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〇月〇日  作者: by sky kt
ある使用人の日常その4
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8月16日

8月16日


今日という日を迎えてお盆も終わりを告げ、多くの企業が通常業務に戻っていくのだろう。


既にお朝から和馬と鈴子さんがいないのがその何よりの証拠である。


これは、普通に数年間会社勤めしていた俺の体験談からだが、あながち世間一般的にもずれのない感覚である自信がある。


特に長期休暇明けの仕事は頭がついてこないので結構辛い一日でもある。


では俺自身はどうしているかというと、今日から再び木野須(このす)家の家政夫として、忙しい和馬と鈴子さんがいないこの家で家事に励む。


それが俺に任された仕事であるからだ。


ただ、いつもの俺の家政婦としての日常とは異なる。


理由は実に簡単であり、それは今が夏休みだからだ。


もちろん、俺の夏休みではなく木野須家の子供達の夏休みということであるけど。


子供達の長期休暇中のルーチンは学校がある日常と違うがある。


それは、和馬達両親がいない間は俺が子供達の相手をしてあげることである。


これが中々手のかかることで、慣れてない頃は日々ストレスが溜まっていく毎日だった。


特に小学校時代の夏休みの終わる3日前は子供達(主に双子兄)の宿題に協力することが一番苦労した。


読書感想文とか苦行以外の何者でもなかった。


読むのは全然平気なんだが、それを感想文にしろと言われると難しく、思ったことを文章で表現化する難しさをおっさんになって思い知らされた衝撃は今でも苦い思い出だ。


逆に自由研究なんかは意外と楽しかったりした。


最初は内心嫌々でやっていたが、はまるとやる気に火が付き、気付けば進んでやってしまっていた。


双子が5年生の時の自由研究は、積極的にやってしまい、途中で和馬も参戦してのめり込んでしまった。


流石に色々とやり過ぎたせいで鈴子さんからお叱りを受けたくらいだったからな。


この自由研究の楽しさを当時小学生の俺に教えてあげたいくらいだった。


何で当時の俺はあんなに嫌がったのか。


今では大きくなってしまった木野須家の子供達にもその答えが聞けるか微妙だな。


この子達の子供ができたらその時改めて聞いてみようかな。


今は全員が高校生ということもあり、小さいころと比べると頻度は少なくなっていったが、それでも問答無用なわがままを頼まれることは少なくはない。


最近だと、女性陣からのそれが多い。


相対的に、双子兄からは勉強以外ではめっきり減ってはいたが。


年頃の女の子のわがままは、40過ぎのおっさんには堪えることが多くて困ることが増えてくる。


こき使うなら早く彼氏でも作ってそっちに早く引き継いでほしいもんだぜ。


性格はさておいて、美人姉妹といっても差し支えないのだから。


この子らの通う学校でそういった話とかないんかな。


今度、双子兄にしれっと聞いてみよう。


話を戻すと、今日はそんな美人姉妹の片割れである妹の方からのわがままに付き添う羽目の一日となった。


やったことは料理の指導であったが、このませがきは何故か肉じゃがを作りたいとのことだった。


狙っている感満載だが、今後の彼女のためにもしっかりと教えてあげた。


最初はどんなやらかしをするのかはらはらしたが、包丁さばきをはじめとした作業は卒なく(こな)していた。


どうやら基本的なことは家庭科でしっかり学んだっぽいからと本人談だ。


ただ、肉じゃがは授業で習わないからこの機会に俺から教わりたかったと。


気になる男でもいるのかと聞くと、愛想笑いだけして誤魔化す双子妹。


これは間違いない、恋ってやつだな。


ったく、しっかり青春してやがって、やるなこいつ。


長女もこうゆうところは見習うべきだな。


彼女の大学生活に期待だ。


そんでもってすんなり作り上げた肉じゃがは、その日の夕飯として木野須家の食卓のおかずとして出すことになった。


小さいころから要領が良かったのもあり、初めて作ったという割には美味しくできていたと思う。


ちなみに長女は肉じゃがを口に運ぶたびに苦い表情を作っていた。


しっかり完食はしていたので、多分妹の料理の出来前に対して女として劣等を感じたのだろうか。


何せこの一家の女性陣は負けず嫌いだからな。



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