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門をくぐって初めに感じたのは人々が周りはなっている熱気だ。まだ元の世界では春先だったはずだが、中に入った瞬間少し熱いと感じてしまうほど賑わっていた。
そしてそこにいたのは人だけではなかった頭に動物の耳らしきものが生えている獣人らしき人もいるし普通の人よりもかなり小さい60㎝くらいのひとも見受けられた。
「どうでしょうかこの都市は、確かに王国とは争っていますがそれでも商人には関係ないので相当賑わっているでしょう」
「いやこれはすごいな、正直驚いたかなり栄えているんだな」
どうやら少しの間立ち止まっていたらしい、ヘロンはさも自分の都市が褒められてうれしいように笑みを深めた。
「ええそうでしょう、かなりほかの商人の方々も頑張っておいでですからね。そうそう私の店に行く前に、商業ギルドのほうに寄ってからでもよろしいでしょうか」
「ああ分かったどうせやることもないしな」
そこからヘロンとともに大通りらしきところを進んでみたが、かなりいろいろな店が出ていた新鮮な果物を売っている店や小麦らしき穀物を売っている店、武器を専門でうっているのかどれも切れ味がよさそうに光る剣を飾っている店、試験管らしきものに入った何かの液体を売っている店もあった。
「おいヘロンあのいろいろな液体を売っている店はなんだ?」
「ああ、あの店は錬金術師がおそらく作ったであろうポーションですね、何か惹かれるものがありますか」
「いやただな…なにか店主の顔に違和感を感じただけだ、気にしないでくれ」
俺は小さいころから大人たちの顔色を窺って生きてきたから人の表情の変化に敏感だったのだが、その店主の顔は俺の嫌いな顔をしていた。それは人のことを人として認識していない、つまり食い物としてしかみていない顔だった。
「ふむ、違和感ですか。サトルさんが言うとなにか説得感がありますねぇ」
そう言うとヘロンは目を細めてその店主と店を観察し始めた。
「値段は特に法外なわけではない…ではポーションのほうに仕掛けが………なるほど、違和感の正体と言いますか店主のやり口はわかりましたね。遠目ですから多分としか言えませんけど、おそらくはポーションの純度が違いますねあれは」
ヘロンは長年の経験からそう結論づけた、ポーションは蓋を開けたりすると中身の劣化が始まるし何か別なものが入っていたりするといろが若干だが変わるのだ。
「純度というと何か問題があるのか?そりゃあ何かしらの問題があるだろうが」
「そうですね純度100%のポーションと50%のポーションがあるとします。その効果の違いは100%に対して50%のほうは25%ほどしか効果を発揮しないのです。私も専門ではないので詳しくは聞いたことがないのですが、不純物が混じると効果が著しく落ちるらしいです」
「なるほどなじゃあどうする今すぐ言いに行ったって意味はあまりないだろう」
おそらく信頼を下げることは可能だがそのあと別な街に行ったりして同じことをやられたり、そもそも証拠隠滅ということで襲われたりでもしたらたまったもんじゃないしな。
「ええですのでこのあと商業ギルドに行ったときに報告をすれば調査をしてくれるでしょう。まあそれまでのお客様には残念ながら犠牲になってもらうしかないでしょうが。ですがあれを見破れない方々が悪いので仕方ないのですけどね」
「それもそうか、それにしてもヘロンはいろいろなことを知っているんだな」
「ええ少なくともサトルさんよりは知っていると思いますよ」
そういってはぐらかされてしまったがその後もいろいろなことを聞いてみながら歩いていたらいつの間にか商業ギルドの近くまで来ていたらしい
「さあつきましたよここが商業ギルドクラリス支部です」
そうにこやかに言われて手のさすほうを見ると周りの建物とは大きさも質も異なる3階建ての建物があった。木造主体なのは同じなのだが木の色の深みが周りの建物よりも深く、それでいて柱はとってきた木を丸々使用してるるのかとても太くそれを何本も使っていてとても頑丈そうな作りの建物だ。
建物の前で立ち止まっていると中から職員とおぼしき人が出てきてこう言った。
「ああやっと帰ってきたのですかギルドマスター。馬車は私が片付けておくので中に入って大丈夫ですよ」
「ぎ、ギルドマスター!?おい俺は何も聞いてないぞヘロンってそんなにすごい役職についてたのか」
「そういえば言っていませんでしたね。では改めてこの支部のギルドマスターを務めているヘロン・ドゥーベです。これからもよろしくお願いしますねサトルさん」
そういうといたずらに成功したような笑顔を浮かべた。