≪ ❶…Ⅶ ≫
女王から預けられた私の元に残りたいと言ってくれた子等は10だった。
その子等に私は、
ゼロ、ウン、ドイス、トレイス、クアトロ、シンコ、セイス、セッチ、オイト、ノーヴィと名付けた。
女王から子等の言葉が分かるようになってから、私の周りはとても賑やかになった。
『主は本当にいつも無茶ばかりするの!』
『でも、それも主の良いところだよ?』
『そうだよ!優しい!』
『だが、無鉄砲な所もあってこっちはひやひやするぜ?』
『あら、女は元気な方が素敵じゃない?』
『主が元気ならそれでいい』
『主可愛いもんな~~』
『俺達が守ってあげれば問題ないさ!』
『僕はもう少し平和に生きてほしいよぉ』
『その為の我々じゃないか!』
「聞こえているか?」
「は、はい!」
「さっきからこうやってずっとお喋りしているんだよ」
「子等にこんなに感情があるなんて驚きでした…」
「うむ……本来子等は使命だけに生き生活しておるからな…普通はこんなに元気じゃないさ。それもお前のおかげというやつだろう。実に面白く賑やかだ」
「ええ、本当に」
私達は顔を合わせて無邪気にお喋りし合う子等も見てクスクスと笑った。
子等にも性格があり、心配性のモノもいれば勝気な子そして性別はないものの気に入った口調…
子等には私の旅の中で関わって得たモノで個性を生み出していた。
「ここまで個性があると一気に沢山の子供を授かった気分になっちゃいますね」
「確かに。最早、子等はお前の子同然だろう」
「女王…本当に有難う御座います。言葉が分かる事でこの子達をもっとよく知ってあげられます」
「うむ。頼んだぞ」
女王との再会は、今まで孤独であった私に沢山のモノを与えてくれた。
この日は本当に私にとってとても嬉しい日だった。
今までしてきた事が報われるような、優しい時の中に永遠に包まれていたい程、温かな空間だった。
「で?お前はこれからどうする?」
「そうですね……正直、女王の再会を迎えた後の事はひっそり魔女へと変えようかな…なんて朧気に考えていたんですが」
「ふむ」
「力がそのままで、それに子等もそのままというので……また変わらず旅を続けようかと考えてます」
「そうか」
「旅をしていて気づきましたが……本当に世界には私の知らない事が山ほどあって、困ってる人も数えきれない程います」
「そうだな」
「その手助けや知らない事を、助けたい知りたいと…思ってます」
「お前は本当に、魔女らしからぬ魔女だな」
「そ、そうですか?」
クスクスと笑う女王の頭上で、子等も『そうそう~』と笑っていた。
「最早お前は、勇者だよ」
そんな事を言って、誇らしいと言った女王の笑顔はとても無邪気で穏やかだった。