゃあキホンよねえ。
最後の————え、もう終わり? ちょ、待ってよ、まだひとり、え、もういつもの三倍くらいしゃべっているって?
当り前じゃない! イケメン談義に「巻きでお願い」はないのよ!
王子サマがチャラいってのがわりと珍しいのよね。それと、公爵子息が今もそう身体が丈夫ではないってところ。なんか、欠点もあってこその魅力ってカンジ?
まあ、数多ある乙女ゲームの例にもれず、イケメンぞろいなのよね。見たかったわ! なんでよりによってモノに転生するのよぉぉぉぉ!(魂の叫び)
ああん、まだしゃべり足りないわ!
ちょっと、侯爵令嬢ターンを削ってもいいんじゃない?
魔導書ターンの下剋上よ!
それでね、最後の攻略———え? ここってあとがきだって?
ううん、細かいことはいいじゃない。まだしゃべり足りないのよ!
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