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流石、RPGの世界だと思いました。

随分前に書いていた「大魔王のお孫様!」を今回更新し始めました!


書き貯めがある分は更新していきます。

続きの更新がリアルばたついて遅れました(;´Д`)

応援宜しくお願いします(∩´∀`)∩

 リアル世界は大変だったようで、女子高生行方不明事件は全国的に報道されていた。

 梅雨時期に事故にあったのでは?

 ナニカの事件に巻き込まれたのでは?

 そんな報道がされる中、父だけは冷静だったのはこのときの私は知る由も無く―――。





 早朝六時。

 大魔王がこれだけでも持っていって欲しいとベッド脇に置かれたのは、私が小さい頃欲しいと言っていたアニメの目覚まし時計だった。

 アニメキャラの声で目が覚め、辺りを見渡すと見知らぬ部屋……そういえば異世界と言う名の父の故郷に召還されたのだと思い出す。

 起きたら鈴を鳴らすようにと言われていた為、近くにある鈴を鳴らすと二人ほどの魔物の女性が現れた。

 どうやら身支度の世話をしてくれるらしい。

 それだけではなく、私専属の魔物侍女もいるようで、なんともお姫様な気分になる。

 ―――周りは全部魔物だけど。





「私の名はティアと申します。 お嬢様専属侍女ですのでどうそお好きにお使いください」

「お好きにお使いはしませんけど、何かと大変なこともあるでしょうがこれからよろしくお願いします」





 そう深々と頭を下げると、ティアさんは土下座までして私より腰を低くした。

 どれだけの待遇なのかと思ったけれど、この異世界を束ねる大魔王のたった一人の孫だというのならそれも致し方ないのかもしれない。




 ティアさんが言うには、代々大魔王の血族とはとても大事にされるのだとか。

 その血筋も大魔王と言う本家ともなれば待遇も違うようで、私はそのたった一人の孫だからこそ、例え人間の血が入っていようと大切にされるらしい。





「では、分家は何て呼ぶんです?」

「大抵は 【魔王】 と言う呼び名で通っております。 大魔王と名乗れるのは後に跡目をお継ぎになるお孫様のみです」

「大魔王の孫が勇者と結婚ねぇ……」





 世界が混乱しそうだ。

 そんな事を思いつつも、大魔王が用意したという服は私の趣味には合わなかったので、この世界に来たときの服装―――つまり制服で過ごすことにした。

 後でいろいろ文句を言ってやろうと思いつつも、朝食の準備が出来ているらしく私はティアさんと一緒に豪華な部屋へ入っていった。





「グッドモーニング! 良く寝れたかな?」

「ええ、それはもうフカフカのベッドで驚きました」

「本当なら孫ちゃんの部屋のベッドで寝て欲しかったのじゃがねぇ。 そうそう、部屋は全て青で揃えているから今日からはその部屋で過ごすと言いじゃろう」





 たったの一夜で改造したのか。

 さすが大魔王なだけあって資金もタップリとあるのだろう。





「しかし、こうやって家族と食事をするのは何時振りじゃろう……息子と過ごした時間は短いものじゃったが、やはり孫と一緒に食事と言うものは食欲が増すのう」

「その様ですね。 そのスープの御代わりが既に五杯目です」

「孫ちゃんの顔だけで野菜タップリのこのスープが十杯は飲める」





 キリッ! と言う表現がピッタリあいそうな表情で私の顔をジッとみつめながらスープを一気に飲み干す大魔王。

 正直見られながら食べるのは食が進まない……。

 進まない理由はもう一つある。

 私が小さい頃食べたかったタコさんウインナーにキャラ弁のような食事だからだ。





「……大魔王、一つ質問して宜しい?」

「なんじゃね」

「目覚まし時計といいこの食事といい、私はこれでも十六歳です。 年相応のモノがうれしいのですけど」

「なんと! 昔からそう言うものに憧れていたのをお爺ちゃんは見抜いていたのに! そんなお爺ちゃん心を粉砕するとはっ 流石勇者の嫁……」

「いえ、ごく自然の事です」





 隙あらばそう言うやり取りをしようとする大魔王に素っ気無く返事で返すと 「ノリが悪い~」 とプンプン怒られましたが無視した。

 大魔王の威厳は何処へやら……目の前の爺は本当に一般的な家庭の祖父と言うイメージが強くなっていく。

 それと同時にもう一つ気になることも―――。





 ティアさんが言うには、本家である大魔王と分家である魔王がいると言っていた。

 つまり、人間の血を引く私よりも、分家である魔王から跡目を見つけてくるほうがよかったのではないだろうか?

 魔物からしてみれば人間とは虚弱な生き物に過ぎない部分も捨てきれないだろう。

 例え本家である大魔王の血を薄くでも引いていたとしても、やはり分家には劣るのではないだろうか。



 それなのに何故、態々私を召還してまでこの世界に呼び出したのか。



 これは、一度大魔王に聞いてみるしかないだろう。





「ところで大魔王、食事が終わり次第色々お聞きしたいことがあるので、後で私の部屋に来ていただいても?」

「無論じゃとも! ワシも色々準備していたものがあるしのう!」

「ではご飯を食べてしまいましょう。 美味しいんですがこれからの食事は普通の見た目でお願いしますね」





 そうシェフであろう方にお願いすると 「畏まりました」 と言ってくれたので助かった。

 その後食事も終わり新しく青で統一された部屋に案内されると、大魔王も部屋に入ってきては賞賛していた。

 確かに青は落ち着く……ピンクはどうも落ち着かない色だ。





「で、孫ちゃんが聴きたいと言う事はなんじゃね?」

「ええ、態々人間の血を引く私でなくとも、分家である魔王の方から跡目を何故見つけてこなかったのか……と言う疑問があるからです」

「ほう」

「人間は虚弱です。 魔王の血筋ならばその辺りは心配も要らないでしょうし、さして問題にもならないことでしょう。 何故異世界から私を召還したのです」





 そう真っ直ぐ大魔王を見つめて口にすると、肩を揺らし大笑いをし始めた。

 気でも触れたかジジイ。



 そんな事も思ったけれど、どうやら違う様子―――。







「いやはや、確かに分家である魔王から跡目を見つけてくることは可能だよ? ワシと同じだけの力があればの話じゃがね」

「同じ位の力というと?」

「大魔王の血とはそれだけ特殊なのじゃよ。 孫ちゃんは人間の血を引き継ぎながらも、ワシと同等の魔力と強さを持っている。 嬉しい誤算ともいうべきかね?」

「私は今までそんな力を持っているなんて知りもしませんし、父も何も言いませんでしたよ。 そもそも大魔王と同等の力があるなんて私には実感すらありませんし」

「では、この杖を持ってみたまえ」





 そう言って差し出された大魔王愛用の杖を持つと、空気のように軽い。





「感想は?」

「空気を持つようで軽いです」

「うん、この杖は魔力の強いものが持てば空気のように軽く、手に馴染む。 そうでないものには腕を引きちぎられるほどの重さを感じるじゃろう。 早い話が大魔王の素質はこの杖を持てるか、そして軽々と操れるかにもよるのじゃよ」

「へぇ~。 へし折ってもいいですか?」

「折っても元に戻るようになっておるよ」






 ッチ。

 内心舌打ちをして微笑んだ。

 しかし確かにこの杖は軽い……本当に大魔王の言っている通りなのだろうか。

 物は試しに魔法でも使ってみたいな~と思い、炎が燃焼するイメージをしてみると、杖から炎があふれ出してきた。





「まぁ凄い」

「こらこら! 行き成りそんな上級魔法を使ってはならん!」

「ただのお試しですよ」





 そう言ってイメージを消すと杖から吹き出た炎の球体は消えてなくなった。

 なんて便利。

 それに私でも一応杖を使えば魔法は使えるのだと確認できた。

 これでも数あるRPGを元の世界では堪能してきているのだから、魔法の数は膨大に頭にリストとして残っている。

 つまり、この杖を使えばそれだけの魔法が自分の力で使えるというのはかなり魅力的。

 流石RPG世界。

 試に杖無しでも魔法を放ってみようとしたけれど、何も起きなかった。

 ―――やはり杖が必須ということか。





「人間として生まれてきた以上、杖無しでは魔法は使えないんですね」

「コレよりは劣るがもう一つ武器があるからそれを孫ちゃんには護身用として持ってもらおうと思っているから安心するといい」

「まぁ嬉しい、どんな武器なんです?」

「鈍器」





 そう言って嬉しそうに微笑んだ大魔王の脇に、両手杖を振りかぶって叩いておいた。

 しかし聞くと鈍器と言いつつも、RPGではマイナーではあるものの、両手棍だという。

 元々両手棍は好きなので嬉しい。





「本当は件の両手棍は孫ちゃんのお父さんが使っていたものなんじゃよ」

「お父さんが?」

「孫ちゃんのお父さんはかなりの棍使いでのう……魔法を使わなくとも技だけで敵をなぎ払っておったよ。 流石ワシの息子!」

「お父さんは普通のサラリーマンですけどねぇ」





 大魔王に言われてもピンと来ない。

 何時もスーツで会社と言う戦場に向かっていた父は、母と私にはとても甘い人だった。

 特に母とは今でも新婚か! と言うくらいラブラブだったし、娘の私にも沢山の愛情を注いでくれた。





「そんな私を無理やり異世界に連れてきた大魔王は、何時か父に殺されるんじゃないですか?」

「ならば戦って見せよう! 愛する孫を守るためならワシはこの城を壊してでも魔法を使い彼奴を倒そう!」

「大魔王VS大魔王を辞退した男ですか。城が壊れるのは色々困るので外でやってくださいね」

「孫ちゃん優しいっ」

「当たり前の事を言っただけです」





 そう言って素っ気無く返すと、今度は大魔王のほうから話があるそうで聞くことになった。

 確かに今の現状では大魔王が世界の均等を保っているのらしい。

 が―――私にはさして色々帝王学なんかを教える気はあまりないそうだ。

 その代わり、勇者のもとへ言って色々な手伝いをして欲しいのだという。

 そうする事でお互いがより深く知ることができるだろうという事と、今後の夫婦生活も円満になるだろうという事だった。





「偏った知識を教えるんじゃなかったんですか?」

「ある程度はワシが色々教えることにはなる。 基礎と言う基礎は教えるつもりじゃ。 しかし応用となるとやはりグランゼ王国の第二王子、つまりお前の旦那さんである勇者と話し合いながら進めていったほうがいいじゃろうと、グランゼ王国の王と元勇者との話し合いの結果なっておる」

「元勇者なんているんですねー」

「大魔王であるワシと平和協定を結んだのも元勇者であるアンクじゃったよ」





 そう言うと大魔王は当時の事を振り返るように話し始めた。



++++

楽しんでいただけたでしょうか?

ポチッと応援等あると頑張れます。

また「転生魔王は寺に生まれる」の応援も宜しくお願いします(`・ω・´)ゞ

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