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〇月〇日  作者: by sky kt
ある友人の有給休暇
46/68

ある友人の回想

間章みたいなものです。

7月5日


 有給が取れて久しぶりに高校からの友達である佐久間さくまと男二人むさ苦しく旅行し、その旅行先である舞戸まいこ村のお祭りの途中、佐久真さくまとはぐれてしまった。


そしてあいつはその間にとんでもないことをしでかしていた。


なんとあいつは、一人で舞戸村で行われているカルトくさい変な行事に手を出したらしい。


それも本人もよくわからないうちに何かを解決をしてしまう始末。


そのことに対して俺は愕然とすると同時に佐久真が変わらずにいることに謎の納得をしてしまう。


本当に学生の頃から全然変わっていないな、あいつは。


カルトくさい行事についてだが、祭りの最中に宿先のお嬢さんの詳細を知ろうとたまたま俺達の近くの

にいたおばあちゃんに話を聞いてふんわりと教えてもらった。


どうやらここの村は時代遅れのならわしを未だに信仰しているらしい。


正直その手の話にお手上げだった俺と対照に佐久真のやつは話を聞き終わると、目をぎらぎらと輝かしてこっそり覗いてみようと恐ろしい提案をしてきた。


もちろんそんな恐ろしい提案を速攻で拒否した。


ただでさえ物騒そうなのに、それを覗いてみようなんて何を考えてんのやら…


俺はのんびり楽しく旅行したいだけなんだよ。


しかし佐久真にはそんな気は毛頭なかったのか、佐久真はいつの間にかどこかへいなくなってしまった。


…拒否するだけでなく、佐久真にも釘を打たなかったことに後悔する。


俺が酷く後悔している中、あいつはあいつでその変な行事を行う会場に一人で先行していたらしい。


んで、そこでなんかよくわからんことを解決してぶっ倒れていたとか。


まあ、俺が事情を聴いたところそんな感じらしい。


そして目を覚ました佐久真は村の人たちにこっぴどく叱られてやがった。


その後、お礼を言われていた。


特に宿泊先の家族は佐久真にすがりながらお礼を言ってた。


よくわからんけど、娘さん救われたんだんだから当たり前か。


よくわからんけど良くやったな、英雄さんよ。


今日は佐久真のせいでよくわからん尽くしの一日だった。


なんでこうなったのか…世の中よくわからんもんだなあ………





7月6日


 佐久真のおかげで何もしていない俺もかなり良い思いをすることができた。


ヒーロー様万歳!佐久真様万歳!


村の方から旨い食べ物、旨い酒を存分と御馳走していただき、全部美味しく味わった。それも全部タダでだ。


俺はもう大満足だ。


こんな良いこと尽くしの今日という日に。


誰もが悲しまない幸せな日常に。


………と、ここでぜんぶ終わっていればよかったのだが、世の中っていうは本当によくできている。


良いことがあれば良くないこともあるものだと。


他の人が見ればある意味ドラマチックな展開だと思う者もいると思うが、俺はこれは良くないことの前兆だと直感した。


それは本当に偶然のことだった。


ぐっすり寝ていた俺だが、たまたま目が覚めてしまい早久真のほうから何か音が聞こえたので右側を向いてみると、冨和とわさん家のお嬢さんが佐久真にキスをしていた。


その光景はとてもあでやかで月明かりがまたにくい演出をしていた。


彼女は佐久真との接吻行為に熱中しているせいか、俺が起きていることに全く気づいてない様子。


接吻お相手の佐久真もかなり飲んでいたからか起きる気配が一切ない。


よく飲んだもんな、羽目をはずして。


…昨日の件で佐久真はこの村を救い、悲劇のヒロインになるはずだった冨和さん家のお嬢さんの命を救ったヒーローだ。


だからこの待遇は当たり前かもしれない。


誰も文句の言えない展開だろう………


………ここで俺は昔の嫌なことを思い出した。


学生時代の記憶がだ。


当時の生徒たちが俺たちの学校のことを語ろうとするならば絶対にはずせない出来事だ。


例外なく俺もそうだし佐久真もそうだ。


多分忘れることはないことだろう。


昔のことを思い出したからか、嫌な予感しかしない。


佐久真はあの時から厄介ごとから切っても切れない存在になっていたのか?


そして今回は残念なことに当時者ときたもんだ。


ご愁傷様だよ。


過去の記憶を全部思い出す前に俺は今起きたことを見なかったことにして、また眠りにつくことにした。






7月7日


 結局あまり寝付けなかった俺は朝に富和とわさんの奥さんに起こしに来てもらうと、頭はすぐに覚醒し、昨日の光景が頭の中に浮かび上がった。


そのことに怖くなった俺は適当な理由を作って佐久真さくまに早くこの村から出るように催促した。


最初は渋っていた佐久真も俺が仕事を理由に持ち出すと渋々了解を出してくれ、昼前には舞戸まいこ村を出ることになった。


富和さん夫婦が「もう少しゆっくりなさっては?」とたずねてきたが心苦しくなる中、丁重に断りを入れた。


そして一緒に居た富和さんの娘が俺をもの凄く睨んでいたのは間違いないだろう。


娘さんはバス停まで一緒に着いてきて、その間も佐久真にべったりをくっつく勢いで佐久真の隣に居続けた。


そしてバスが到着し、それに乗り村から走り出す際も後ろを見てみると、娘さんが大きく手を振り、ずっとこちらに別れの言葉を言い続けていた。


佐久真は呑気に手を振っていたが、俺はただその様子を眺めるだけだった。


佐久真は次も長期休暇を取ったため、また旅行に行くらしい。


俺は有給が切れてしまうので佐久真とはここでお別れだ。


頼むからこれが今生の別れになることになんなよ。


…いや、流石に考えすぎか。


マイナス思考になるのはよくない。


気持ちを切り替えて来る仕事に備えるか!


………。


…はあ、仕事したくねえな……

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