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〇月〇日  作者: by sky kt
ある村娘の日常その2
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7月12日

7月12日 


1ヶ月ぶりにぼくは久しぶりの母校に帰ってきた。


学生にとって1ヶ月も学校に登校しないないなんてまるで不良みたいだな、今のぼくは。


本当は朝から行きたかったけど、時間が間に合わなかった。


着いた時間は丁度お昼休みが始まった頃であり、学校に着いてぼくは自分のクラスへと足を運ぶ。


珍しいのか当たり前のことかわからないけど、廊下では誰とも出くわすことがなかった。


その代わりに各クラスで和気あいあいとした声がたくさん聞こえる。


そんな愉快なBGMを耳にしながらぼくの心はとても不安定な気持ちになっていった。


高校に入学してからはもうぼくは延祭えんさいの貢ぎ物として感化されていたので、悲しいことにクラスメイトと仲良くした思い出が一つもないのだ。


両親は「これから作り直しなさい」と言ってきたが、それは無責任な話だと感じた。


今まで大して仲良くなかった同級生が戻ってきてみんなはどうも思うのだろう。


これから起きることを全く想像もできず、ぼくは未知の恐怖に襲われながら一歩一歩自分のクラスに近づき、遂に自分のクラスの前に立つ。


目の前のクラスも他のクラスと例外なく中から男女の愉快な喧噪が聞こえる。


その声たちに合わせてなのか、目の前の扉がとっても大きく見えてきた。


逆にぼくが小さくなってしまったのかと錯覚してしまうくらいに。


こんな大きいな扉をぼくが開けることできるのだろうか?


教室に入ることに恐くなって心が押しつぶされそうなぼくはあの方を強く想う。


お願いします、ぼくに勇気をください。


あの時のあなたのように。


ぼくの運命を救ってくれたあの時のように!


そして、ぼくは意を決して扉を開ける。


扉は見た目以上に簡単に横スライドして開き切り、クラスの光景を開放する。


さっきまでうるさかったクラスが静まりかえり、皆の視線が一気にぼくに集まる。


その瞬間ぼくは、頭が真っ白になってしまった。


どうしよう?


何か言わないと…


けれど言葉が出てこない…


口がとても重く感じる…


このままじゃクラスの空気を壊しただけになっちゃう…


そんな時だった。


たまたま目が合ったクラスメイトの一人である女子が大きな声で「おかえり!」と声をかけてくれた。


そしてその言葉に続き次々とぼくを迎えてくれる言葉が聞こえてきた。


嬉しい!


ただそれだけの気持ちが胸いっぱいにぼくを満たしてくれる。


ぼくは皆の温かい言葉の返事として、涙を流しながらクラスの皆に大きな声で口を開く。


あの方が褒めてくれたとびきりの笑顔と一緒に。


今の幸せと想いを乗せて!


   ただいま!


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