漫才「新学期」
漫才18作目です。どうぞよろしくお願いいたします。
二人の教師が、職員室の窓から外を眺めている。
ボケ 「春ですなあ」
ツッコミ「そうですねえ」
ボケ 「もうすぐ新学期ですなあ」
ツッコミ「そうそう、いよいよ始まりますねえ」
ボケ 「その新学期のことなんですけどね、折り入って先生に相談がありまして」
ツッコミ「なんでしょう? まあ聞くだけ聞いてみましょうか」
ボケ 「僕の国語と先生の英語なんですけどね、代わってもらえませんか?」
ツッコミ「・・・はあ? すみません、聞き間違えかもしれませんので、もう一度言ってもらえますか?」
耳元に口を近付けて、
ボケ 「受・け・持・ち・を、代・わ・っ・て・も・ら・え・ま・せ・ん・か?」
ツッコミ「はっきりと聞こえました。すごい相談ですねえ。理由はなんなんです?」
ボケ 「国語、飽きちゃったんですよねえ」
ツッコミ「ははは、飽きちゃいましたか」
ボケ 「そうなんですよねえ。授業をやっていても、ちっとも楽しくないんです」
ツッコミ「なるほど、それは困りましたねえ」
ボケ 「あー、生徒が羨ましい。彼らはいろんな種類の授業を受けられますからね」
ツッコミ「確かにそうですね」
ボケ 「教師の方は、来る日も来る日もおんなじ授業ばっかり。なぜなんです?」
ツッコミ「考えてみれば、不公平な話ですね」
ボケ 「漢字、ひらがな、カタカナ、あー、もう見たくもない」
ツッコミ「ははは、これはかなり重症ですね」
ボケ 「そこで思いついたのが、英語のアルハベットです。今まであまり目にしていませんでしたからね、これは新鮮でしたよ」
ツッコミ「正解はアルファベットです。発音がそんなんで、生徒に教えられるんですか?」
ボケ 「心配ですか? 出来るわけないと思っているんですか?」
ツッコミ「いやそんなことは・・・いちおう聞いておきたいなあと思いましてね」
ボケ 「大丈夫なんですよ。授業では洋楽を流しておきますから、発音には問題はありません」
ツッコミ「それだけで授業になりますかねえ?」
ボケ 「生徒に訳させます」
ツッコミ「その訳が正解かどうかは、先生には解らんでしょう」
ボケ 「ネットで調べればたぶん載っていますよ」
ツッコミ「質問が来たらどうするんです?」
ボケ 「そんな不届き者がいたとしたら、先生のところに行かせますからよろしく」
ツッコミ「綿密に計画を立てたんですね」
ボケ 「もちろんです。なにせ深刻な状態なものですから」
ツッコミ「本気さが、ちゃんと伝わってきましたよ」
ボケ 「これで安心できましたか?」
ツッコミ「なにも私が安心する必要はないでしょう」
ボケ 「そうでした。困るのは生徒の方でしたね」
ツッコミ「国語かあ・・・どうしようかなあ」
ボケ 「気がすすみませんか?」
ツッコミ「どうせ代わるのなら、体育をやってみたいなあって思いましてね」
ボケ 「外かあ、それもいいですねえ」
ツッコミ「私、ちょっと、体育の先生のところに行ってみます」
立ち去って行く。
ボケ 「ずるい、抜け駆けはなしですよ」
追いかけて行く。
読んでいただき、どうもありがとうございます。