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ツメは伸びたら切らないとダメ〜  作者: ともピアノ
3/9

駅前ライブ

小鳥は駅前に着いた。誰かが、フォークギターの弾き語りをしている。


「小鳥ー、こっち、こっち」


黄色い半シャツに半ズボンの真由美が、手招きしてる。


「うん」


小鳥は、真由美の側に行く。


黒シャツにフリルの重ねられた黒スカートに黒い靴の、全身黒づくめの二十代の女の子が歌っていた。


長髪に、前髪が長くて顔が見えない。

リズムに合わせて首を揺らしている。


「小鳥、サビだよ」


「うん」


死ぬ覚悟はあるか、投げ出す準備は出来ているか、燃え出す愛の火の中へ垂らした鎖に繋がれて落ちれがいい。


死ぬ覚悟はあるか、逃げ出すなら来なくていい、燃え盛る愛の火の淵へ垂らした鎖に繋がれて落ちれがいい。


鎖、鎖、鎖、何処までも、首を鎖にグルグルグル。


鎖、鎖、鎖、何時迄も、首を鎖にグルグルグル。


「なんか、凄いね、首を鎖にグルグルグルだって」


「うん、歌詞が強烈だね」


若いカップルや、学生や、通行人の手を止めた客が二十人程集まって聞いていた。


「次の曲が、始まるね」


「うん」


「うん、うん、次の曲が・・・・好きなんだ」

小鳥と真由美以外に女の子が、声掛ける。


「誰、誰、」

真由美が周りを見渡す。


「・・・・」

小鳥は、黙っている。


「曲が始まった」

女の子が言う。


静かにして下さい、静かに聞いて下さい、それじゃなきゃ私、歌えないんだ。


静かに聞いて下さい、静かにして下さい、それじゃなきゃ私、歌わないんだ。


弱い弱い弱い意思で歌っているの、たった一つの無視がやる気を奪って行くと信じたくない。


短い短い短い糸に繋がれながら揺れる蜘蛛のような生き方しか許されてないの。


そんな、そんな、歌だけど、伝えたい人がいるわ、託したい人がいるわ、あなたよー。


聞いて聞いて下さい、静かに聞いて下さい、それじゃなきゃ私、歌えないんだ。


静かに聞いて下さい、聞いて聞いて下さい、それじゃなきゃ私、歌わないんだ。


弱い弱い弱い意思で歌っているの、たった一つの音がやる気を奪って行くと信じたくない。


短い短い短い糸に繋がれながら揺れる蜘蛛のような生き方しか許されてないの。


そんな、そんな、歌だけど、伝えたい人がいるわ、託したい人がいるわ、あなたよー。


「あー染み渡るわ、なんか分からないけど、胸に刺さる感じ、いいね」

女の子が言う。


その後も、そのまま、最後まで二人は聞いた。


「良かったねー、うん、ジーンと来る」

女の子が言う。


「そうね、あなた誰」


「・・・・」


「私、あや、上条綾、ベースやってるの」

女の子が親しみそうに言う。


上条綾は、七三分けの茶色短髪で、眉細めで、目鼻立ちがしっかりとした、大きな水色の離れ目で、口が大きめの、少し肉つきの小柄な女の子。


「えっ、ベースやってるの、私はキーボード、真由美です、この子は小鳥、ギターね、ねえ、いくつ、私たちは、十四歳だけど」


「小鳥です」


「同じ、同じ、十四歳、宜しくね」


「学校は行ってるの」


「行ってない」


「・・・・」


「そうか、私たちも、行ってないんだ」


「・・・・」


小鳥は真由美に帰ろうの合図をする。


「綾、綾ちゃんが良いかな、連絡交換しよう」


三人はスマホを出して操作する。


「綾ちゃん、またねー」


「・・・・」

小鳥は、手を振っている。


「小鳥ー、友達出来たね、ベースやってるんだって、いつかセッション出来るね、まあ良いか、でも、私たちと一緒の人っているんだねー、小鳥とだって、私が小鳥の動画配信を見て、コメントして、それからメールと知り合ったんだもんねー、本当、偶然、奇跡的だったねー」


「うん、・・・・そうだね、いきなりは嫌かな」


「小鳥は、綾ちゃんにメールする」


「今はいいかな」


その後、小鳥が黙った為二人は暫く、会話無く歩いている。何度も車が目の前の通り道を行き交っている。

通行人とも何度もすれ違う。


「じゃ、小鳥、ばいばい」


「・・・・」

小鳥は、手を振っている。


綾かー、・・・・驚いたよ、いきなり話し掛けて来て、真由美がいなかったら、絶対、無視よ。


メールは、しないな、とりあえず、真由美からの情報で、良いな。


ベースか、上手いのかな、セッションなんて、恥ずかしくて無理だよう。


駅前は、今は行かなくて、行かないようにしよう。

でも、あの人の歌、なんか、良かった、聞きに行って正解だった。


家に着いた、勉強しないと、午前の続きがある。

お母さんにも、学校行かない限り、家で、勉強する事。

分からないところは、お母さんに聞く事にする事。

キムさん、部屋行こう、ドアには猫が、入れる穴が作ってある。


勉強机に座って勉強を始める。

漢字か、んー難しい、頑張ろう。

キムさーん、散歩って、ここは机だよー。

机の下に降ろす。


一時間、集中してノートに漢字を書き写し、キムさーん、降りて、ここは、ノートの上だよー。

五分休もう、キムさん、キムさん、作曲じゃー。

キムさんを、腹に抱いて手を持っている。


数学かー、数式、連立方程式の計算、頑張ろう。

三十分、計算と戦って、挫け、キムさーん。

五分休もう、キムさん、またですか、作曲じゃー。


キムさん行くよと言って、部屋から階段まで運ぶ、

そのまま階段で寝た様子。

ふうー、やっとだな。


英語かー、単語、単語、単語じゃ。

一時間、単語をノートに書いて書きまくる。

五分休もう、作曲じゃ。


あーもう十一時だ、十二時にはお母さんが、帰って来る。


作曲じゃー、・・・・練習じゃ、コード進行、アルペジオ、やるぞー、やるぞー、やるぞー。










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