初めての仕事
花夜ちゃんのはじめての仕事です。
飢えた狼は一話を短めにして展開していこうと思います。
一気に書くより小出しに書いた方がいい気がしたのでしばらく試してみます。
花夜は短剣を構えて目の前にいる玉ねぎの魔物と睨み合う。
狩夜は花屋の戦いを後ろで見守っている。
花夜が玉ねぎの魔物に近づいて短剣で突き刺そうとするが簡単に回避されているのを見た狩夜は呆れた表情で手で顔を覆う。
(嘘だろ.....、まさかここまで花夜の能力が低いとは)
狩夜は困っていた、最弱クラスの魔物の討伐依頼を受けたのだが、花夜はそれすらも倒せそうにない。
流石にこのまま時間を浪費されるのは狩夜的に困るので玉ねぎの魔物を一蹴する。
残った一匹を花夜が倒す様にやらせているのだがなかなかうまくいかない。
狩夜は人に教える様なタイプの人間ではないが、流石にここまで酷いとどう教えればいいか困る。
「まず相手の動きをよく見ろ!、ただ飛び跳ねてるだけだ!、簡単に倒せるはずだ!」
当たり前のことだが玉ねぎの魔物は攻撃能力が著しく低く耐久力もない。
それに苦戦している様では花夜と旅などとてもできない。
狩夜自身そこまで強い部類ではない。
本当に強い悪魔などとぶつかれば簡単に殺されるだろう。
そうなった時に花夜はまた1人になる、その時にせめて生き残れる様に戦う力は最低限必要だ。
もし彼女が1人になった時に力がなければまた奴隷になるかもしれないのだから....。
狩夜はアドバイスをしながら花夜の行動観察する。
なぜ花夜の動きが悪いのかを自分の目で確かめる。
まず、基礎的な問題だが息切れが激しい、スタミナが全くない証拠だ、次にうまく足がうごいていない....ってこれは技術云々よりも基礎体力がないだけだ。
「もういい」
狩夜はそう呟き玉ねぎを倒した。
花夜は頭を下げて狩夜に謝る。
「すみません!私が未熟なばかりに狩夜お兄ちゃんの手を煩わせてしまって...」
花夜は必死に謝り続ける。
「いや、そもそもの仕事に必要なだけの体力が今のお前にないだけだ、それに気づかずに仕事へ担ぎ出した俺の落ち度だ、お前は悪くない」
謝る花夜の頭を撫でながら狩夜は仕事の報酬を考える。
(これでは今日は赤字だな、いやしばらくは赤字続きになるかもしれない、この街を拠点に花夜が使える様になるまでは鍛えなくては)
いや、報酬のことよりも花夜を鍛えることに焦点を当てている考えている様だ。
「今日のことはいい、街で宿を探す、今日はしっかりと休め」
狩夜の言葉に何も返す言葉がない花夜は暗い表情のまま帰路に着いた。
これは鼓動シリーズ序章の話なのですが、最近個人的に面白い展開を思いついたので短編ではなく少し長くなるかもしれません。