献上品が沢山きました。
随分前に書いていた「大魔王のお孫様!」を今回更新し始めました!
書き貯めがある分は更新していきます。
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翌日、各国の王からお孫様へと献上品が山のようにやってきた。
北の魔王からは、昨日美味しいといっていたお酒が、西と東の魔王からも甘めのお酒だといって沢山来た上に、西の魔王からは服に使うような織物さえも届いていた。
そして任命されて早々、新しい南の魔王からは沢山の果物が届いていたのだ。
みた事もない果物も多かったが、とても貴重な果物も沢山届いているとティアさんが驚いていた。
「お孫様が認められた証ですね!」
「そうだと良いのだけれど……でも一人ではとても食べきれないわ。 ここは一つ、王室騎士団と魔法騎士団を集めた立食パーティーでも開こうかしら」
「まぁ!」
「日々頑張っている彼らにこそ味わっていただきたいわ」
そう言って微笑むとティアさんは感動した様子だったけれど、まずは大魔王に相談してからがいいだろうと言われ、もう三十分もすればやってくる大魔王に話してみることにした。
すると、今回は三十分を過ぎてもやってこない………何時もなら一時間に一度会いに来るのにやってこないのだ。
仕事でも立て込んでいるのだろうと思い、プリャと一緒に絵本を読んでいると部屋をノックする音が聞こえ勇者さんが入ってきた。
どうやらこの城の王室騎士団の訓練に参加していたらしい。
「そう言えば今日は大魔王が魔法騎士団のほうに顔を出していたぞ」
「まぁ、どういう風の吹き回しでしょうね」
「何だ知らないのか? 王室騎士団にも話がいっていたが、前の南の魔王が色々やらかしていただろう? それの尻拭いとして王室騎士団と魔法騎士団が今の南の魔王城の輩を律する為に数十人派遣されるらしい」
「まぁ!」
「それだけお前に色々ヤラカシタってことだな」
そう言ってタオルで汗を拭いつつ水を一気に飲み干す勇者さんに、私は 「なるほど」 と口にした。
「俺がその場にいれば前南の魔王の首をふっ飛ばしてたんだがな」
「まぁ勇者さんったら物騒ですね」
「お前が言うな。 重力魔法の所為で元南の魔王はあっちこっち骨折してたらしいぞ」
「まぁ、か弱い元魔王ですこと」
そう言ってクスクス笑うと、勇者さんは椅子に座り私のほうをジッと見つめてきた。
「まるで籠の鳥だな」
「私がです?」
「ああ、妹のほうが伸び伸びと外で冒険している」
「妹さんとは良く会いになるのかしら?」
「たまにな、俺もこの城に何時も居るわけじゃない」
「そうなの」
「そこで、お前に一つプレゼントを渡したい」
そう言うとポーチの中から箱を取り出すと私に投げ渡す勇者さん。
箱を開けてみると綺麗な宝石がついた腕輪が入っていた。
「シドラー王国に居る賢者に作ってもらった。 それを装備していれば普通の人間として魔力を抑えながら町を歩くことも出来るだろう」
「宜しいので?」
「お前の為に俺が作るよう指示を出しておいたんだ。 ありがたく受け取っておけ。 それと時期が来たら一緒に妹に会いに行こうぜ」
「自慢の妹さんに会わせて頂けるなんて光栄ですね」
「はは!」
色合いも綺麗だしオシャレに使うのにだって向いている装備な為、何時も手持ちの鞄に入れておくことにした。
元居た世界ではゲームの中でも沢山オシャレをして楽しんでいたが、この世界にきてからは大魔王が贈る服を着て過ごしている。
そろそろ冒険者らしい服装も味わってみたいものだ。
「それと、冒険者として町を歩くなら教会でなんの職を選ぶか決めないとダメだぜ」
「私は教会で受けれるかしら?」
「どうだろうなぁ……最初にやりたい職業が決まってるなら教会で後は報告だけで済むんだけどな」
「やはり両手棍が装備できるとなると旅芸人とかその辺りかしら」
「いい所をついてくるな、玄人職だ」
―――旅芸人。
元居た世界のネットゲームで私がメイン職として使っていたものであり、回復蘇生攻撃諸々できる万能職でもある。
とは言っても勇者さんが言ったとおり玄人職でもある為、旅芸人とは名ばかりの何かと忙しい職でもある。
折角大魔王から貰った両手棍があるのだから使いたいところだ。
そんな事を勇者さんと話していると扉が開き、第魔王が「お孫ちゃーん!」 と叫びながら入ってきた。
「遅れちゃってごめーん!」
「遅れることは気にしませんので部屋をノックするのだけはお忘れなく」
「一秒でも早く会いたくて! なんだね、勇者も来ていたのかね」
「ああ、色々話をしていたところだ」
「そうです、忘れる前に大魔王にご相談が」
「何かね?」
そう言うと、献上品で食べきれない果物などを王室騎士団と魔法騎士団の皆とで立食パーティーを開けないかと相談した。
するとすんなりOKがでた。
もう少し渋ると思っていただけに以外だ、しかし―――。
「先ほど魔法騎士団に南の魔王の手伝いに行くように指示を出しに行ったのだがね、皆快く承諾してくれたが、やはり色々とやる気をもっと引き出さねばならないと思っていたところなのだよ」
「ふむふむ」
「その為に立食パーティーを開くというのは中々良いアイディアだね! お孫ちゃんに会えるというのもだが、お孫ちゃんが騎士団たちを想って開くというのなら尚更良いじゃろう」
「それは良かったです。 では双方にお伝えしておいて下さいね」
「任せたまえ」
「ところで新しい南の魔王さんはいかなる人物です?」
大魔王から直々に聞いた訳ではない為、内容も不透明な新しい南の魔王さん。
一度会ってみたいが色々忙しいらしく会う暇が無いらしい。
大魔王曰く、美しさを追求する中々素敵なオネェな魔王で西の魔王とは幼馴染だったのだとか。
勘も鋭く洞察力もある為、任命したらしい。
通りでビタミンをタップリ含んでいるような果物が多いと納得もしてしまう。
「アタシに任せて☆ って言われて任せちゃったのだよ」
「それは良い事ですね」
「元南の魔王とも面識がある相手じゃったし問題はないだろう」
南系は個性豊かな人が多いのか。
そんな事もふと思ったけれど、そこは敢えて気にしないことにした。
人間と上手くやれる魔王なら大歓迎だったからだ。
それより気になるのは元南の魔王だ………今どう過ごしているのか聞いてみると―――。
「今はこの城の牢屋で過ごさせているよ。 死刑にしてもいいんじゃがその辺りはお孫ちゃんが嫌がると思ってやっておらん」
「ふむ」
「時が来れば釈放されるじゃろうが、その時は今の南の魔王に任せようかと思っている。 色々頭を抱える問題じゃろうがな」
「そこで人間と対立したがる反乱分子と手を取り合うことにならなければ良いですけどね」
「ご心配なく。 魔力をほぼ吸い取ってお帰り願うよ」
「それなら安心ですね」
そう言って微笑むと大魔王は頬を赤く染めて 「褒められたっ」 と照れていた。
それくらいの対処はしておかねばあの元魔王は碌な事をしないだろう。
大魔王としては中々の判断をしたと言って過言でない。
そんな話をした数日後―――城の大広場にて立食パーティーが開かれることになる。
そして………。
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