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〇月〇日  作者: by sky kt
ある使用人の日常その3
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7月28日

7月28日 


俺が一番落ち着く場所は、親父お袋が住まう我が家の実家だ。


これは揺るぎのない不動の位置づけだ。


そんな我が家の実家が一番の場所なんだが、いざ長い間離れてみるとなんだかんだで木野須このす家も俺の帰る場所なんだなと実感する。


ここにはかなり長くお世話になっているから実家のような安心感があり、なんだか落ち着ちついてしまう。


まさか木野須家に戻っただけでこんな感慨深く思うなんてな。


――今日は昼前にはチェックアウトして温泉街からそのまま直帰したわけだが、それでも木野須家に着いたのは夕方頃になってしまった。


そして木野須家に着き、何も考えず扉を開いてみると木野須一家がみんなで俺を出迎えてくれた。


おいおい…サプライズのつもりですか?


だから途中でいつ頃帰るのか連絡くれたのか。


不覚にもうるっと来たじゃないか…


和馬も鈴子さんもお仕事は大丈夫なのかい?


余計なお世話?確かにその通りだな。


またそれと出迎えに長女もいてくれたことには少し驚いた。


たまには可愛いとこがあるもんだ。


まさかこんなにも早く俺にあんな可愛い素振りを振ってくるとは思いもしなかった。


これが厚さ10cmの仮面なのか。


本性を知らなかったら年甲斐もなくこいつに惚れていたかもしれんかった。


しかし俺の反応がお気に召さなかったのか、恥ずかしかったのか顔を真っ赤にさせていた。


だからつい「顔が真っ赤だぞ?」ってつっこんだら案の定怒られてしまった。


んーツンデレ乙!俺の予想通りの反応をしてくれたもんで、我慢できず大笑いしてしまう。


その俺に更に顔を真っ赤にするお姉さん。


双子がいる前でからかい過ぎるのも今後の姉の威厳に関わりそうだからと今日のところはいじる追撃をやめておくか。


その後、俺はリビングで和馬と鈴子さんと旅行はどうだったかと他愛もない話をする。


それと、何故かいつも以上に構ってくる双子兄や、あれだけ送ってあげたにも関わらずお土産を催促してくる双子妹をあしらったりと久しぶりの木野須家ファミリーと戯れてほっとする自分がいた。


それから俺は頃合いを見計らって荷物を整理しに自分の部屋に戻った。


その時だが何故か双子兄が荷馬車に運ばれていく子牛の瞳をしていたが…


部屋に入ると当たり前だが照明が消えているため暗いのだが、もぞもぞと音がして奥に人の気配を感じた。


そっと明かりを付けてみると驚いたことに長女が俺のベッドで寝ていた。


どおりでさっきリビングにいなかったわけだ。


それよりも…こいつ俺がいない間、俺の部屋を私物化してやがったのか。


色々驚愕の事実だぜ…


そんな俺を驚かせた当の本人も俺が入ってきたことに驚いて、素っ頓狂な声をあげる。


そして理不尽のお怒りの怒声が俺に飛んできた。


いや…今回俺悪くないよね?そっちが勝手に入ったのが問題だよね?


それからどちらが悪かったという無意味なやり取りをし続けた俺と長女を眺める視線が二つあることに気付く。


ふと入り口をを見るとほぼ全開に開いた扉から双子が揃って俺達を見ていた。


兄は呆れたような表情で、妹はごみを見るような視線で。


…妹ちゃん?勘違いしないでほしいけど、君のお姉ちゃんが先に勝手に入っていたんだよ?それと今更君たちにそんな邪よこしまな気持ちなんて抱かないから。


君のお父さんに殺されちゃうから。


こういった一連の流れを通して俺は改めていつもの日常に帰ってきたんだなと思った。


やっぱり家族ってのは良いもんだな。


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