巨乳の上原さん
――3年前――
昼休み、俺は一人屋上への階段を上る。
階段を上りきり、屋上へと出る。冬場だからだろう、俺を呼び出した巨乳で浜野高校1有名な少女、上原檸檬さん以外誰もいない。檸檬はただ一人、きれいな黒髪を風に吹かれながら、どこか遠くを見ている。
「なぁ、なんで俺を呼び出したんだ?」
俺が話しかけると、上原さんは振り返る。……振り返った時に揺れた胸に目が行ってしまったのは許して欲しい。
上原さんは緊張した面持ちで話し始める。
「え、えと、その……私と、付き合ってください」
い、今、「付き合って」って言ったか?まじか、ついに俺にもモテ期が……!
い、いや、待て、落ち着け。
思い出せ、1年生の時の思い出を……!
あの時もこんな感じに告られた……!!
そして、浮かれて帰ろうとしたところ、陽キャグループの男子たちにめちゃくちゃに笑われたんだ……!
ここは、落ち着いて切り返すんだ……。
「ああ、いいよ」
なるべく自然体で答える。
「えっ……」
上原さんの顔から緊張が消え、パッと明るくなる。
だが俺は話を続ける。
「で、何に付き合えばいいんだ?」
「えっ……?」
上原さんの顔が一転し、絶望に染まる。
「俺は知ってるんだぞ!?」
俺が叫ぶと上原さんはびくっと震える。
「俺は知ってるんだ!お前みたいなリア充は!俺みたいな非リアボッチをだまして遊ぶんだ!」
上原さんの顔が暗くなり、ぼそっと何かをつぶやく。
「なんでそんなにひねくれてるの……」
俺は聞き取れなかったので聞き返そうとすると、涙声で上原さんが話始める。
「わだじは、ぼんぎなの……!」
「っ……」
「わだじば、ぼんぎであなだのごどが……ずぎなの……」
「本当か?」
俺が聞くと、上原さんは顔を上げる。
「えっ……?」
「だから、それは本当かって聞いてるんだ」
上原さんは驚いたような顔をすると。
「うんっ」
最高に最強にかわいい顔で答えてくれた。
結局、俺と上原さんは、付き合うことになった。
「なあ、なんで上原さんは俺に告白してくれたんだ?」
放課後、一緒に帰ることになったので気になっていたことを質問した。
「えっとね……。私と話すとき、東坂くんだけが、胸を見なかったから」
「え?それだけ?」
「うん、それだけ」
まあ、嫌われたくなかったからできる限り胸には視線をやらないように気を付けてはいたが。
それだけで告るとか、あるか?ふつう。
「だって東坂くん以外の男子は全員、胸を見ながら話してくるし……」
そうなのか。友達がいないから知らんかった……なんか悲しい。
――現在――
そわそわ。
そわそわ。
そわそわ。
そわそわ。
俺は今、上原さんを観察している。
上原さんはさっきからずっとそわそわしている。
そのしぐさがめちゃくちゃかわいい。
あ、なんか絡まれてる。
俺は走って上原さんのもとへ行く。
「あっ……」
上原さんは顔をパッと明るくして駆け付けた俺の後ろへ隠れる。
「ちっ、男いんのかよ……」
上原さんに絡んでいた陽キャは明らかに態度を悪くしていう。
「ああ、諦めてくれ」
陽キャはあっさりと諦めどこかへ行く。また誰かにナンパでもするのだろうか。
陽キャを見送り、上原さんに向く。
上原さんはノースリーブに胸元が開いた服を着ている。正直言って、かなり魅力的だ。
「あのさ、前にも言ったじゃん。そういう服はナンパされやすいからやめてって」
そう、大学2年生になってから上原さんはかなり露出が多いものを着るようになった。
「うん、ごめん、でも……」
「でも?」
「いつかは東坂君に全部見せるんだから、その練習に……とおもって」
その言葉に俺はもちろん、言った本人まで顔を赤く染めた。
「え、と。じゃ、じゃあいこうか」
俺は無理やり話を逸らす。
「う、うん」
そう言って上原さんは俺の腕に腕を回し、組む。
俺はこの瞬間が一番ドキッとする。なぜならその、腕にとてつもなく幸せな感触があるからだ……。
終わり。
やる気があれば書き足します。