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勇者にババアと呼ばれました。

随分前に書いていた「大魔王のお孫様!」を今回更新し始めました!


書き貯めがある分は更新していきます。

応援宜しくお願いします(∩´∀`)∩

 当時は沢山の冒険者が魔王や大魔王を討伐する為に挑んできたらしいが、世界最強な大魔王の前には誰もが震え戦うことができなかったらしく、殺す訳でもなくお帰り願っていたそうだ。

 殺傷すると言うことに興味を持たない大魔王にとっては、サッサと帰っていただいたほうが何かと心身にも良かったのだという。



 しかし、元々勇者の家系であるシドラー王国から勇者がやってきたときは激しい戦いを繰り広げたらしいけれど、結局勝負は引き分け―――に、留まらず、ここまで大魔王を追い詰めたその血筋の素晴らしさに感動し、平和協定を結んだのだという。



 その後、勇者が代替わりし、異世界に居る孫と結婚させて今後は大魔王の血筋と勇者の血筋で世界を守っていこうではないかとなったらしい。



 とは言っても、各国に指示を出したり本当に細々とした仕事は人間の王たちにさせるらしいけれど、監視役としても大魔王と言う座は大事なのだという。





「しかし、大魔王の孫と勇者が本当に結婚なんて出来るのでしょうか」

「何故そう思うのかね?」

「仮にも相手は勇者の一族です。 その勇者の一族が大魔王と血縁関係になり、更に大魔王と勇者の血を引く子が出来るというのは、些か問題があるのだと思うのですが」

「ふむ、確かに魔物たちの中にも人間たちの中にもそういった意見は多数出ているのは間違いないのじゃがな」

「?」

「それでも、今ある制度等を管理する、監視するといった面で言っても人間にとってはプラスのほうが大きいのじゃよ」

「なるほど……」

「魔物のほうは、まぁ人間にちょっかい出したりするわけじゃが、そう言った魔物がいるからこそ冒険者と言う生業も成立している。 皆仲良くは流石に出来ぬ話じゃのう」






 そう言って溜息を吐く大魔王に、私も納得せざるを得ない。

 確かに冒険者の収入は魔物を倒すことやクエストをクリアすることが殆どだし、その辺りを考慮すれば―――致し方ないのだろう。





「で、孫ちゃんは勇者のお城に行く前に色々この世界の基礎を学んで貰う訳じゃが……剣と魔法の世界と言う言葉だけでは不安じゃろうなぁ……こんな過酷な世界に召還した爺を許しておくれ」

「何を仰います。 剣と魔法の世界、素晴らしいじゃないですか。 あらゆるジョブ、職が存在し、ギルドなんかでも依頼をこなして生計を立てる。 金策はギルド、もしくはクエスト報酬そして魔物が落とすレアアイテム! 嗚呼……想像するだけで楽しくてワクワクする世界ですね!」





 そうゲーマーの思いのたけを口にすると、大魔王は涙を浮かべて感動しているようだ。






「ワシが基礎を教えなくともそこまで知っているとは!!」

「あのですね大魔王。 私のいた世界ではそう言った世界を舞台としたゲームが沢山存在するんです。 そして私はそういったゲームを沢山堪能してきたわけですよ」

「ほほう」

「なので剣と魔法の世界はあるある程度ではありますが想像も出来ますし知識もあります。 問題は異世界に飛ばされてきたのですからお金のやり取りやこの世界のアイテムにどんなものがある科などの知識です」

「ふむ」

「それと、勇者がどんな人物かもわからないのに結婚なんて……ありえませんね!」





 そう言って最高の微笑を浮かべると、大魔王は頬を赤く染めたままショックを受けた様子。

 何があったのかと思うと――――。





「そ、そんなにお爺ちゃんと一緒にいたいのじゃね!」

「それとはまた違った話ですね」

「お爺ちゃんと離れたくない為に勇者との結婚を拒む! 嗚呼! 神よ! この奇跡に感謝します!」

「大魔王の神ってなんでしょうね」

「こうしては居られぬ! 現勇者に連絡を居れて婚約は破棄すると 「落ち着いてください」 お爺ちゃんだけのお孫ちゃんの誕生だぞおおおお!!」





 そう言うと大魔王は部屋を飛び出し目にも留まらぬ速さで居なくなった。

 その様子を一部始終みていた専属の侍女であるティアは私に歩み寄り 「あの……」 と口にする。

 嫌な予感しかしない。





「ああなってしまわれた大魔王様の暴走を止める術はお孫様にしかありません……このままでは勇者と大魔王との戦いが再度勃発していまいます」

「とは言っても私も勇者と結婚する気はないのですけどね」

「そこをなんとか……一ヶ月か二ヶ月くらい一緒に過ごしてイヤだと思えば帰ってくるくらいの心で」

「ティアさんお母さんみたいなこと言いますね」





 とは言え、ティアさんがハラハラしているところをみると本当にナニカをしでかしそうなので私は大魔王のいるという部屋に案内してもらうことにした。

 しかし、この大魔王の城………普通のRPGでは薄暗い明かりも少ない部屋が普通だと思うしラスボスダンジョンなのだから色々あってもおかしくないと思うのに―――何故こうも太陽の光を取り入れた煌びやかなまるでどこぞの神殿のような造りなのだろう。





 突き当たりの部屋に案内されると、扉の前には 「大魔王のお部屋」 と言うファンシーな壁掛けもあるし、色々と頭が痛い。

 そういえば私の部屋にはこういったものはあるのだろうか、後で確認しておかねば。

 軽くノックしてドアを開け、ティアさんにはそこで待ってもらうように指示を出して入っていくと―――。







「孫ちゃんはワシと一緒に居たいって言ってくれてるもん! 勇者の嫁にならないっていってるもん!!」






 嗚呼……黒電話でやりやってらっしゃる。

 電話越しに聞こえるのは誰の声かはわかりませんが、大魔王は駄々をこねるかのように孫は自分のモノだと主張してらっしゃる。

 こういう大人ってイヤだな~。

 そんな事を思いつつ背後からツンツンと大魔王を突くと、ハッとした様子で私を見つる爺。





「安心してね孫ちゃん! 今お爺ちゃんが孫ちゃんの未来の為に色々手を尽くしてるとだから!」

「ええ、未来は既にこの異世界につれてこられた時点でアウトです。 終わってます。 ところで今お話している相手はどなた?」

「現勇者のヤマト君だよ!」





 そう言って笑顔で答えた大魔王から受話器を奪い取ると 「もしもし?」 と声を伝える。

 すると聞こえてきたのは声変わりしているのかどうかも怪しい男の子の声………。

 そして開口一番に言われた言葉が―――。






『言っとくけどな! 俺はババアと結婚する気はもとからねーんだよ!!』






 カッチ―――ン。

 大魔王の持っている杖から炎が立ち上り、慌てふためいているのを無視して笑顔のまま言葉と綴る事にした。





「初めまして、現勇者様。 私大魔王の孫です」

『大魔王じゃねーのかよ』

「ババアと仰いましたけど、私まだ十六です。 貴方はお幾つです?」





 怒りを抑えて聞いてみると、同じ十六歳だという。

 それでババア扱いは許せない。

 と―――言うよりは私の年齢を伝えてなかったのだろう、勇者はハッと息を呑んだのが解った。





「同年代にババアって言う事は世の中ではロリコンって言うんですが、勇者様はロリコンであらせられるのでしょうか?」

『そっちの爺が二十歳辺りっていうからババアっていったんだよ』

「そうですか、では後で大魔王を絞めておくとして、私はこの世界に無理やり召還されたばかりなので色々お手柔らかに頼みます。 それと、やはり顔も知らない相手と結婚しろと言うのは勇者でもイヤでしょう」

「孫ちゃん可愛いもん!!」





 そう言って隣でプンプン怒る大魔王にあっちへ行けと指で指示を出すと、大魔王は渋々奥のソファーに座った。

 一々反応されたら煩いったらない。

 ションボリする大魔王を他所に、私は気を取り直して勇者と言うヤマトと会話を進めることにした。





「私は昨日この世界に召還されたばかりです。 ある程度の剣と魔法の世界はわかるのですが、お金のやり取りなど細々としたところが解りません。 故に暫く時間が欲しいのもあります」

『ほう』

「それらを経てから勇者に会い、お互い気が合うかどうかを決めてからでも遅くは無いでしょう? 如何です?」





 そう提案すると、勇者は暫く考え込んだ後 『いや……』 と言葉を続けた。





『俺としてもサッサと嫁は見つけて落ち着いておきたい。 近いうちに会いに行く』

「まぁ、大魔王の城までお越しくださると?」

『この世界じゃな、気が合う会わない関係なく親や親族が決めた相手とは結婚するのが普通なんだ。 覚えておくんだな』

「覚えておきましょう。 でも決めるのは私たちです」

『はは! 気が強い女だな』

「お褒め頂き光栄です」

『三日後の夜なら俺も時間が空いている。 三日後に会おう』

「では三日後に」





 そう言うと受話器を置き、私は溜息を吐くと大魔王は私に駆け寄ってきた。

 三日後と言う言葉が気になるのだろう。 ずっと 「三日後ってなに!」 と連呼している。

 子供か!!!

 ―――と思ったけれど、内容を伝えると落ち着いたような、でも残念がって居るようなそんな様子で溜息を吐いているようだ。

 大魔王だけの孫と言う爺からすればロマン溢れたシナリオもこれで途絶えたようなものな為、そこも面白くなさそうではある。

 しかし……。





「孫ちゃんが嫌なら何時でも婚約破棄していいからね! そしてお爺ちゃんとだけで一緒に生活していこうね!」

「遠慮します」




 そう言って微笑んだその三日後―――私は婚約者である勇者と会う事となる。

 しかし………。





++++

楽しんでいただけたでしょうか?

ポチッと応援等あると頑張れます。

また「転生魔王は寺に生まれる」の応援も宜しくお願いします(`・ω・´)ゞ

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