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ツメは伸びたら切らないとダメ〜  作者: ともピアノ
8/9

ずっと一人だった

こんな時間に外に出るのは、久し振りにだな。

駅前のマックまでは、五分位、家の前の通り五十メートル進んで右に曲がったら、後は駅までまっすぐ百五十メートル。


今日は土曜日で良かった。平日だったら、警察に補導されてしまうな。真由美たち来てるかな、スマホは、十二時五十分か、マックに着いたけど、まだいないか、あー、駅裏からやって来る。


「こんにちは、小鳥さん」

綾が挨拶する。

綾は、髪にカチューシャをして、青いシャツに紺のスカートに、腰にバックが掛けてあり、背中にベースを入れた皮ケースを背負っている。


「よっ、小鳥、頼んだー、」

真由美は赤シャツにクリーム色の半ズボンに肩からバッグをかけている。



「ううん、来た所」

小鳥が、頭を下げる。


「並んでるねー」


「うん」


「小鳥さん、真由美さん、並びましょうか」


「五分くらいだな」

真由美が人数を確認してる。


「うん」


綾ちゃん、ベース、重くないのかな、大変そう。

聞いてみようかな、今は良いか。


「小鳥さん、真由美さん、注文決まってますー」


「もちろん、いつもの奴で決まりね」


「うん」


「それじゃ、テイクアウトで、お願いします」


「よっし、公園行こう」


「うん」


公園着いた、見渡してみると、週末だから、滑り台、ブランコと親子連れや、カップルが、人が結構いるな。

ベンチは、空いてた。


「小鳥さん、真由美さん、向こうのベンチに座りましょうか」


「よっし、座ろう、小鳥」


「うん」


「本当、マックのバーガー、上手いな、ポテトフライがホクホクだ」

真由美が、勢いよく食べてる。


「本当ですね、シェイクも、チョコが好きです」

綾が、ゆっくりとシェイクを飲んでいる。


「うん、美味しい」


「あー美味しいかった」

真由美は、良い気分だった。


「ご馳走様でした」

綾は、一息着いた。


「美味しいかった」

小鳥は、気持ちが良かった。


「この後どおする、散歩して、演奏する場所探す、綾ちゃん」

綾を見て真由美が言う。


「えっ、公園では、演奏しませんよー」

綾が急な声掛けに驚いている。


「・・・・」

小鳥は黙って見ている。


「綾ちゃん、ベースは、演奏する為に持って来たんじゃないの」

真由美が、理解出来なく困っている。


「あのー、実は、私の家金持ちなんだけど、ちょっと一緒に来て」

綾ちゃんが、恥ずかしいそうに言う。


「・・・・」


三人は公園を出て、二十分位歩いて、ある場所に着く。

大きな通りから奥へ奥へと進んだその場所は、シャッターが閉まった家だった。


「着いたよ、ここ、私の家の物なんだ」

綾がシャッターの鍵を開けて、シャッターを上げる。


ガラス戸の鍵を開けて、中に入ると下に続く階段があった。

三人は階段を下って行く。


綾が電気を点ける。


「うわー、すげーーーー、何これ」

真由美が、空いた口が塞がらない位驚いている。


「凄いねー」

小鳥も、驚きながら見渡している。


「昔、使われていた、小さいけど、ライブ会場です」

綾が子供の頃を思い出す様に言う。


ライブ会場は、小さい明かりに照らされて座席があったであろう空間があり、その上には古く寂れたスポットライトがあった。

舞台であった場所は、音楽機材が壁橋に集められていた。


「今は、新しい、コンピュータ機材とか出来て来て、こう言う寂れた所は使われなくなったんだ、まだ、使えるのに、私の子供の頃は、ここが、遊び場だった、歌ったり、踊ったり、お手伝いしたりした場所なんです」

綾が懐かしく語っている。


「そうなんだ、ふーん、・・・・でも、使えるの、使ってないんじゃ、使い方とか、電気代とか」

真由美が心配そうに言う。


「そうだね」

小鳥も考えている。


「大丈夫、さっきも言ったけど、私の家金持ちだから、お金は親に許し貰っているし、・・・・私、・・・・ずっーーーーと、ずっと、一人だった、一人で練習して来た、機材も使い方は全部知ってるから大丈夫だー、なんて」

綾が、少し泣きながら語っている。


「そうか、そうか、そうかー、一緒にやろう、なっ、小鳥、ここなら、誰にも見られず演奏が、出来る、うー、最高じゃないか、綾ちゃん、やろう、お願いします」

真由美が飛び上がるくらい興奮している。


「親父ギャグ・・・・大丈夫だー、良い、うん、お願いします」

小鳥は、恥ずかしいがりながら、演奏しているイメージをして言った。


「さあー、こっち来て」

綾が、二人をライブ席の空間に連れて行く。


綾はスポットライトと舞台の電気を点ける。

そして、自分でアレンジした演奏で、小鳥の歌を演奏する。


あれっ、綾ちゃん、その歌、私の歌、それも、去年作った奴。嘘ー、真由美以外にも私の歌聞いてる人がいた。

私、私、嬉しいよ、嬉しいよ。


「ぐす、ぐす、ぐす、ぐすん」

綾が顔を押さえて泣いてる。


「小鳥ー、小鳥ー、良かったなー、綾ちゃんー、良いぞ、良いぞー、イエイ、イエイ、イエイーーーー」

真由美は小鳥の肩を抱き綾にグーサインを押している。


「小鳥さーん、真由美さーん、サビ一緒に歌うよー」

綾が、二人にベースを弾きながら合図している。


優しさや悲しさは、私が作っている。

作りたくて作ったイメージじゃないけど、イメージする事が私の居場所に成り上がっちまうよ。


苦しさや笑顔は、私が作っている。

見たくて作ったイメージじゃないけど、イメージする事が私のいる場所に成り上がっちまうよ。


恋なんて恋なんてしたい時にするのが正解さ。


恋なんて恋なんて後回しにしないのが正解さ。


大丈夫、大丈夫、大丈夫と魔法の言葉をかけちまえ。


大丈夫、大丈夫、大丈夫とここの言葉をかけちまえ。


























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