おかえし その4
君はいつもの女の子メンバーでおしゃべりをしていた。
僕は恥ずかしくて、君が1人になるタイミングを見計るも中々うまくいかない。
やきもきした。本当にやきもきした。
途中でほかの友達に声をかけられたりしていなしている間に君はどこかに行ってしまったり……とにかくやきもきした。
そうこうしているうちにお昼ご飯の時間になってしまい、僕はチラチラ気にしながら注意散漫に給食を食べた。
先生に注意を受けたようにも思うけど、よく覚えていない。
とにかく、やきもきした。
しかしタイミングとは急にやってくるものである。
「ねーねー」
「うわっ」
「なによ!うわって!青葉くんがジロジロ見てたくせに!」
向こうから声をかけてきた。しかもジロジロ見ていたのがバレていた。
僕はうろたえながら、ポケットをまさぐる。
「なんなの?さっきから」
「あああえっと、その」
「???」
不審そうな顔を向けてくる君に余計に動揺する。
だが、だがしかし。
『頑張れ、青葉!俺もお母さんにプレゼントを渡す時はドキドキしたもんだ』
『そうなの?』
『そうだ。心臓爆発するかと思ったぞ?ホントだぞ?』
『うまくいった?』
『そりゃー上手くいったからお母さんと一緒になれたんだけどな?でもでも、そうなるのに勇気はものすごくものすごくいったからな』
『うん……』
『青葉、勇気だ。思いっきりだ。一歩踏み出してしまえばどうにかなる。封筒、バッと出せ。そしたら絶対言葉も出てくるから!思いっきりいけ!』
父とのやり取りが頭に流れる。
僕はギュッと奥歯を噛み締めて、最後の気合いを入れる。
「あの!あのあの……これ!」
文字通りバッと封筒を差し出す。
ポケットに長い間入っていて、曲がってたり、軽くシワがいってたりする。僕はそれに少し焦る。
「え、と、お手紙……?」
君は君で急なことでうろたえている。頬も赤い。
「うん、その、このあいだ、お花……たんぽぽ、くれたから、さ、お礼」
たどたどしく言葉を出していく。
「あ、へぇ、そうなんだ……それはありがとう……」
僕の勢いに負けてしまっているのか、君も挙動不審になりつつ封筒を受け取る。
「開けていい?」
「う、ん……」
唾を飲み込みながら、頷く。背中に汗が伝うのを感じたのを覚えている。
君は君でワタワタしつつ一所懸命に封を開ける。そして、あっと小さな声をあげた。
「たんぽぽだ」
そう言って折り紙を取り出し、なぜか太陽にかざす。
「折り紙のたんぽぽだ……」
「うん、たんぽぽくれたから、折り紙のたんぽぽ……つくったの」
「……」
君は答えず、目をまん丸にしてかざした折り紙のたんぽぽを眺める。
数秒、だと思う。でも僕にはとても長い沈黙だと感じた。
どう思っただろう、感想は?君は何を思ってるだろう?気に入った?どうだろう?
頭の中を色んなハテナがぐるぐるする。




