4.魔導書2
本日二度目の投稿です。
アンジェラ・エアハート。
乙女ゲームのヒロインよ。
このゲームは学園モノじゃないのよね。とある王国の貴族社会が舞台なんだけれど、お茶会やら夜会やらきらびやかだったわ。
アンジェラは幼いころからの婚約者と死に別れて、婚活する必要に迫られて、さあやるぞ!というところがゲームスタートなのよね。
まあ、恋愛モノの一種ね。
攻略対象者のひとり、イームズ侯爵家の長男ハロルドルートに入ったら邪魔して来るのが婚約者のセシリア・カーライル。
セシリアはもうひとつのルートでもいわゆるライバル令嬢として登場するんだけれど、そもそも婚約者に接近し、奪われそうになったら、激高するのも致し方がないことではあるのよねえ。
略奪されてちゃっかり結婚にまでこぎつけられてしまうんだもの。しかも、自分たちの略奪婚を正当化するために、陥れた挙句、一家皆ごろ———処刑なんて、あんまりだわ! そんなのは許せない!
ゲームではライバル令嬢の侯爵家の悪行が明るみに出て没落したってことになっていたけれど、でっち上げたなんて!
オイオイ、ヒロインちゃんよお、ずいぶんじゃない!(魂の叫び)
ほかの攻略対象者は第二王子、公爵子息、騎士なんかがいるんだけれど、実は、カーライル侯爵子息、つまりセシリアの弟ギルバートもなのよねえ。だってほら、宰相の息子でしょう?
身体が弱いって言っていたけれど、それをヒロインちゃんがちゃちゃっと伝説の薬草を見つけて来て「はい、治りました!」で元気になるのよ。感謝がやがて愛に変わって行く、ってシナリオなんだけれど、攻略対象者込みで処刑台に送るなんて。
オイオイ、ヒロインちゃんよお、ずいぶんじゃない!(魂の叫び・再び)
もちろん、ギルバートルートも姉セシリアが邪魔するのよ。
でもね、セシリアから聞いたところによると、ふだんから彼女、薬草を煎じてやっているって言うじゃない?
高位貴族のお嬢さまだっていうのに、優しいわよねえ。しかも、家庭教師とは別に薬草学の教師について学んだんですって。真面目よねえ。
カタブツだけれど、アタシの話もちゃんと聞いてくれるし、良いコよ。
だいたい、真面目一辺倒なヤツってアタシと相性が悪いのよ。イチイチうるさいっての。
でも、セシリアはそんなことはないわ。まあ、家族の命がかかっているからってのもあるでしょうけれどね。
それはともかく、そんなふうに昔から試行錯誤して弟君を元気にしようと薬を作っていたってのに、可愛い子ちゃんがノコノコ現れて、「これが伝説の薬草です! はい、これで解決! わたしのお陰よ!」なあんて言ってみてごらんなさい。胡散臭いったらありゃしないわ!
なんにでも根回しとか順番ってものがあるのよ。一足飛びに「はい、解決」はなんないのよ。
これ、世の中の常識よ。みんな、覚えておいてね! じゃないと、だまされてガラクタに大金支払わさせられるわよ!
それにしても、セシリアってライバル令嬢にしてはちょっと大人しすぎない?
ああん? だれよ、オネエと並んだら誰だって地味に見えるなんて言ったのは!
好きなファッションをしようにも、本にそれができるかぁぁぁぁぁぁ!
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