7月11日
7月11日
学校へ復学しなければならないぼくは、ここ数日間の延祭とはまた別の忙しさで明け暮れていた。
本来ぼくは学校に行けなくなってしまうはずだった。
だから退学手続きの準備はしっかり終えていた。
だけど運営の7月5日にぼくの人生は再開され、その準備は全て水の泡となった。
あの方のおかげでね。
代わりに学校へ戻る整理やら準備をすることになって色々ゴタゴタしてしまったな。
忙しいと一日がほんと早く終わってしまうと改めて実感したよ。
明るかった空はもう暗くなっていて、セミたちの声が余計大きく聞こえてくる。
そして、お夕飯を食べるため、ぼくは一度作業を中断した。
ご飯を食べ終えて、また作業に移るのだけど、ここ最近溜まっていた鬱憤が溜まりに溜まり、もう我慢できそうになかった。
あの方と会いたい。
けど、そんなことは絶対に叶うはずがないのは百も承知だ。
悶々と溜まっていくこの気持ちを色んな方法で発散し続けていても、更に大きな虚無感と寂しさが出てきてた。
…お話しをしたい。
そうと思ったら考えるより先に身体が動き、手には携帯電話が握られていた。
流石に電話は迷惑かなと思い、勇気をもってあの方にメールをしてみた。
返信が来なかったらどうしようと思ったけど、数分後にしっかり返信が来てとても嬉しかった。
ぼくがもし犬なら尻尾をぶんぶん振っていることだろう。
そしたら、あの方はぼくを犬みたいに撫でてくれるのかな。
気分が最高潮になっていたぼくは、それからあの方と長い間メールをやり続けた。
メールのやり取りでこんなに時間が早く経つことなんて今までなかったくらい、ぼくはあの人とのやりとりに熱中していた。
まだ10分も経っていないと思っていたのが、もう4時間になってしまいそうだった。
残念なことに明日の準備がまだ終わっていないから、ぼくは名残惜しくもメールを中断した。
また連絡を入れていいか尋ねたところ快く快諾してくれた。
はあ、うれしいよ、もう心臓が痛いよ…恋苦しいよ。
ううぅ……
………
……ちょ…ちょっと取り乱しちゃったかな…
とりあえず明日には学校に戻らなければいけないので、残っている明日の準備をし終えなきゃだね。
流石にこの村から学校に向かうのは遠すぎるので、隣町の寮から通っている。
一カ月ぶりの学校。
なんか緊張してきた。
突如沸いた緊張を紛らわそうとあの方にメールをしようと思ったけど、もう晩おそい時間だったので、ぐっとメールしたい衝動を抑えた。
今日はこのまま早く寝てしまおう。
おやすみなさい、佐久真さん。