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〇月〇日  作者: by sky kt
ある使用人の日常その4
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8月12日

8月12日


現在、木野須このす家にいるのは家政夫もどきの俺一人。


和馬はもちろん仕事で家にはいなく、鈴子さんも定期的にあるピアノの先生の仕事のため家にいない。


子供達はもちろん外に遊びに行っている。


長女は今年受験生なので夏休み入ってからは家にいることが多かったのだが、今日は出掛けているようだ。


そう、大人になると忘れがちだが8月といえば夏休みという子供にとっては嬉しいひと時なのだ。


そんな夏休みの折り返し地点になる頃である。


しかし、子供たちにとってはまだまだ休みが半分もあると特に気にしていないやつが大半であろう。


俺が子供の頃はまさにそう思っていたわけだし。


何なら夏休みの最終日の夜を迎えるまでは夏休みはまだまだあるんだと思っていた。


まあ、夏休み最終日は残っている膨大な量の宿題を片付けることに費やすことがほとんどだったけどな。


苦い思いもなくはなかったが、それを含めて子供の頃の夏休みというのはもっともっと長くて尊い時間だったな。


大人になるとその尊さがより大きくなっていき、あの頃に戻れたらと思い耽ることが多くなってくる。


いやだねえ、こんなことを考えちまうようになるってことは俺も本当に年寄りの仲間入りをしたってことなのかな。


これが伴侶も子供もいない独り身であるとより悲しく寂しく切なくなって死にたくなったりしてしまうのかもしれない。


でも俺は、とても幸運なことに木野須(このす)家というかけがえのない家族のおかげで今というこの人生を充実することができている。


木野須家の大黒柱であり、俺の大親友でもある木野須 和馬。


その奥さんであり、陰ながら夫である和馬を支えるのはもちろん、木野須家をしっかり支えている木野須 鈴子さん。


そしてその二人の3人の子供達であり、俺にとっても大事な子供達。


つい最近になるまで俺に当たりが強かったツンデレ長女。


ニ歳年下の生意気な可愛い妹と、人懐っこくて少し抜けたところがある弟の双子兄妹。


この子達は血はつながっていなくても、なんだかんだで俺にとっては実の子供のようなかけがえのない宝物だ。


彼ら彼女らに囲まれた生活のおかげで俺は自分の人生がつまらないとか悲観的になったことは一切ない。


親には自分の孫を見せることができなくて申し訳ないと思ってはいるがな。


それでも俺は今も歩んでいる人生を悔いなく進み続ける。


夕方になると、木野須家が続々と帰宅してきた。


そんな中で、長女の様子が今朝と違うことに気付く。


背中まで綺麗に靡かせていた長かった髪が肩位の高さまで短くなっていた。


個人的に長髪より短い方が好きな俺からするととても似合っていたので素直に褒めてあげると、小言が少し飛んできたが顔が緩んでいたから褒められて嬉しかったのだろう。


最近はデレ期でうれしい限りだ。


そして、明日からはお盆休みに入るので木野須家はお盆旅行に出掛ける。


ありがたいことに皆が一緒に来てほしいと言ってくれた。


だが、7月ほとんど休んでいたわけだし家族水入らずで旅行するよう勧めたが、それでも木野須家は俺も家族の一員だと言ってくれたので、お言葉に甘えて俺もお供させてもらうことになった。


長女も最近俺に対しての好感度が高くなっていたため「一緒に行こう」と言ってくれた。


それと、「明日から楽しみだね」と俺に話しかけてくるほど有頂天になっている。


どうやら、明日からの旅行がとても楽しみであったのか今日は帰ってから気分が良さそうだ。


髪を切ったのも受験という重いストレスを払いのけるために切ったのかな。


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