奇襲
狩夜は寝ている花夜を起こす。
まだ朝は来ていない。
花夜は眠たい目をこすりながら目覚めた。
「何ですか狩夜お兄ちゃん....まだ朝には早いですよ....」
すごく眠そうな花夜を近くに寄せる。
少し花夜がドキドキした時に狩夜達の部屋に何者かが押し寄せてくる。
扉を蹴破って現れたのは5人の山賊のような見た目のオーク達だった。
いきなり狩夜達に斧を振り向けて交渉のようで交渉ではないことを話してくる。
「そこの人狼のお嬢ちゃんをこっちに渡してもらおうか...、そしたら命まではとりゃしない、俺は根っからの獣人ファンでな獣人族の耳をコレクションにしているんだ」
オーク達の中で一番でかいやつが服装の一部に獣人の耳の毛皮が装飾されているのを見せびらかしてくる。
花夜はそれを見て恐怖に悲鳴をあげる。
「大丈夫だ」
狩夜の言葉、少なくとも頼もしく力強い言葉に花夜は落ち着きを取り戻す。
「悪いが、こいつは俺の相棒だ、手を出させるわけにはいかないな」
狩夜は静かに戦闘態勢をとる。
「チッ、人間の男なんてなんの価値もねぇ...、お前らさっさと片付けろ」
オーク達は斧を片手に狩夜に斬りかかってくる。
狩夜は狭い部屋の中で花夜を守りながら戦う。
狩夜は素手で武器を持ったオーク達4人と張り合っている。
いや、むしろ狩夜の優勢に見える。
「ほう...」
オーク達の親玉は狩夜の戦いぶりに感心したような素振りを見せる。
最後の一匹を片付けると、狩夜はオークの親玉を睨みつけながら前進する。
「少しはやるようだな、だが俺様はほかのやつとは違うぞ」
オークの親玉はゆっくりと狩夜に近づく。
お互いに一定の距離に詰め寄るとお互いの顔を見る。
お互いの力量を測っているのだろうか?
しばらくすると先に動いたのは狩夜だった。
足払いをかけたがオークの親玉はビクともしない。
何かしたのか?とでもいうような余裕を見せる。
「いくら強かろうが所詮は人間、我ら魔族と比べると能力はたかが知れている」
狩夜は間を置かずに連撃を繰り出すがあまりダメージはないようだった。
逆にオークの親玉の一撃を受けた狩夜は一撃で仰け反り攻撃を受けた肩を抑えている。
オークの親玉は笑いながら狩夜を指差す。
「それだよ、その脆さが人間の証だ、もしもお前が魔族でそれだけの熟練した技があったなら俺なんぞは到底及ぶまい、非力な人間に生まれたことを後悔しながら死ね」
オークの親玉はとどめとばかりに追撃を行う。
花夜は目を見開いていた、狩夜の体から青い閃光のようなものが滲み出してきたからだ。
オークの親玉もそれに気づき一度距離を取る。
「なんだ?魔法か?....いやこの感じ魔法ではないな」
オークの親玉は狩夜の体から滲み出る青い波紋を警戒して近づかない。
狩夜はゆっくりとオークの親玉を見る。
一瞬だった。
狩夜の拳はいつの間にかオークの親玉の脳天を叩きつけていた。
狩夜の攻撃を受けたオークの親玉はゆっくりと倒れ伏した。
狩夜は息を荒げながらも勝利した。
その時狩夜の後ろからさっき倒したはずだったオークの一体が起き上がり、狩夜に気づかれないように近づいているのを花夜は見た。
声が出ない、叫べばオークはこっちに狙いを変えるかも知れない、黙っていれば狩夜は後ろから殺されるかも知れない。
タッ。
そう思った花夜の体はいつの間にか地を蹴っていた。
誰でもない自分自身の意思で狩夜を助けたいと思ったのだ。
花夜は短剣を引き抜きオークの一体に突き刺した。
昼間のノロノロの動きとはわけが違う俊敏な動き。
オークが悲鳴をあげると狩夜はそいつに一撃を入れる。
そいつを倒すと、狩夜はその場に座りこんだ。
花夜は狩夜に近づいて声をかける。
「狩夜おにいちゃん.....私....」
花夜の手はオークの血がべったりと付着し血なまぐさい匂い放っている。
何が起きたのか理解した狩夜はそっと花夜の頭を撫でてこういった。
「ありがとな、助けてくれたんだろ?」
花夜は涙を流しながら狩夜に甘えるように抱きついた。