山小屋
花夜が目覚めると吹雪はやんでいた。
大あくびをしながら目覚める花夜。
ふと気付いた、自分の手の中に収まっていたはずの子供の手がないことに。
花夜が辺りを見回すと、狩夜と一緒に朝食を食べていたのでホッと胸をなでおろした。
「で、なんであんなところで倒れていた?」
狩夜は子供に話しかける。
花夜も子供の方を見て会話に加わる。
子供の格好は山越えを考える登山者の格好はしていない。
それどころか薄布一枚のシャツに半ズボンのような白いズボンを履いておりとても登山出来るような装備ではない。
青い髪と澄んだ瞳が特徴的だが、見た目では男か女か判別しづらい感じだった。
身長は花夜より少し小さめだ。
子供は話し始める。
「クウはね、鳥人族の渡りをしてたんだけど...、この吹雪で群れとはぐれて落ちちゃったみたい....」
「鳥人族....?」
狩夜は呆れて鼻で笑うとクウはムッとした顔して姿を変える。
クウの体は青い鳥となり凛とした姿を見せる。
割と大きくこの小屋が狭く感じるほどの大きさだ。
突然の出来事に狩夜と花夜の空いた口が塞がらない。
「どう?これで信じた?」
クウは得意げに言う。
花夜はそんなクウの姿を見て羽の部分を触ってみると、フワフワであったかく気持ち良い。
「ひゃい!」
クウが変な声を上げて嫌がったので花夜は手をどける。
「羽触られるの嫌なの?」
「嫌じゃないけどびっくりした...」
普段羽を触られないのでびっくりしたようだ...、人間でいうとお腹辺りを触られるようなものだろうか?。
クウは素の姿に戻り食事を続ける。
しばらく談笑し食事を終わらせてこれからのことを話す。
「で、クウはこれからどうするんだ?、群れから離れたらもう出会える確率は少ないんだろ?」
狩夜の言葉にクウは唸る...。
「う〜む...、そうなんだよね、クウ一人で生きていけるわけないし、どこかで群れを見つけるまではどうしよっかな〜...」
クウはふざけたような言動で話しているが表情は結構真剣だ。
そんなクウを見た花夜はクウの手を取りこう言った。
「クウちゃんも私達と一緒に行きませんか?」
「え!?、いいの!?」
クウは喜んだ顔を見せるが、狩夜はその言葉に反対する。
「おいおい、もう一人面倒見るのはごめんだぞ...、ただでさえ食費やらが圧迫してるんだ」
「なら、私が面倒を見ます!」
花夜の凛々しいまでの表情に狩夜はやれやれと言った仕草をする。
「仕方ないから連れて行くが....、花夜!お前がしっかりと面倒見るんだぞ!」
狩夜はいくつかの条件を貸した。
仕事をするときにはクウの食費分も花夜が働くことと普段の連れ歩きも花夜がクウの面倒を見ること。
最後にクウにも働き方を教えて最悪こっちの世界で生き抜けるようにすること。
「次どこ行くの?」
クウが聞いてきたので狩夜は答える。
「氷の国アイシス」
「それなら知ってる!ここに来る前に見たよ」
クウは外へ駆け出す。
「おい、待て」
狩夜と花夜は急いでクウの後を追う。
そして、クウは鳥の姿になり背を下ろして二人に背中に乗れと指示する。
二人は目を合わせて戸惑いながらもクウの指示に従う。
「いっくよ〜!」
元気よく声を出したクウは勢いよく走り出しす。
斜面を利用して加速して行く。
二人は振り下ろされないようにしっかりとしがみつく。
一定の助走をつけたクウは勢いよく飛び上がり、空へと飛び立つ。
「これは...すごいな....」
「狩夜お兄ちゃん、山小屋が小さく見えますよ!」
花夜が先ほどの山小屋を指差す。
「ふっふ〜ん、これでもクウは鳥人族の一匹だから!」
クウは誇らしげに空を舞う。
二人を乗せて空を飛べるクウの能力の高さに感心した狩夜であった。
無理に歩いて山越えをしなくてもこういう方法があるのかと新たな発見に狩夜の心は踊っていた。
この勢いならばアイシスまでそうは時間がかからないだろう。
次回...、氷の国アイシス。
クウちゃんの衣装考えないと...。