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〇月〇日  作者: by sky kt
ある姉の日常
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7月4日

7月4日


 あの人がいなくなって三日経過した。


こんなに長い三日間は初めての経験だ。


こんなのが七月の終わりまであると思うと死にたくなる。


一応連絡を取りあっているのが、唯一の救いだ。


私は家に戻ると、あの人の部屋にすぐに向った。


あの人の成分を補充するためだ。


自分で言っててなんて気持ち悪いことをしていると自覚しながらもやめることはできない。


また成分は補充できても、それと反比例するように私の心は脆くなっていく気がした。


やっぱり会えないと悲しいよ。


寂しいよ。


辛いよ。


死にたいよ。


私があの人の部屋で悲しんでいると、幼稚園児の頃の記憶が甦ってきた。


かれこれ10年以上前の話だけど、しっかり鮮明に甦る。


甦ってきた記憶は友達と遊んでいて、私がひとりぼっちになってしまった時の記憶だ。


私は友達と大きい森林公園でかくれんぼをしていたときだ。


自分でいうのも恥ずかしいが、当時の私はやんちゃだった。


やんちゃな私は持ち前の運動神経で幼稚園生にしては有り得ない所によく行ってしまい、その時は高い木の上に登り最後まで見つからずにいた。


他の皆が見つかっている中、私だけが見つかっていないという優越感に浸っていた。


けど、そこから問題が起きた。


登れたのはいいが降りれなくなってしまったのだ。


更に運の悪いことに見つかりたくないがために人目が少ない所の木を選んだため、呼びかけても友達は気づいて来てくれない。


それどころか友達は私が帰ってしまったかと思って、違う遊びを始めていたそうだ。


孤独を感じてきた私は独りが恐くてろくに大声を出せずにいた。


このまま私はずっとひとりぼっちなんだなと思い心が壊れそうだった時、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


そう、あの人が私を見つけに来てくれていた!


すぐに呼びかけに応じた私を見つけてくれたあの人は木に登り、私をおんぶして助けてくれた!


泣きじゃくる私にあの人は頭に手を置き。優しく慰めてくれた。


そして私は独りじゃないと元気づけてくれた。


その通りだった。


私は独りじゃない。


あの人がずっといてくれる。


そしてこれからずっとずっと…


だが、今回のような事件が起きてしまった。


どうやらあの人は私が強くなったと勘違いしているかもしれない。


確かに昔に比べたらあらゆることが大きく成長している。


けど、それはあの人がいてくれるからの話。


私はあの人がいないと何もできない弱い存在。


あの人と共に生きる意味が私の運命。


魚は水がないと生きていけない。


早く私の所に帰って来て。


じゃないと私…

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