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〇月〇日  作者: by sky kt
ある姉の日常その4
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8月10日

8月10日


夏休みが始まり、気付けば10日が過ぎた。


今年は受験ということもあり、例年以上に勉強する時間を費やす。


費やせば費やすほど多くの学びを得ていくが、得ていくほど私の何かがより虚しさを感じさせていく。


理由は分かっている。


問題の理由はあの人とこれといった進展がないこと。


振り返るとメールでやり取りしていた時の方が仲良くしていた気がするわ。


何としてもこの夏は進展したい。


もういつまでも木野須和馬の娘という立場から脱却しなきゃいけないと思う。


焦る必要はないと思うのだけれど、何故か思えば思うほど不安を募らせてしまう。


今年は一番多くの変化があったと思う。


あの人との長く続いた別離な生活が今までの私たちの関係性を大きく変えたのは間違いない。


あの人のいない人生がどれほど灰色に染まさせたことか。


いや、先の自分への不安だけでなく、この機会を持って二人の仲を深めないといけないと訴えている私がいる。


そんな想いも抱いた私は意気込みも掛けて自分自身に変化を起こさなきゃと思った。


けれど、一体何をすればいいのかな。


そんなことを考えていた最中、夕食時にお父さんから今年のお盆の家族旅行の話が上がった。


主に話はお父さんとお母さん、それと妹が率先して話し合っていた。


受験生のという身でもあった私は、はっきり言ってどこでもいいやと考えていたので相槌ばかりして話を聞いていた。


ちなみに弟も似たような感じだった。


ただ、お父さんからあの人に今回の旅行の誘いをしたことにより私の旅行への興味は大きく膨れていく。


最初は軽い冗談だと受け止めたであろうあの人が断りを入れたが、このチャンスを逃してはならないと思った私は、強く強く一緒に行こうとお願いをした。


家族皆からの誘いと私からのお願いという一押しもあったおかげか、最終的にあの人も一緒に旅行してくれることとなった。


少し照れくさく頷く姿がより愛しく見える。


ああ、あの人と一緒に出かけるなんて…


久々の一緒の旅行ということもあり、さっきから胸の高まりが止まらない。


他の家族もそれぞれ嬉しそうな反応をしていた。


声を掛けた張本人であるお父さんは、向こうで何をするかあの人と話し合って。


お母さんもお父さんと一緒に楽しそうにその談議に交じり合い。


妹はいつも通り元気よくはしゃぎ、あの人に旅行中の料理のオーダーをお願いし始めて。


弟も珍しく嬉しそうな表情をして耳を傾けて時折意見をはさんで。


私以外の皆も嬉しそうだった。


けれど、一番嬉しいのは絶対に渡しに違いない。


私もお父さんや妹に負けず積極的に旅行の談義に交じる。


ああ、早く楽しい思い出をたくさん作りたいな。


あなたもそうでしょ?


ね、佐久間さん。


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