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第1話 わはわでわでわ? 4


 翌々日の放課後、クラトがやって来たのは落池(おろちち)山だ。

 連休の合間に平日が二日。仕事を休む大人はいても、学校は休日にはならない。

 前日の月曜日は六時間授業で放課後の時間があまりなかったので、五時間授業で三時前に帰宅できたクラトは、自転車を飛ばして大蛇山までやって来た。

 落池山は、大きな大蛇が眠りにつき山になったと言い伝えられ、地元の人の信仰を集めてきた、市内で一番高い山だ。標高は四百メートル弱で山頂からは市内が一望できる。

 登山口には梅の名所として有名な寺があり、そこから少し登ると道が二手に別れている。一本は山頂へ登る登山道で、もう一本は左へ抜ける横道だ。

 クラトは分岐点から横道に逸れ、道なりに進んだ。

 横道は山の外周に沿って大きくカーブしながら奥の方へ回りこんでいる。切岸(きりぎし)の道だ。斜面を削って造られ、右手が垂直の崖で、土壁のようになっており、左手は山裾へ続く斜面になっている。細めの山道だが、左手にガードレールはないため、縁に寄ると転げ落ちてしまいそうだ。

 休日や行楽シーズンにはハイキング感覚で山頂へ登り、景色を楽しむ人はいるけれど、そういう人たちが通るのは頂上へ続く登山道。山登りをする人がこの横道を通ることはまずないといっていいだろう。当然、この日も人気(ひとけ)はない。山全体がひっそりしている。

 クラトが細い道をしばらく歩いていると、進むにつれ右手の土壁は高くなり、道幅が少しずつ広がっていく。山の内側へ内側へ、斜面を少しずつ深く削りこみ、横道の幅を広げてあるようだ。

 そして目の前に鳥居が現れた。

 木で作られた鳥居は色がはげ、雨の染みに汚れている。

 鳥居をくぐるとその先は、道が右に大きく円く膨らみ、車が三、四台停められそうな広い場所に出た。

 広場の山頂側の壁面は土ではなく岩でできているようだ。断崖になっている岩壁は半円状にえぐれ、その壁の前に大きな岩が二つ、地面にささるように立っていた。どうやらこれが『大蛇の目』のようだ。

 大蛇の目は、大蛇が眠りにつくとき、大蛇の頭である山頂から二つの目が転がり落ちたと言い伝えられている二つの大岩だ。

 その呼び名から、目玉のような丸いボール状の岩を想像していたが、目の前の岩は三角定規のような形をしている。三辺の長さが異なる直角三角形だ。

 直角の部分が地面にささり、短い辺と短い辺が向かい合い、頂点で接し、絶妙なバランスで支え合っている。長い辺は天へ向き、二つの三角定規を線対象に開いた、蝶の羽のような状態になっていた。

 大岩を見上げながら、クラトは、威太郎と組んで草むしりをしていたときに交わした会話を思い返した。

『オレの知ってる秘密の場所を教えてやるぜッ』

 威太郎はそう言って話を切り出した。


『なあなあ、クラト、知ってるか? 落池山にある大蛇の目の奥に洞窟があって、そこを行くと広い空間があって、上の方に観音様に見える自然にできた岩があるらしいんだッ。その観音岩にお願い事をするとなんでも叶うんだってッ』

『そんな話、聞いたことないよ?』

『そうだよなッ! 小牟田市の人間でも知ってる人は少ないんだ。オレも、ついこの間、知ったばかりだからなッ』

『誰に聞いたの?』

『聞いたんじゃねぇの。八角堂で古い文献を見つけたんだ。それに書いてあったんだよ』

『そんな文献があったの?』

『そんでなッ、その文献には大蛇の目の間が観音洞窟の入口になってるって書いてあったから、オレ、一人で見に行ったんだけど、本当にすき間から奥に洞窟が続いているみたいなんだよッ』

『じゃあ、その言い伝えって、本当ってこと?』

『だからさ、今度いっしょに確かめに行こうぜ。一人で入るのはちょっと危険そうだからさ、クラトが見張っててくれよ。そんで、本当に観音岩があったら、みんなにも教えてやろうぜ』

『うん!』

『できるならすぐにでも探検に行きたいんだけどなぁ。明日は習字で明後日は剣道の稽古があるから無理なんだよなぁ』

『そうなんだ……』

『その次の日は午前中は家の用事で、午後がわわわ会だし、その後は……そいじゃ、確かめに行くのはちょっと先になるけど、実際に確かめるまで観音洞窟のこと、みんなにはまだ内緒なッ!』


 クラトが落池山にやって来たのは、威太郎の話を確かめるためだった。

 威太郎とは、観応岩を実際に見て確かめるまで洞窟のことを秘密にするよう約束した。一緒に観音岩を確かめに行くのは、少し先になりそうだった。

 いつものクラトなら、次の休みやその次の休みをのんびり待ったはずだ。威太郎に予定の入っていない休日にでも、一緒に来ればいいのだ。

 けれど、気が焦った。

 クラトは威太郎の話を聞いてから、頭のどこかにずっと観音洞窟のことが引っかかっていた。観音岩に願えばどんな願いでも叶えてもらえるという伝承に引きつけられた。気になって仕方なくなってしまったクラトは、次の休みを待てずに一人で来てしまった。

 威太郎の話を確かめるといっても、観音岩があるかどうかを確かめに来たわけではない。大蛇の目の奥に洞窟があるかどうかを確かめに来ただけだ。

 クラトは大蛇の目と呼ばれる岩があることは知っていたが、実際に見たことはなかったから、その実物を見られればそれでよかった。

 威太郎も言っていたが、一人で洞窟に入るなんて危険に決まっている。

 でも、大蛇の目がどんな岩なのか、その奥がどうなっているのか。表から岩と岩の間をのぞくくらいなら危険はないだろうと考えたのだ。

 少しだけ。中の様子をのぞくだけ。

 そのつもりでクラトは大蛇の目の前までやって来た。

 クラトはそっと大岩に手を当てる。陽が当たっているからか、じんわり温かい。手の平で押してみるけれど、岩はびくともしない。岩自体も硬く頑丈で、地面にしっかり座っているようだ。

 岩の厚みはどちらの岩もちょうどクラトの片腕の長さくらいだが、大きさは一枚がクラトの背丈の倍以上もある大きな岩だ。

 天に向かって突き上げるような鋭い岩の先から視線を下ろしていく。二つの岩のつき合わさった点と、地面に刺さった左右の岩の点を結ぶ辺と、ちょうど小さな正三角形のすき間ができている。このすき間が観音洞窟の入り口らしい。

 すき間は狭く、四つ()いにならなければ通り抜けられそうにない。クラトは細身だからいいとして、ぽっちゃりした子やがっしりした大人だったら、果たして四つ這いになったところで、通り抜けられるかどうか。

 クラトはしゃがみこんで岩と岩の間をのぞく。岩に日光が(さえぎ)られ、奥の方へは光が届かないようだ。

 クラトはリュックを地面に下ろし、中から用意しておいた懐中電灯を取り出した。スイッチを入れてすき間の奥を照らすと、光は手前の方で障害物に当たることはなかった。すき間の内側にある空間を照らし、闇へ吸いこまれるように消えていく。奥行きがあるようだ。

 懐中電灯の光が届かない先の方は暗く、どうなっているかはわからない。闇は深く、威太郎が言っていたように、一人でこの先へ行くのは危険だろう。何より怖い。

 けれど、この先に観音岩があるかもしれない。どんな願いも叶えてくれる観音岩が。

 どれくらい奥まで行けば、観音岩のある広い空間に出るのだろうか。

 クラトは懐中電灯をもっと奥へ突き出した。もっと奥へ、もっと奥へと腕を伸ばすと、ゴトリ! 懐中電灯が手から落ちてしまった。懐中電灯は落ちた弾みで奥の方へコロコロと転がっていく。

 クラトは急いでうつぶせに寝そべると、洞窟の入り口の岩に顔を押しつけながら、肩からすき間の中へ腕を差し入れる。手を伸ばすと、指先が硬いものに触れた。「よし!」とつかもうと力をこめると、指で引っかけるはずが、誤って指先で電灯を弾いてしまう。電灯は手の届かない奥へ転がってしまった。

 いちど手を引き抜き、上体を起こすと、深呼吸をしてもう一度すき間をのぞく。先の方が明るくなっている。懐中電灯はそこにあるのだろう。すき間から手を伸ばしても届かない距離だ。

 クラトは少しためらったものの、腹ばいに近い状態で頭をすき間に突っこんだ。ひじから先を地面につき、にじるように身体を前方に進めて行く。

 岩と岩の間のすき間はクラトの身体にふさがれて、わずかに光が入るばかり。懐中電灯は入口とは反対の方を向いているため、クラトの方に光をもたらさない。

 じりじり進むと、ふっと身体が軽くなった気がした。クラトは上体をゆっくり起こす。頭を岩にぶつけることなく、上半身を起こすことができた。

 クラトは上体を起こしたまま、手を使って足を引きずり、アシカのように進むと、懐中電灯に手が届いた。ぐっと光を手につかむと、ほっと息をつく。

 クラトが電灯で四方を照らすと、左右の岩壁までは少し距離があるように見える。どうやら、入り口を左右からふさいでいた大蛇の目を超え、観音洞窟に入ったようだ。二つの大岩のすき間が狭かったため、ずっとそのまま狭い穴が続いているものだと思ってしまっていたが、そうではなかったようだ。

 洞窟の中は左右には広いものの、天井はあまり高くない。大蛇の目のすき間を通った時のように這いつくばる必要はないけれど、クラトの身長では立ち上がったら頭をぶつけてしまう。

 腰をかがめれば、歩いて行けそうかな。

 クラトは服についた泥を軽くはたき落して、腰をかがめて立ち上がると懐中電灯を奥に向ける。洞窟はまっすぐ続いているようだ。道が二手、三手と別れているなら迷うかもしれないけれど、一本の道をまっすぐ進むだけなら問題ないだろう。

「まだ、行けそう……」

 クラトは頭をぶつけないように左手を天井に当てながら、右手で懐中電灯を持ち、もう少しだけ進むことにする。ひやりとした岩肌の感触を右の手のひらに感じながら、そろりそろりと歩き出す。

 足元の地面はぬかるんでいるとまではいかないが、じっとり湿っている。多少でこぼこしているものの、高低差はなく、平坦な道が続いているようだ。行き止まりや曲がり角に突き当たることもない。

 そのまま進んで行くと、あたりが一段と暗くなった。入口から入る光が届かないところまで来たようだ。懐中電灯の光だけが目の頼りだ。

 天井の高さは低くなったり高くなったり、それに合わせて腰を落としたり上げたりしながらクラトはそろそろ歩いていく。やがて立ったまま歩ける高さになった。

 洞窟の中は風が通っているようで、空気はよどんでいない。

 クラトはふぅっと息を吐くと、ずっとかがめて縮んでいた腰の筋肉をゆっくり伸ばす。それから足元を照らしていた懐中電灯で進行方向を照らす。

 と――。

 目の前に左右の壁が迫っていた。

 道が壁に閉じられたわけではなく、一人分のすき間が開いている。その先がどうなっているかはわからないけれど、洞窟はもっと深いようだ。

 まだ先へ行くか、もう戻るか。

 あと少しで観音岩の空間に出るかもしれないと思うと、引き返すのはためらわれる。しかし、少しだけのつもりでずいぶん歩いて来てしまった。

「そろそろ戻らなきゃいけないよね……」

 クラトは引き返そうと決心する。

 ここから入口へ戻るなら、また腰をかがめて歩かなければならない。しゃがんだ姿勢はかなりキツかった。

 クラトは少し休憩してから引き返そうと、その場に腰を下ろす。地面は少しじとっとしているけれど、ズボンが軽く湿る程度だ。懐中電灯は明かりをつけたまま、身体の横に置く。

 クラトは両ひざを立てて座ると、身体を支えるため手を地面につこうと、腰の斜め後ろへ両手を伸ばした。

 そのときだった。

「わっ⁈」

 地面についたはずの左手が、下へ強く引っ張られる!

 いや、引っ張られたのではない。

 手をついたところに地面がなかったのだ。

 クラトは気づかなかったが、クラトが座った場所のすぐ左後ろは窪地になっていた。

 左手はむなしく空を切る。

 左手を突っ張ることができなかったせいで身体が左へ傾く。

 クラトは反射的に身体をひねって、右手で地面をつかもうとする。

 指先がわずかに地面に当たった。

 左手を身体の下から引き抜き、とっさに横へ滑らせる。

 両手で地面をつかんだ! 

 けれど身体は、すでに何もない宙に投げ出され、次にお腹に強い衝撃を感じる。

 両手の指先で地面をつかんだのもつかのま、窪地の急峻(きゅうしゅん)な斜面を、クラトは自分の身体の重みでズルズルと滑り落ちていった――。



         ※



 クラトにとっては一瞬のできごとで、何が起こったかすぐにはわからなかった。

「いたたたた……。あれ? え?」

 身体の感覚で、崖を滑り落ちたのだろうと見当はつく。

 しかし周囲は暗い。

 上の方に微かに光が見える。懐中電灯の明かりだろう。どうやら電灯は一緒に落ちては来なかったようだ。

 明かりのある位置が、さっきまでクラトがいた地面の高さということだろう。――高い! 

 明かりはクラトの頭の上、ずっと高い位置からこぼれてくる。ジャンプで跳び上がれるような高さではない。頭上のわずかな明かりで見えるのは、目の前にある断崖絶壁同然の斜面だ。足がすくむ。

 どこか登れるところはないかと思うものの、この視界の悪さでは下手に動けない。もっと深い溝があって落ちてしまうかもしれない――。

 クラトは身動きがとれないまま、崖にはりついた。



 少し経っても、状況は変わらなかった。

 クラトは思い切って、崖をよじ登ろうとこころみる。

 手探りで斜面の凹凸を確かめ、両手を伸ばして高い位置にあるくぼみに指をひっかけ、右足のつま先を、左ひざの少し下あたりにある割れ目にかける。

 思い切って左足で地面を蹴り、右足に体重を乗せると、少しだけ身体が持ち上がった。

 左足も斜面のでっぱりに乗せようと、つま先で斜面を探る。

 足を乗せられそうなでっぱりがあった。

 ほっとして乗せようとする。

 ところが、つま先がでっぱりからずり落ちた。

 グラリと身体が平衡感覚を失う。

「うわあっ!」

 バランスを崩し、クラトはまた窪地の底に逆戻りだ。

 身体のあちこちが痛い。幸い、手足をすりむいた程度ですんだからよかったものの、下手をすれば足や手の骨を折っていたかもしれない。

 ――クラトは悔やんだ。

 どうしてもっと早く引き返さなかったのだろう?

 いや、そもそも一人でこんな場所に入るなんて。

 威太郎も、危ないから一人で入るのはやめたと言っていたのに。

 自分で自分のことに責任を負わなければいけないのだと、あんなにいろんなことをみんなが教えてくれたばかりだというのに。

「どうしよう……」

 クラトは途方に暮れ、斜面に背を預け、寄りかかる。そのままずるずると足が力を失ったようにしゃがみこみ、ひざを抱えた。ひざとひざの間に顔を伏せる。うつむくと目に熱が溜まって来る。じわじわと涙がこみあげ、クラトは泣いた。



          ※



 どれくらいそうしていただろうか。

 ほんの数分だったかもしれないし、何時間もそうしていたかもしれない。

 暗がりの中では時間という感覚が狂ってしまう。

 こんなときなのに、お腹がぐぅと鳴る。もう夕飯だろうか?

 リュックにはチョコバーを入れているが、洞窟の外に置いて来たのでここにはない。ズボンのポケットに何か入れていなかったか、ダメ元で探ってみた。

「あ」

 ポケットから出て来たのは、丸い輪っかの――防犯ブザーだ!

 喜んだのもつかの間、楽観できない現実にすぐに気がつく。

 クラトがいるのは登山道から離れた場所だ。ブザーを鳴らしても気づく人はいないかもしれない。

 けれど可能性はゼロではない。

 クラトは思い切って、ブザーのスイッチを入れる。

 カチリ。

 ビィィィィィィィィ…… 

 けたたましい音が鳴る。

 ビィィィィィィィィ…… 

 ビィィィィィィィィ…… 

 しばらくして音を止める。

 ……………………………

 耳を澄ませ、地上の気配を探る。

 なんの変化もない。

 がっくり肩を落とす。

 しばらくしてまたブザーのスイッチを入れる。

 ビィィィィィィィィ…… 

 音を鳴らしてまた切る。

 音を鳴らして止めて聞き耳を立て、音を鳴らして止めて聞き耳を立てる。クラトはこれを何度か繰り返した。

 誰か気づいてくれただろうか。

 外の様子はわからない。不安が募っていく。

 もしもこのまま、ここから出られなかったら……。

 そよ子はきっと心配するだろう。

 優香だって心配するに違いない。

 護はどうだろうか? 

 もしかしたら、やっかい払いできると喜んだりして。

 優香と生まれてくる赤ちゃんがいれば、護は自分のことなんて忘れてしまうだろう。

 いや、もしかしたらそよ子だって――。

 どんどん、イヤな想像ばかりふくらんでいく。

 そんなことはない!

 頭を振って気持ちを立て直す。

 そよ子がどれだけやさしく育ててきてくれたか。

 骨折したときだって、病院で安静にしていた方がいいだろうに、クラトのために無理に退院して家に戻ってくれた。

 優香だって、クラトがやりたいと言ったことはやらせてくれた。家のことも、そよ子の世話も。慣れてないクラトがやるのを見守ってくれた。根気強く教えるより、優香が自分でやった方が簡単で早かったはずなのに。

 それは優香が、そよ子のために力になりたいと願うクラトの気持ちをくんでくれたからだ。優香は、そよ子とクラトのそれまでの暮らしを大事にしながら、新しい風を吹きこんでくれた。だからこそ、クラトもそよ子も、優香と暮らすことができたのだろう。

 護だって、仕事で忙しいなか、護なりにクラトを守ろうとしてくれた。クラトの朝ごはんのために、近所のコンビニでサンドイッチや菓子パンを買っておいてくれた。

 思いやりのかけらはあちらこちらにあるのに、それを見ずに、人を悪く悪く思うのは、自分が楽をしたいからだ。

 こんなことになったのは自分のせいなのに。

 自分を責めるのがイヤだから、人を悪く思いたいのだ。

「………………」

 クラトはパンパンッと両手で顔をはたく。

 そして、もう一度登ろうと崖に立ち向かう。

 登る前に、ふと思い立って、防犯ブザーのスイッチを入れる。ブザーは落とさないようにズボンのポケットに深く押しこんだ。

 ポケットから、ビィィィィィと音が鳴り響く。

 ブザーの音を鳴らしたのは、しんと静まりかえった暗闇の中を手探りで登るのでは、気持ちがくじけてしまいそうだったからだ。

 崖の上を見上げると、地上の光が明滅し始めていた。電池切れかもしれない。

 もしも懐中電灯の光まで消えてしまったら、真っ暗闇になってしまう。

 それはたまらない恐怖だ。なんとかしなければ。

 クラトは丹念に斜面を手で探り、手がかりを確かめ、足場を確かめ、慎重に登っていく。

 崖の半分ほど登り、頭上をふり仰ぐ。もう一息で、崖の縁に手が届く。

 クラトは思い切り右手を伸ばした。伸ばした手も、崖にしがみつく手も、震えている。恐怖と疲れからだ。もうあまり力が入らない。

 けれど、ここでくじけたら、本当に命に関わるかもしれない。

 もう少し、あとちょっと……。

 届きそうで届かない。

 手がしびれてきた。

 ああ、もうこれ以上は無理だ――と、思ったそのとき。

 ピカッと鋭い光が目を射した。

 まぶしくて反射的に目を閉じ、崖にしがみつく。

「クラトッ!」

 名前を呼ばれ、誰かが震えるクラトの腕をつかんだ。グッと力強く引き上げられる。

「もう少しがんばれっ! 絶対に助けてやるから!」

 天から声が降って来る。助けの声だ。

 クラトは気力を得て、手足に力をこめた。

 上から引き上げてもらいながら、足を上げ、渾身(こんしん)の力で崖をよじ登る。ようやく元いた場所に、クラトは身体を乗り上げた。そのまま地面にごろりと転がる。

 登っているときか転がったときか、スイッチをどこかにぶつけたらしく、防犯ブザーの音は止まっていた。

 クラトが転がる地面には、懐中電灯の光に、もう一筋、細い光が交差している。

 光をたどると携帯用のキーホルダー型のライトがあった。これが先ほどピカッと光った光の正体らしい。

 広くはない空間に、二人分の荒い息づかいが響く。

 クラトははあはあと肩で息をしながら、少しずつ呼吸を整えていく。クラトを引き上げた相手も、大きくふぅっと息を吐いた。

 クラトを助けた誰かは携帯型のライトを取り上げると、クラトの方へ向けた。顔は避け、クラトの身体に光を当てていく。身体の状態を見ているのだろう。クラトは、ゆっくり上体を起こす。

「ケガはないか?」

 目の前の誰かがクラトに声をかける。

 クラトが「大丈夫」と返すと、相手の安心した気配が伝わった。

 携帯ライトの光が向けられているせいで、光の奥の相手の顔は、クラトからはよく見えないけれど、光の手前に投げ出された足やスニーカーが暗闇に浮き上がる。相手も地べたに座りこんでいるようだ。

 呼吸も気持ちも、ようやく少し落ち着いてきたクラトは、目の前にいる恩人に、ひとまず礼を言う。

「あの、助けてくれて、ありがとうございます。……ええと、あなたは誰、ですか?」

 お礼に続けて誰何すると、相手は「ああ」と笑った。温かい声だ。

「オレはホシタカヒラ」

 聞き取りやすい抑揚(よくよう)で、顔の見えない相手は名乗った。

「星タカヒラ? お星さま?」

 お星さまと思われたのがおかしかったのか、ホシタカヒラがくすくす笑う。

「オレのはお星さまじゃなくて、『保育』の『保』に、『意志』の『志』と書いて『ホシ』。それが苗字で、テンペイだのタカちゃんだのなんだの、メンバーからは好き勝手に呼ばれてるけど、『タカヒラ』が名前。『天』が『平』らかになると書いて『タカヒラ』って読むんだよ、――――――加瀬クラトくん」

 保志天平と名乗った声は、クラトのことを知っていた。

 そう言えば……。

 崖にしがみついていたときも、ぼくの名前を呼んでいたような……。

 崖を登るのに必死で、頭の中は思考停止状態で、ハッキリと覚えているわけではないけれど、クラトの名前が呼ばれたような……。

 どうして?

「なんで、ぼくの名前……」

 どうして知っているのだろう?

 クラトはこの声に聞き覚えなどないのに。

 知り合いではないのに、クラトの名を呼び、助けてくれた――?

「改めて、はじめまして。オレが、わわわ会小牟田支部の支部長です」

 と、天平は明かした。

「え? ……ええ⁈」

 数瞬の後、クラトは天平が何者なのか理解した。

 そう言えば、ユーリは副支部長で、支部長は他にいるということだった。

 家の都合で一昨日は草むしりに参加できないのだとユーリに教えてもらっただけで、その後、支部長に関する話は出なかったから、クラトはすっかりその存在を忘れていた。

 イヤ、そうではない。

 タカちゃん

 タカ兄

 たっくん

 彼らの会話の中にちょこちょこ出ていた、誰かの名前。

 これらはもしかして――天平のことだった?

 すべて、同一人物?

 すべて……他にもまだある。

 テンペイ。

 誰かが「テンペイ」がどうのこうのと言っていたような気がする。

 天平も、自分が「テンペイ」と呼ばれていると言っていた。

 とすると、天平は、「タカちゃん」で「タカ兄」で「たっくん」で「テンペイ」なのか。それぞれの学校の友達か何かだろうと思って聞き流していた。

 ときどき威太郎たちの話の中に出てきた、知らない誰かの呼び名。それがクラトの頭の片隅に引っかかっていたのは、威太郎たちがその名を呼ぶとき、どこか誇らしげな響きを持っていたからだろう。きっと彼らは天平のことを信頼している――。

 天平は、確かにわわわ会の支部長なのだ。

「こないだは行けなくてごめんな。あの後、あの日なにを話したかとか、クラトのこととか、ユーリから聞いたんだ。これでも一応、支部長だからな。ちゃんと知っとかないと」

 天平は、だからクラトの名前を知っていたのだと言った。

「そうなんだ……」

 天平がクラトのことを知った経緯はわかったけれど――。

 だとしたら、なぜ? 

 どうしてこんなタイミングで、天平は現れたのだろう?

 まるでクラトがピンチなのをわかって来たような……?

 威太郎が、この場所のことを天平にも話したのだろうか?

 イヤ、ユーリから話を聞いたと天平は言った。それに、威太郎は二人の秘密だと言っていたし、もしこの場所のことを威太郎が話していたとしても、クラトがここへ来ることは誰にも話してなどいないのだ。

「でも、ぼくはここへ来ること、誰にも話してないのに」

 どうしてここへ来たのか、言外に天平に問いかけると、

「クラト、わわわ会から支給された防犯ブザーを鳴らしただろ?」

 逆に天平に問いかけられた。だがその口調は、クラトが鳴らしたと確信している。

「うん。そうだけど……。もしかして、洞窟の外まで聞こえたの? っていうか、天平くん、どこにいたの? 近くまで来てたの? ぼくがここにいること知ってたの?」

 いちど疑問に思うと、次から次へと聞きたくなって、クラトは矢継ぎ早に問いかける。

「洞窟の外からはわからなかったけど、中に入ってブザーの音が聞こえた。クラトを見つけるのにはその音を頼りにしたよ。後はこの懐中電灯の光も。音と光で、クラトがここに落ちたのがわかって見てみたら、すぐそこまでクラトが登って来てたのが見えたんだ」

 とりあえず、大ケガしてなくてよかったよ、と天平がほっとした声を出す。それから、洞窟の中へ入って来るにいたった経緯を話し始めた。

「実はさ、そのブザーを使うと、オレとユーリと三池さんのところに緊急事態発生の連絡が届くようになってるんだよ。オレも三池さんもスマフォ持ってるし、ユーリはタブレット持ってるから」

「えっ?」

「そういう仕掛けがしてあるんだよ。いいだろ? その防犯ブザーにはGPS機能が搭載されてて、ブザーが使われると自動的にそのブザーのある場所の位置情報が送信されて、スマフォを開いて地図でその位置を確認することができるようになってるんだ。んで、誰のブザーかも表示されるようになってるから――ちょっとブザー貸してみぃ」

 天平はそう言うと、携帯ライトを地面に置いてごそごそ音を立てる。何かを探しているようだ。見つかったのか、何か硬いものを地面に置いた音がする。

 クラトは天平に言われたとおり、ポケットからブザーを取り出し、天平に差し出した。

 天平は右手でブザーを受け取ると、左手でライトを持ってブザーを照らし、音を鳴らす。

 ビィィィと音が鳴る中、天平はブザーのチェーンの部分をライトを持っている手の小指に引っ掛け、反対の手で地面を探って、さっき地面に置いた何かを手に取り、クラトの前に差し出した。天平がライトで照らすと、スマフォだとわかる。画面には地図が表示されており、中央に丸い記号がチカチカ点滅している。

「こうやって表示されるから、クラトの居る場所のだいたいの見当がついたんだ――場所がわかったことで、どういう状況かも想像ついたからな。オレはちょうど大蛇山の近くに来てたから、ひとまずユーリたちに連絡を入れて、オレだけここへ直行したんだ」

 天平はそう言うとスマフォを操作しながら手元に引き寄せ、どこかにしまった。

 それから、小指に引っ掛けていたブザーの音を止め、ドーナツ型の本体の横にあるボタンをカチカチッと操作してから、それをクラトに返した。

 クラトが受け取ってまたポケットにしまっていると、

「今、ブザーの緊急通報を解除したから、クラトを助けたことがユーリに伝わったはずだよ」

「え?」

「一定の時間以内に緊急通報を解除して救助したことを伝えなければ、ユーリが三池さんと警察に通報する約束にしていたんだ」

 天平はクラトに説明する。

「け、警察――?」

 警察に通報されるところだったのだと聞かされ、クラトは自分がとても危険なことをしていたのだと肝を冷やした。本当に、身体からすぅーっと熱が引いていくようだった。

滑落(かつらく)事故を起こしていてもおかしくないと思ったからな。――そこだって、結構な高さがあるから、落ち方が悪ければ大ケガしていたかもしれない」

 天平はライトでクラトが落ちた窪地をササッと照らし、またクラトの身体に光を当てる。

「それで、なんでこんなところに来たんだ?」

 と、もっともな質問をする。

 クラトは言いよどんだものの、正直に打ち明けた。

「実は、威太郎が大蛇の目の奥に洞窟があって、その奥に、どんな願いも叶えてくれる観音岩があるらしいって教えてくれたんだ」

「イタが……?」

「うん。八角堂で、この前、古い書物を見つけたらしくて。そこに観音岩の伝説が書いてあったんだって」

「………………古い、書物?」

「あっ! けど、威太郎は、一緒に探検しようって言ってたんだ。一人で探検するのは危ないから、今度、威太郎に用事がないときに探検する予定だったんだ。だけど、ぼく、がまんできなくて一人で来ちゃって……。だから、威太郎は悪くないんだ」

 クラトは話しているうちに、威太郎に申し訳なくなって声が(しお)れていく。

「………………」

 話を聞いた天平は、少しの間、沈黙する。

 クラトが大きな身体を小さく縮こまらせていると、天平が立ち上がる気配がして、クラトはさらに硬直した。

「そこ、狭くなっているところを通り抜けると、その奥が広くなってるから、ひとまずそこへ行こう」

 天平はライトで洞窟の奥を指し示し、意外なことを言い出した。

「え?」

 天平が言っているのは、窪地へ転げ落ちる前、クラトが通り抜けるのを断念した洞窟の奥の場所だ。左右の岩壁の間が狭まり、切通(きりとおし)のようになっている。その先へ行こうと天平は言っているのだ。

「ほら、立って」

 と天平にうながされて、クラトも懐中電灯を手に取って立ち上がる。

 点滅していた電灯は、クラトが手に持ったとたん、正常に作動し始めた。クラトが窪地へ滑り落ちるときにどこかぶつけて、電灯の内部の部品の接触が一時的におかしくなっていただけだったのかもしれない。

 光が戻ると、クラトは少しほっとした。

 懐中電灯を洞窟の奥へ向ける。そこには天平の背中があった。

 後ろから見る姿。クラトより背が高い。ユーリと同じくらいだろうか。だが、クラトやユーリほど細身ではないようだ。

 天平はすでに歩き出していた。クラトはその背中を追いかける。

 切通のような切り立った岩と岩の間の道は長くはなかった。十歩ほど歩いたところで、天平に続いて岩壁と岩壁の間を通り抜ける。ぽかっと左右からの圧迫感がなくなった。

 広い空間に出たようだ。

 上の方から風が入ってきているようだが、どこからかわからない。懐中電灯で上下左右を照らすと、天井がドーム状になっていることがわかった。

 そして、ちょうど正面の突き当りの岩壁の上の方が一部せり出し、天へ向かっている。その姿は確かに観音像のように見えた。

「あれが、観音岩……」

 クラトはつぶやいた。

「何を願うつもりだったんだ?」

「………………」

 天平の問いかけにクラトは答えなかった。吸い寄せられるように、一歩、二歩、三歩……と、つっかけるように足を前に出し、広場の中央に進み出る。

 懐中電灯を地面に置いて、観音岩を仰ぎ見て手を合わせる。

「優香さんが、無事に元気な赤ちゃんを産めますように。優香さん、ううん、新しいお母さんが、赤ちゃんを産んだ後もずっと元気でいてくれますように」

 心から願って顔を上げる。

 守ってもらう側ではなく、守る側に――。

 ユーリがそう言うのを聞いたとき、クラトの心に変化が生まれた。

 守ってもらう側ではなく、守る側になる。

 それは、自分のことではないだろうか?

 これまでは、クラトは家の中で一人だけの子供だった。クラトの他は、そよ子と護、二人とも大人だった。優香も大人で、クラトは身体は大きくても、守られる存在だった。

 だけど、これからは違ってくる。

 優香が赤ちゃんを産むのだ。

 生まれてくる赤ちゃんは、きっと小さくて、自分では何もできなくて、守ってあげなくてはいけない存在になる――。

 新しく生まれる命を、家族を、クラトは守りたいと思った。

 それは、すぐに自分の中で自分にわかるような形になったわけではなく、わわわ会のメンバーと話している間に、草をむしっている間に、家に帰る帰り道に、ごはんの支度をしている優香とそよ子の姿を見ながら、できた料理を食卓に並べるのを手伝って一緒にごはんを食べながら、お風呂の湯船に一人でゆったり浸かりながら、ふとんの中で一日のできごとをふり返りながら……少しずつクラトの中でハッキリした思いになってクラトの中をかけめぐってどうにも抑えられなくなっていったのだった。

 クラトはホワイトタイガースをやめるときに、生まれてくる赤ちゃんの世話を手伝うために野球をやめるのだと思わせた。それは本当の気持ちを知られないため。もっともらしい理由をつけただけで、そんなことを考えていたわけではなかった。

 けれど今は違う。

 優香が、無事に元気な赤ちゃんを産めるように。

 優香が、赤ちゃんを産んだ後もずっと元気でいてくれるように。

 この願いを叶えてもらうために、クラトは一日でも早くここへ来たかったのだ。この観音岩のある広場に。

 観音岩は本当にあった。

 洞窟の奥の奥に、ちゃんとあった。

 岩と岩の間が狭くなっている切通の先に――。

 クラトは、観音岩のすぐ近くまで来ていたのに、切通の奥へ進まず、手前で引き返そうとしていたのだなと思い至る。

 ふと疑問が浮かんだ。

「あれ? 天平くん、ここが観音岩の広場だって知ってたの?」

 すぐ先が広くなっているからそこまで行こうと、クラトをこの広場に来させたのは天平だ。それは、ここに観音岩があることを知っていたということ――?

 クラトの問いかけに、「ああ……」と生ぬるい声を出す。

「オレ、前にここに来たことあるんだよ。オレがまだ低学年くらいのころなんだけど。あちこち一人で探検しまくった時期があってな……」

 と歯切れの悪い物言いをしていたかと思うと、観念したように白状した。

「ごめん! 実はその観音岩がどうのって話、オレのでっちあげなんだ」

 天平が勢いよく謝った。

「え? どういうこと?」

 クラトは頭が真っ白になる。何を言っているのか理解できない。

 天平がクラトに打ち明けたのは思ってもみなかった真相だった。

「はじまりは去年の国語の授業だったんだけど――」

 言いにくそうに、天平は切り出した。

「一枚の絵から想像をふくらませて物語を創作しようっていう課題があって、物語を一本、書き上げたんだ。それが、我ながらなかなかいい出来な気がしたんで、ユーリに見せたら、ユーリがおもしろがって、いつかこの物語を映画化しよう、って話になって」

「え、映画化?」

「ほら、高校とか、大学とかに入ったら、映画を作るような部に入って映画つくんのもおもしろそうだよなー、とか話してて。んで、それじゃあ今のうちに小道具を作ろう。観音岩の伝説を書いた書物でも作ってみっか、って話になって」

「小道具……」

「古い書物っていう設定だったから、新しい紙をコーヒーで汚して古めかしく見せて、墨で字を書いて、同じように古く見えるように細工した表紙をつけてひもで綴じて冊子を作ったんだけど、これがまたいい出来だったんだよ」

「いい出来だったんだ……」

「あんまりよく出来たから、三池さんにも見せようか、って話になって八角堂へ持って行ったら、ホールで小さな子供たちがケンカしててな。オレとユーリは荷物を放り出してあわてて止めに入ったんだけど、そんときに荷物の中から飛び出たのか、子供たちを仲直りさせた後に冊子のことを思い出して、荷物の中を探したときにはどこにもなくて……結局、見つからなかったけど、まあいいか、また作ればいいかって、そのままにして、それっきりその冊子のことは忘れてしまったっていう……」

「それを威太郎くんが見つけたんだ……」

 つまり、観音岩の伝説などなかったのだ。

 クラトはぼう然と立ち尽くす。

 放心するクラトに、「でもな」と、天平がつけ加える。

「言い伝えはオレの創作だけど、オレが小さいころここで観音岩に願った願いは叶ったから。すべてがウソや作りごとってわけじゃないからな」

 天平の声は真っすぐクラトに届く。

 その声に偽りの響きはない。クラトは天平の言うことを信じられた。

 観音岩の伝説は作りものだったとしても、天平が観音岩に願った願いは叶ったのだ。

 だとしたら――。

 ぼくの願いも、きっと叶う。

 クラトはそんな気がした。

「何を願ったの?」

 クラトが聞くと、天平がふっと笑う。

「オレが願ったのはね――いつか、最っ高の仲間と出会えますように!」







お読みいただいてありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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