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〇月〇日  作者: by sky kt
ある姉の日常その2
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7月12日

7月12日 


今日も味気ない一日になってしまうかと思ってたけど、その予想は良い意味で裏切ってくれた。


今の私にとって唯一の生きがいであるあの人とのメールで、あの人が私のことを心配してくれていつも寝付けないと送ってきた!


あまりに嬉しすぎてその文面を見た私は思わず思考停止になってしまった。


そんな私の頭の中はあの人の笑顔やいろんな顔でいっぱいになっていた。


満面の笑みの表情もあれば、私のわがままに対して困ったような表情、時には怒ったような表情。


全部が全部、私に対して見せてくれたあの人。


私だけを見ていてくれて、私だけのあの人。


トリップしてしまうほど、幸せだ…


しかし、そんな私の幸せの気持ちと裏腹に、気付いたら心にも思っていないことをたくさん書いたメールがあの人に送られていた。


…私は本当に馬鹿だ。


大馬鹿者だ。


つい、いつものくせできつい内容のメールを書いちゃうなんて…


いつも素直になれないからって、こんなにもひどいことを書いたメールを送るなんて…


いくら優しいあの人にも嫌われちゃうかも…


一瞬、有頂天になってしまったばかりに取り返しのつかないことをしてしまった。


時間がとても長く感じる。


携帯の時刻を確認しても、数分しか経っていないにとても長く感じてしまう。


そして、その時間は私を絶望の淵に落としていく。


私はこれまでにあったあの人との関係を、台無しにしてしまったと絶望に染まりかける直前だった。


私の最低メールへの返信があの人から届く。


もし、私のことを嫌いになったということが書いてあったらと思うと指が震え、メールを開くことを憚ってしまう。


見たくない。


それでも、思い切って開くのボタンを押してみた。


メールの内容は『もう私には愛想が尽きた。これからは最低限のこと以外関わってくるな!』という縁切りメールではなく、『お前の俺に対しての愛情を感じたよ(笑)』というメールだった!


あの人はさっきのメールが愛情の裏返しだということに気付いてくれていた!


これを見た私は絶望だはなく楽園にいる気持ちになった。


やっぱりあの人と私は心で繋がっているんだ!


いつも私にぶっきら棒な態度もあの人が私を愛し、信頼してくれてる証。


熟年の夫婦はお互いのことを言葉に出さなくても分かり合えるのと同じだ。


けど、私はまだ高校生だし、しっかり言葉や態度で表してくれた方が凄い嬉しい。


今まで不器用だったあの人からの初めての愛情表現。


今年一番の収穫だわ!


ああ、今日は本当にいい日だった。


…私ももうちょっと素直になってみようかな。


あの人のため…いや、今後の私たちのために。

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