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〇月〇日  作者: by sky kt
ある村娘の日常その3
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7月24日

7月24日


昨日のどんよりとした天気は何処にいってしまったのやら。


今日は昨日と違って朝から雲一つない快晴日和。


ぼくの気分も昨日と違い、曇り一つもない清々しい気分だ。


街に出てショッピングなどするのにうってつけの一日だなと思う。


しかし、ぼくは街でショッピングではなく実家がある村に戻っていた。


2時間程時間は掛かったが、お昼前に村に着くことができた。


村は相変わらずのんびりとしており、農業をしている人の姿しか見受けられない。


今下宿している街と比べるとほんとに田舎だなと思い知らされるな。


そんなどうでも良いことで耽っていたが、すぐに本来の目的を思いだし早足で実家に向かう。


そのまま急いで実家に帰ると玄関前で水撒きしているお母さんがいた。


ぼくが声をかけるより前にお母さんはぼくに気付き、とても驚いた表情を作る。


事前に帰るなんて伝えてないから当然の反応だよね。


その後、お母さんと一緒に自宅に入り、客室を綺麗にしていたお父さんを呼んでもらった。


何となく客室を綺麗にしてた理由を聞いてみると、どうやら先程まで宿泊者がいて、その片付けしている最中だったそうだ。


とりあえず、ぼくは居間で黙って両親が来るのを待つ。


3分もしないうちにお父さんとお母さんは居間に入ってきた。


二人はテーブルを挟みぼくと対面するように座る。


そして、連絡もなしに家に戻ったぼくの言葉を待つ二人。


ぼくは覚悟を決めて口を開く。


ぼくが今したいことを。


あの方と会うための行動を。


───そもそも何でこんなことをしたかともし問われたら、もちろん昨日の夢のせいだと躊躇いなしに答える。


昨日一日は、全く見に覚えもないはずなのに頭の中で警鐘が成り止まなかった。


ぼくには関係ないことなのに。


………いや、違う。


ぼくはあの夢の女性と自分を重ねてしまったんだ。


関係ないはずの彼女とぼくを勝手に重ねてしまったんだ。


ぼくも夢の女性と同じく、この田舎でずっとあの方を待ち続けてしまうのではないかと。


そんなのは嫌だ。


あの女性みたいにずっとずっと待ち続けてしまうことになるとしたら何て惨めなんだろうと思う。


そう思うだけで、頭の中が真っ白になってしまいそうになる。


ぼくがぼくではなくなってしまうのではと………。


だから、ぼくは行動に出た。


───あの方の元に行く行動を。


───ぼく自身が助かる方法を。


それでも、この身勝手過ぎる本音を伝えたところで両親は絶対に許してくれないだろう。


そのため、ぼくは将来の夢を見つけるためにもっと広い世界に行きたいと伝える。


真実を告げた訳ではないが、嘘もついてない。


ぼくの将来の夢はあの方と一緒にいることなのだから。


今回の事は親に対しての一生のお願いのつもりだ。


多分最初で最後のわがままだと思う。


意外なことに両親は最初からぼくのわがままを突き放すことなく悩み続けてくれた。


そして、最後には二人とも首を縦に振ってくれた。


こうしてぼくは、9月はぼくはあの方のいる近くの学校へ転校することになった。


転校先はあの方からメールで引き出した情報を元にあの方が住んでいる地区の学校を希望した。


今回の夏休みは引っ越しやら編入試験・転校手続きで忙しくなりそうだが仕方ないと思っている。


これはぼくの一生をかけた選択なんだ。


やらないで後悔するならやって後悔だ。


もちろん、ぼくはこの決断に後悔はしない。


ぼくは違う。絶対違うんだ。


ぼくは延々と待ち続けなんかしない。


彼女とは全然違うんだ。


延祭(えんさい)絡みでぼくは人としての心を失っていたけど、あの方はその失くしたものを取り戻してくれた。


今度はぼくの失った時間を埋めてもらいたい。


助けてもらったのなら最後まで責任を取ってくださいね。


ああ、夏休みがとてもじれったい。


早く終わんないかな、夏休み。


早く始まらないかな、新しい生活。


ぼくと貴方の輝かしい未来が待っているんだ。

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